流通の専門家からのアドバイスを元に改良
新潟から全国へ販路を拡大
営業課 主任 宗村 基広 氏(写真左)
「今後はさらに、スーパーなどが日配品を売り切った後の代理商品として、冷凍弁当の需要が見込めるのではないでしょうか。家庭向けの冷凍食品の一つとして選んでいただきたい」と話す長嶋社長。「これなら間違いないと思う商品が、必ずしも売れるとは限らない。自己満足は良くないということを、支援事業を通して感じました」と話す宗村主任。
強みである炊飯加工を活かし
5種類の冷凍弁当を開発
仕出し弁当の製造販売を主力に、保育施設や高齢者施設の給食受託、炊飯加工などを手がける叶味家。同社は3年前から冷凍米飯事業に着手し、新たな販路を開拓している。「コロナ禍の影響で仕出し弁当の売上が下がったため、当社の強みである炊飯加工を活かした商品を作ることにしました。仕出し弁当は販売地域が新潟市内中心と限られることから、販売できる領域を広げるため冷凍弁当に着目しました」と長嶋社長。
冷凍弁当5種類の開発に続き、さらに次のステップとしてNICOの「県産食品ブランド力向上支援事業」を活用し、新商品開発に挑戦した。「冷凍弁当は県外に販売できると考えましたが、どういう商品が売れるのか、そのアイデアを得たいと思ったのが活用のきっかけです」と宗村主任は話す。
新潟県産米100%使用の冷凍弁当「ご馳走御飯」。病院や工事現場など、夜間に働く人が多い場所で重宝されている。
相談会を経て生まれた
唯一無二の冷凍おにぎりが好調
当初は韓国風の冷凍弁当を考えていたが、アドバイザーとの相談会を通して冷凍おにぎりに変更。「コンパクトサイズで売場に陳列しやすく、昨年頃からおにぎりがブームになってきたこともあり、変更することにしました」。
こうして韓国風の3種類のおにぎりを1パックにし、現役バイヤーからアドバイスを受ける1回目の評価会に挑んだが、「名だたる有名百貨店のバイヤーさんたちから、味やパッケージなど全てにおいてさまざまな指摘をいただきました」と宗村主任。そこで一から味の見直しを行い、パッケージデザインも約半年かけて改善した。「2回目の評価会では120点くらいの高評価となり、“唯一無二の商品になった”とも言っていただきました。この後に展示会が控えていたため、合格点をもらえたことで弾みがつきました」。2024年2月に開催されたスーパーマーケット・トレードショーに出展すると、予想以上の反響があり手応えを実感。現在は全国70カ所の病院の売店をはじめ、東京のスーパーや冷凍自販機などで販売されている。
今年度は「ヒット商品開発コース」に参加し、首都圏での市場調査などを行いながら新商品の開発を進めている。「全国を商圏にできる商品を持つことができたので、今後は“米どころ新潟”というイメージをバックに認知を広げながら、販路を拡大できればと考えています」。
豚キムチチャーハン・牛カルビビビンバ・鶏チーズタッカルビ3種の味を楽しめる「ご馳走むすび」。宗村主任が小千谷の「キムチ工房」の手作りキムチに出合ったことが、発案のきっかけだった。求める味の再現には何度も試行錯誤したという。辛さより旨みを追求し、味の違いを明確にしたのがポイント。3種類の肉を使用し、ボリューム感を出した。
1個90gと小ぶりなサイズで、ごはんと具材のバランスが2:1と具沢山。アドバイザーの助言で、売場のスペースをとらず、しかも立体的に見える縦型のパッケージにした。
スーパーマーケット・トレードショーでは、大手企業との出会いや、3日分用意した試食が2日でなくなるなど、予想以上の反響に驚いたという。
企業情報
株式会社叶味家
新潟市西区山田2310-1
TEL.025-201-2210
URL https://kamiya3.jp