オークス株式会社【手軽にぬか漬けを楽しめる「ぬかどこボックス」が高評価。世の中にないアイデアを形に】

2024年12月05日
NICOpress 197号商品評価・ブラッシュアップ新事業展開新商品・新技術開発

手軽にぬか漬けを楽しめる「ぬかどこボックス」が高評価。
世の中にないアイデアを形に

「作り手側」ではなく「使い手側」の目線に立ったアイデアとデザイン性を兼ね備えた商品開発やプロモーションにより、市場やユーザーから高い評価を受けているオークス。ニイガタIDSデザインコンペティション2024に入賞した「ぬかどこボックス」は展示会でも高く評価され、多くの反響を呼んでいる。

開発部 広報PR課 課長 近藤 貞敬 氏と商品開発課 リーダー 深澤 孝良 氏
開発部 広報PR課 課長 近藤 貞敬 氏(写真右)
開発部 商品開発課 リーダー 深澤 孝良 氏(写真左)

「東京インターナショナル・ギフト・ショーで2つも賞を取ったと聞いて、最初は信じられませんでした。これからも、ちょっとした感動を使う人に与えられる商品づくりをしたいです」(深澤リーダー)。「これまでコンペに参加する優位性がよく分からないというのも正直あったのですが、今回のIDSコンペで良い効果を得たので、また挑戦していきたいです」(近藤課長)。

アイデアとデザインが
融合した自社開発商品が強み

キッチン雑貨などの家庭用品と住宅設備用品の企画・開発・設計を手掛けるオークスは1946年に創業。生産設備を持たないファブレス企業として、主に燕三条のメーカーと協力し商品開発を進めている。長年量販店への商品販売を主力としていたが、海外製品の台頭により2008年頃からオリジナル商品の企画開発に主軸を転換。「UCHICOOK」「Leye(レイエ)」などキッチンツール主体のブランドを立ち上げ、「計量みそマドラー」「ゆびさきトング」など数々のヒット商品を生み出してきた。「使い勝手の良さ、デザイン性、世の中にないアイデアにとことんこだわることを一番大事にしていますし、それが当社の強みでもあると思います」と近藤課長は話す。

同社は今年、14年ぶりにニイガタIDSデザインコンペティション(IDS)に挑戦した。「既存商品の底上げを図り、売上につなげるプロジェクトを2年前に立ち上げました。その中で、商品の認知度を上げるためにIDSに参加することを検討していたのですが、同じタイミングでNICOからも話があり、コンペ提出に向けた準備などのフォローをしていただきました」。

 

時短につながるアイデア、デザイン、使い勝手を追求したブランド「Leye(レイエ)」。
「計量みそマドラー」「ゆびさきトング」はオークスの看板商品。

Leye 計量みそマドラー

Leye ゆびさきトング

ぬか床処理の手間や困りごとを
解決するこだわりの容器

2024年のIDSに出品した「Leye ぬかどこボックス」は、商品開発課だけでなく営業など他の課の声も取り入れたアイデアから生まれた。「袋入りの発酵済みぬか床が売れているという情報は聞いていました。その中で、それを使った女性社員から、さらに手を汚さずに使いたいとか、水の処理をもっと簡単にしたいという意見も出てきた。そうした視点も取り入れ、使い勝手が良く、ぬか漬けがもっと楽にできる容器を作ろうということになりました」と、開発の中心となった深澤リーダーは語る。

商品化にあたっては、初めての人でも気軽にぬか漬けに挑戦できるように、使いやすさをとことん重視した。まず第一にこだわったのが、ぬか床の水処理だ。ぬか床には塩分が含まれているため、野菜を漬けると浸透圧によって野菜から水分が出てしまい、それをキッチンペーパーで吸い取るなどの手間があった。そこで容器を二重にし、内容器に水抜き穴を設け、余分な水分を外容器に自然に落とす構造を設計。さらに、ぬかが付きにくく、しかも本体に収納できるしゃもじを開発した。「ネイルをしている方や、手が汚れたり匂いが付くのがイヤという方もいるので、ぬかをかき混ぜる専用のしゃもじを付けることにしました」。その他にも、冷蔵庫から出し入れしやすいコンパクトなサイズ感にもこだわった。

こうして試作と検証を繰り返し、約1年半かけて完成。コロナ禍で健康意識が高まり、免疫力を上げるといわれる発酵食品に注目が集まったこともあり、2023年1月の発売以来、幅広い世代に好評を得ている。

 

Leye ぬかどこボックス

Leye ぬかどこボックス

▶ニイガタIDSデザインコンペティション2024 IDS賞

「ぬか床を作るのが面倒」というユーザーの声を受け、市販の袋入り発酵ぬか床1kgが入る容器を設計。コンパクトでありながら、きゅうりを切らずにまるごと1本入れられるサイズも工夫した。蓋も透明なので閉めたままぬか床の状態を確認できる。

ぬかどこボックスの容器底部

内容器底部のスリット穴から、余分な水分が外容器に溜まる二重構造。溜まった水分は、ワンタッチで内容器を外して捨てるだけ。

Leye ぬかどこボックス専用しゃもじ

ボックス内に収まる大きさで表面にWエンボス加工を施した専用しゃもじをセット。しゃもじの先端と内容器のカーブがぴったり合うように設計しているため、ぬか床を底から隅々までしっかりかき混ぜることができる。

一番の成果はコンペを通じて
さまざまな展開が広がったこと

IDSでは「IDS賞 ライフ部門(ライフ・バリュー賞)」を受賞。「世の中にないもの、ちょっと視点を変えたものを作ることを大切にしているので、審査員から“今までにない考え方の商品で、とてもいいと思う”という言葉をいただき嬉しかったです」と深澤リーダー。「ぬか床を作っているメーカーとコラボして、容器とセットで販売すれば価値も上がるし売上も伸びるのではないかというアドバイスもいただきました。コラボについては私たちも考えていたのですが、審査員から言われたことで自信につながりました」と近藤課長。こうした授賞式後の意見交換会で審査員からかけられた言葉も励みになったという。

また、受賞特典として今年9月に出展した「東京インターナショナル・ギフト・ショー」内で行われる“キッチン&ダイニンググッズコンテスト”で大賞、“LIFE×DESIGNアワード”でベストプレス賞と、2部門の受賞を果たす。「ギフトショーの事務局の方から、“2部門受賞するのはすごいこと”と言っていただき、得意先からもIDS賞と、この2つの賞のマークを付けて販売させてほしいという話をいただいています。受賞をきっかけにお客様にも商品を提案しやすくなりましたし、実際に注文も見込みの4倍くらい増えました。協力をお願いしている製造メーカーさんにも、発注が増えることで恩返しができたと思います」。

今回の受賞は販売面での効果だけでなく、社員のモチベーションアップにもつながった。「プロジェクトのメンバーは“がんばって良かった”と実感できましたし、今後の開発の励みにもなりました」と深澤リーダー。近藤課長も「Instagram運用チームも積極的に受賞を発信し、社内広報誌にも掲載して社員全員で喜びを共有しました。また、テレビの取材を受けるなど広報面での効果も出たり、販売数も伸びてメーカーさんにも喜んでいただけた。このようにIDSの参加を通して、さまざまな広がりが生まれたことが、一番良かったことだと思います」と話す。

今後はレシピを監修していただいたフードユニット「ごはん同盟」とともに、春夏秋冬のレシピを開発・公開し、Web記事の発信もしていきたいという。オークスだからできる「使い手側」の目線に立ち、企業理念である“ちょっとした感動”を感じてもらえる商品、持っていることを人に話したくなるような商品を生み出していく。

 

「東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2024」に出展し、コンテスト2部門で受賞。ベストプレス(RoomClip)賞は、日本最大のインテリアSNSサイト「Room Clip」のユーザーの投票によって選ばれた。

2部門で授与されたトロフィー

東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2024の様子

社内イベントの様子

「ぬかどこ博士」こと深澤リーダーの解説付きで、野菜や果物などさまざまな素材のぬか漬けを社員みんなで試食する社内イベントを開催。Instagramを積極的に活用し、商品の魅力や特徴を発信している。

POINT

  • ユーザー側の視点から使い勝手、デザイン、アイデアにこだわった商品を開発。
  • コンペ参加を通じて商品の認知度向上や改良につなげる。
  • IDSの挑戦と、コンテスト2部門の受賞で、販売や広報にもプラスの効果。

企業情報

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TEL.0256-35-1211
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