越後亀紺屋 藤岡染工場

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2019年07月29日
NICOpress165号商品評価・ブラッシュアップ新商品・新技術開発

素材の良さを見直す
原点回帰と発想の転換がヒント

越後亀紺屋 藤岡染工場  専務 藤岡 利明  氏
専務 藤岡 利明 氏

「当社の商品は手ぬぐいをベースにしているので、手ぬぐいとタオルを合わせた“テオル”という名前が自然と出てきました」と藤岡専務(写真左)。ニットーボー新潟の中屋副工場長(写真右)は「今回のご縁を大切にし、新潟発信で誇れるものを作りたいと思います」と話す。

地元企業とコラボしたい 両社の思いがマッチ

染物屋の歴史の中で培ってきた「染め」の技術を活かし、異業種とのコラボにも積極的に取り組む藤岡染工場。同社は50年以上のロングセラーを誇る「日東紡の新しいふきん®」のメーカー、ニットーボー新潟とのコラボにより、現代のライフスタイルにフィットした「TeWeL(テオル)シリーズ」を開発。新たな客層と販路を広げている。
コラボのきっかけについて、ニットーボー新潟の中屋副工場長は「メイドイン新潟であるこのふきん生地を、もっと広めていきたいという思いがありました。そこで地元企業と何か取り組みができないかとNICOにご相談したところ、藤岡染工場をご紹介いただいたのです。キッチン周りで使う素材を応用していく中で、藤岡さんの和染めに魅力を感じ、ぜひコラボさせていただきたいと思いました」と話す。藤岡専務も「当社も地元企業の素材を使って染色加工をした製品ができないかと考えていたので、“ぜひ一緒にやらせてください”とラブコールを送りました」と語る。

TeWeL(テオル)シリーズ

 

女性の一言がきっかけ 新発想のテオルが誕生

日東紡と暮しの手帖社で共同開発したふきん生地は、高い吸水性と速乾性が特徴だが、この素材でどういう商品を作ればいいのか試行錯誤したという両社。2014年からNICOの「IDSデザインコンペティション」にも毎年出品し、商品評価を次の開発のヒントとして活用。当初はバッグやポーチなど立体的な商品を考えていたが、さまざまなサンプルを作るうちに素材本来の良さを見直そうという原点に辿り着く。「そんなとき仕事仲間の女性から“このふきんで体を洗ってみたら、すごく肌がしっとりした”と言われたのです。最初は驚きましたが、この生地はしなやかで毛羽立たないので、肌がデリケートな女性に適しているのではと思いました」と藤岡専務。そこで生地の機能性を前面に出しつつ、染物屋の技術と手ぬぐいのエッセンスを融合させた「お風呂のタオルTeWeL」を開発することになった。
色落ちを防ぐために染色方法を工夫し、色は日本の伝統色である紺、エンジ、辛子の3色に。豆絞り柄を染め上げて、日本の風呂文化を表現した。また、男性や外国人でも洗いやすいように従来の手ぬぐいよりも長くし、真ん中にフック用のループを付けるなど、形や使いやすさにこだわった。
もう一つのこだわりがパッケージデザインだ。「いろいろな人に手に取ってほしいので、おしゃれな雑貨屋さんに置いてあるようなデザイン、ギフト用に最適な形をデザイナーさんにお願いしました」。手ぬぐいの和のイメージではなく、洋を意識したデザインはターゲットだった女性に支持され、実際に雑貨店との取引も増えたという。

越後亀紺屋 藤岡染工場 現代のライフスタイルにフィットした「TeWeL(テオル)シリーズ」

TeWeLシリーズの「お風呂のタオル」「Daily TeWeL」は、プレゼントや新潟のお土産品としても人気。商品の色・柄のデザインは藤岡染工場が、パッケージデザインは新潟のデザイン会社「フレーム」が担当している。

 

幅広い人に喜ばれる商品を新潟から届けたい

TeWeLシリーズとして2016年には「Daily TeWeL(デイリーテオル)」を発売。機能性はもちろん、手ぬぐいの形をしながら、たたむとハンカチサイズになるデザインが女性、男性を問わず好評だ。
「県外の催事では手ぬぐいは苦戦している状況でした。絵柄など新潟色が強すぎて、興味のない人には手にとってもらいにくかったのです。でもTeWeLシリーズは、いつでも、どこでも、だれにでも買ってもらえる商品を目指したので、お客様に商品の説明をして、実際に生地を触ってもらうと、そのよさを理解して喜んで買ってくださいます」。TeWeLを扱う店舗も徐々に増え、インターネット販売も視野に今後は安定的に生産・供給できる体制を整えていきたいという。
「開発の段階で蓄積されたヒントがあるので、それを一つずつ形にしたい。素材は素晴らしいので、幅広い人たちに喜んでもらえる商品を考えていきたいです」と藤岡専務。中屋副工場長も「商品化はある程度できています。これからは販売を伸ばして日本全国、さらに海外にも届けたい」と話す。伝統の技術と優れた素材が融合したTeWeLは、現代に合った使い方や見せ方を提案し、新しいチャネルを作ることに成功した。これからも、新潟から世界を目指すという夢の実現へ前進していく。

日本の伝統柄「市松」を施したデザインも好評
TeWeLシリーズ 「市松」 TeWeLシリーズ 「市松」
日本の伝統柄「市松」を施したデザインも好評。綿とレーヨン混紡のふきん生地は、しなやかな肌触りが特徴。タテ・ヨコ均等に糸を配列した立体的な織り方のため、吸水性だけでなく速乾性もよいので、清潔さも保てる。

 

開発のポイント

  • 異業種がコラボすることで、革新的な商品づくりが実現
  • ふきん生地を浴用タオルにするという発想の転換
  • 素材の機能性を前面に出し、サイズや使いやすさにこだわる
  • 幅広い客層に向けた商品・デザインで販路を拡大

 

企業情報

越後亀紺屋 藤岡染工場

〒959-2021 阿賀野市中央町2-11-6
TEL.0250-62-2175
FAX.0250-62-1949
URL http://kamekonya.com/

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