株式会社フタバ

2019年07月29日
NICOpress165号新商品・新技術開発

「だし」に新しい価値を作り
消費者の心を動かす

株式会社フタバ  代表取締役社長 江口 晃  氏
代表取締役社長 江口 晃 氏

フタバの4代目である江口社長。「モノづくりは、売れると思ったものが意外と売れない。ある程度早く市場に出して反応を見て、すぐに対処していくことが重要なので、スピード感は常に重視しています」行動指針にある「最速の会社を目指す」を、今回のブランド展開でも実践する。

「だし」では老舗に勝てない。「うまみ」なら一番になれる

フタバが展開する一般消費者向けブランド「ON THE UMAMI」が好評だ。鰹や昆布、鶏、いりこなどのだしパックをメインに、炊き込みご飯の素や液体だし、パスタソース、スープなどの商品を展開。初年度の2017年に東京の新宿マルイ本館で期間限定オープンしたショップでは、コーヒーのようにその場でドリップして提供する日本初の“ハンドドリップだし”が大きな話題を呼んだ。現在は各地で試食販売によるPR活動を行いながら、自社のオンラインショップや三条市の直営店への誘因を計り、着実に売り上げを伸ばしている。ブランドのキーワードは「うまみ」だ。
業務用に特化してきたゆえに地元にも何をしている会社か知られていなかったという同社。「一般の人々にも自分たちのだしを広げたい」とブランド立ち上げに踏み切った。競合は創業200年、300年という老舗。「創業65年の当社では歴史を語っても勝負にならないし、同じ土俵では戦えない。ならばどうしたらマーケットで一番になれるかと考えた時に、いまや世界共通語になっている日本ならではの“うまみ”は、誰も打ち出していないことに気がつきました。うまみをキーワードにした商品開発は和食だけでなく洋食にも広げていけると思いました」と江口社長は語る。

ON THE UMAMIショップ ハンドドリップだし
ON THE UMAMIショップ ハンドドリップだし
昨年オープンした直営店のON THE UMAMIショップ。だしを気軽に楽しんでもらおうと考案したハンドドリップだしは、乾燥野菜とマグロ節を使用。

 

人気の野菜だし 意外な反応で再確認したこと

自信を持って「うまみ」を打ち出せる背景には、同社が積み重ねてきた技術力がある。「ダシを科学する」というキャッチコピーの通り、中央研究所には検査機器を揃え、素材の分析や、味の数値化など科学的なデータの裏付けによって開発を行ってきた。「鹿児島や静岡という鰹節の産地から距離がある時点で当社は不利。産地の鰹節メーカーに負けないためには付加価値が必要で、常に研究開発型で歩んできました。今となっては産地から遠いことが、実はラッキーだったのだと思います」。
「ON THE UMAMI」のターゲットは他社より若い30~40代。日頃だしをあまり使っていないが、だしの良さを一番知ってもらいたい世代だという。商品は初年度から30アイテムをラインナップ。このスピード感も、これまでのベースがあったからこそだ。
メインのだしパックは鰹、昆布、いりこ、あご、鶏などの定番に加え、同社として初めて野菜を使った野菜だしも作った。「発売後、僕たちは定番の鰹だしが一番売れるだろうと思っていました。でも、いま一番人気は野菜だし。長年研究してきた鰹と比べ、野菜だしの開発は2年弱です。初めて取り組むものでも、わずかな期間で高いレベルのものが作れる。それは研究データや経験豊富なブレンダーがいるからこそ。改めて当社の強みは技術力だと感じましたね」。

ON THE UMAMIブランド

ON THE UMAMIブランドとして、だしパックやドレッシング、ご飯のお供になる佃煮などを展開。パッケージやロゴのデザインは外部のデザイナーに依頼している。

 

閉鎖的だったこれまでとは180度違うアプローチを

ブランドを始めるにあたり、こだわったのは直接販売。消費者の生の声を聞きたいという思いからだ。「お客様との会話からニーズが分かる。そこからヒントをもらい、離乳食用のだしの商品化も準備中です」。
さらに新ブランドは従業員のためでもあったと江口社長は話す。「いままでは一生懸命に作っても、お客様が遠かった。食べる人の声が聞こえてくるとモチベーションが違います。仕事への誇りも醸成されるし、愛社精神の思いも生まれます」。
今回のブランド展開では、BtoC、直接販売を始め、取り組みの全てがこれまでのフタバとは真逆のアプローチになっている。その決断ができた背景には、先代の言葉があった。「代替わりの際、“180度違うことをしなさい”と言われました。培ってきたものは大切に、やり方を変えなさいという意味です。今後も体制をオープンにして、いろいろな業種とコラボし、工場見学もできるようにしたいです」。
近いうちに商品を使った料理が食べられるカフェを創り、さらに海外展開も強化したいという江口社長。だし、うまみで食を豊かにすることで、人々のライフスタイルに楽しみを与えたいと、その夢は広がっている。

だしソフトクリーム

社員のアイデアで誕生した、だしソフトクリーム。加勢牧場のガンジー牛ソフトに昆布だしを加えてある。この夏はトマトやバルサミコ酢のトッピングが登場。
だしパックはだしを取るだけでなく、中身を料理に使うこともできる

だしパックはだしを取るだけでなく、中身を料理に使うこともできる。そうした情報をSNSで拡散。担当社員が日々研究所で料理を作り、レシピを発信している。

 

開発のポイント

  • 他社が打ち出していない「うまみ」に焦点を当てたブランド戦略
  • 技術力を生かしたスピーディーな商品開発
  • 直接販売、SNSを通して顧客の声を直接とりいれる
  • ターゲットの好みに合わせ、ギフトにも向くデザインを展開

 

企業情報

株式会社フタバ

〒959-1136 三条市川通中町477
TEL.0256-45-7272
FAX.0256-45-7165
URL https://www.futaba-com.co.jp/

【ON THE UMAMI 本店】三条市西本成寺2-24-26(営業時間 10:00~17:00、日曜定休)

メルマガ・SNS


ページトップへページトップへ
NICO 公益財団法人にいがた産業創造機構
〒950-0078
新潟市中央区万代島5番1号
万代島ビル9F・10F(NICOプラザ11F)

TEL 025-246-0025(代)
FAX 025-246-0030
営業時間 9:00~17:30
(土日・祝日・年末年始を除く)