創業以来、自動車部品加工を中心に工業用ゴム・スポンジ加工などを手がけてきた越後工業株式会社。その技術力を活用して車いす「輪助(わすけ)」をはじめ、さまざまな福祉介護用品の開発・販売にも取り組み、注目を集めている。
自動車部品加工の技術力とアイデアで画期的な福祉介護用品を開発
越後工業株式会社
代表取締役 木川 勇三 氏
付加価値の高い自社製品を目指し福祉分野に参入
自動車用鋳造部品加工、プレス金型製造を主要事業とする越後工業株式会社では、長年培ってきた自動車の足回り技術を活かし、近年は福祉介護用品の開発に力を入れている。
昭和54年創業の同社は、大手自動車部品メーカーからの受注を主体に右肩上がりで業績を伸ばしてきた。しかし、十数年前に起きた貿易摩擦の影響で国内の自動車生産が減少し、危機感を持ったことから、新たにゴムやスポンジ製品加工に着手。「下請けの仕事だけでなく、自社製品を持ちたかったのです。また、21世紀は福祉の時代だと言われていたので、福祉の分野で何か付加価値の高い製品を作れないかと考えました」と木川社長は語る。
そんな時、県内のある医師から「雪でも埋まらず、滑りにくい杖を作れないか」という相談を受け、自社製品第一号となった「助の杖(すけのじょう)」を開発。杖に装着する先端ゴムは特許を取得し、同社の社会的評価を高めることにつながった。
ロングセラー商品となっている「助の杖」と、別売りの先端ゴム。滑りにくいだけでなく、先端ゴムの接地面が広いためクッション作用と安定性も兼ね備えている。
乗降時の負担を減らす画期的な車いすが大反響
以前から介護者と介護される人の負担を減らす、移乗が楽にできる車いすを開発できないかと研究・試作を重ねていた木川社長は、ある自動車のタイヤホイールを見て「車輪を外すことができれば乗り降りが楽になるのでは」と発想。そこで車輪の1/3をワンタッチで取り外せる構造にし、車いすからベッドなどへの移動をスムーズにできるようにした。
さらに(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDOより、平成19年度「福祉用具実用化開発推進事業」に採択されたことから、車輪の取り外しタイプだけでなく、車輪の1/3を跳ね上げるタイプの車いす「輪助(わすけ)」を開発。国際福祉機器展などに出展すると、「画期的な車いす」と大きな反響を呼んだ。
跳ね上げタイプの車いす「輪助」は、車輪を上げてベッドとの間の障害物をなくすことでスムーズな移乗が可能。介護者の負担を軽減し、介護される人の自立支援にもつながる。
介護ロボット関連の製品開発や海外展開などに挑戦
昨年はNICOの斡旋で「医工連携 出会いの広場」に出展し、県外企業との取引も決まった。また、中国での「輪助」の販売を打診された同社はNICOに相談し、外国での販売に必要な商標登録を得るため「中小企業等外国出願支援事業補助金」に申請。現在、海外展開に向けて準備を進めている。
さらに新たな挑戦として、介護用ロボットスーツHALの装着を容易にし、装着時の体への負担を減らすクッション材などの開発に取り組んでいる。「今後は改良を進めるのはもちろん、商品化に向けてデザインなども考えていきたい」と語る木川社長。独自の技術と斬新なアイデアで福祉の世界に貢献する同社の取り組みに、ますます注目が集まりそうだ。
「下請けの仕事が減ったことがきっかけでしたが、自社製品を開発・販売するようになって当社の対外的な評価が変わってきたと思います」と語る木川社長。
NICOのコレを活用!
製品開発や展示会への出展、販路拡大などさまざまな事例についてNICOに相談。その事例に適した各種支援事業の紹介やサポートを受けています。
企業情報
越後工業株式会社
〒949-4351 出雲崎町大字沢田121-2
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