乳酸菌発酵技術で介護食用の
ペースト状のおかゆを開発
植物性乳酸菌を使った発酵技術のパイオニアであるバイオテックジャパン。お米を乳酸発酵させた同社の商品ラインアップのなかで、高齢者や嚥下困難者向けのおかゆが注目を集めている。

「当社は主食で消費者のみなさんの健康のお手伝いをしています。おいしく食べていただきたいので、これからもおかゆの味にはこだわって開発していきたいです」。
一般的なおかゆより風味が良くカロリーも摂れる商品を
約3,000種類もの植物性乳酸菌株を保有し、それらを活用した発酵技術の提供や、食品開発を手掛けているバイオテックジャパン。乳酸発酵技術で米のたんぱく質を抜いた、たんぱく質調整ごはんやパン、糖質コントロールごはんの他、高齢者や嚥下困難者向けの「やわらか食品シリーズ」も展開。その新商品として「石臼で挽いた なめらかおかゆペースト」を昨年から販売している。
やわらか食品シリーズは、先に「なめらかおかゆ とろみGO」を商品化。こちらは米粒の形が残っているものだったが、新商品はより嚥下機能が低い人向けにペースト状に仕上げた。「米を乳酸発酵させてたんぱく質を分解することで、一般的なおかゆのように多くの水を加えなくても軟らかく加工できるので、米の風味が残り、かつカロリーも多く摂取できるおかゆになっています」と開発担当の柏氏は話す。

商品化された「なめらかおかゆペースト」のパウチタイプとトレータイプ。米の風味は残したまま、飲み込みやすいなめらかなおかゆになっている。
量産化のための試作など開発費を補助金で補填
苦労したのは味となめらかさの両立だという。柏氏は「嚥下機能のレベルによって物性の値が決まっているので、その軟らかさを実現しつつ、おいしく仕上げるのは難しかったです」と話す。
また、同社では2019年に「イノベーション推進事業」を活用した。「商品開発の際、研究室で少量を作るのと工場で大量に作るのとは同じ工程で作っても物性が変わってしまうため、量産化には検討作業がとても重要です。今回の補助金は試作品の材料費も補助対象になっていたため、試作回数を増やせたことがとても良かったです」と振り返る。
同社ではトレータイプの米飯が主力商品だが、今回の商品は粘度の関係で、容器に充填することが難しく工程にも工夫が必要だったそうだ。
少量でも栄養が摂れる介護ニーズに応える新商品
2020年5月にパウチタイプ、今年1月にトレータイプを発売。一般向けには自社通販サイト「越後くらぶ」や楽天などで販売している。販売前には販促資料や販売サイトのデザイン作成にもNICOの支援を活用した。「“普通のおかゆは食べない人が、これなら食べられると言っています”というレビューを見たときは、とてもうれしかったです」と柏氏。今後も改良をかさねてさらに食味や食べやすさを向上させていく予定だ。
また、現在、同シリーズで栄養強化タイプのおかゆペーストも年内発売を目指して進行中だ。「高齢になると食べる量が少なくなるので、同じ量でも栄養とカロリーが摂れる商品を提供したい。同時に介護に携わっている方のお役に立てればと思います」。
企業情報
株式会社バイオテックジャパン
〒959-1923 阿賀野市勝屋字横道下918-112
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