ユーザーの要望と感性に応えられる自転車用工具を世界へ
「インスタグラムの文章はほぼ英語で、工具の画像や使い方の動画などをアップしています。新しいカタログも製品名やスペックなどは全て英語にし、日本人でも外国人でも見て分かるようなものにしました」と語る相場社長。
百年物語への参加が自社の強みに気付くきっかけに
鍛造部品を主力にレンチやスパナなどの作業工具を一貫生産する相場産業は、2011年に自転車用工具ブランド「RUNWELL(ランウェル)」を設立。国内をはじめ海外へと販路を広げている。
自転車用工具に着手したきっかけについて、「NICOの百年物語に参画したことが大きかったですね。それがなければ工具から脱却していたかもしれません」と相場社長。百年物語の取り組みを通して他企業と関わったり、海外の展示会に出展したりと様々な刺激を受けた中で、50年に渡り培ってきた作業工具のノウハウを持っていることが自社の強みと判断。さらに、自転車用工具は特殊性と趣味性が高い製品。付加価値も高く、自社が得意とする専用工具の製造技術が活かせることと、大手メーカーが参入しない市場規模であることも、新事業として選んだ大きな理由だった。
商品開発や販路開拓の経験を経て起業を決意
同社がターゲットとするのは、「シングルスピード」と呼ばれる変速機のないスポーツ自転車のユーザーだ。当初から「工具を使う方と直接話をしながら、新規性の高い製品を作り上げていきたいと思っていました」と語る相場社長は、NICOの「地域中核企業国内販路開拓促進事業」を活用し、日本最大のスポーツ自転車展示会「サイクルモードインターナショナル」に出展。この展示会の来場者はエンドユーザーが中心のため、ユーザーから工具への要望や意見を聞くことができる貴重なマーケティングの場となっている。「ここで出会った競輪選手の方の要望で商品化した工具もあります」と相場社長は成果を語る。
インスタグラムを通して各国から問い合わせが
昨年末、海外の有名な自転車情報サイトにRUNWELLの工具が取り上げられたのがきっかけで、英語を主体にした同社のインスタグラムに海外からの問い合わせが増加。現在はヨーロッパ各国、オーストラリア、アメリカ、中国などで販売され、ドイツとオランダへの進出も決まっている。「2018年は海外進出の1年目なので、各国の市場の反応を見て来年の展開を考えているところです。今後はヨーロッパのトラックレースなどプロの業界で使われる工具も製造していきたいです」と展望を語る。燕三条で培ってきた強みを武器に、ユーザーの感性に応えられるモノづくりを追求してゆく。
会社情報
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