変わるものと変わらないものが心地良く共存する空間
埼玉県出身の亜希子氏(写真右)。古町の良さは「アーケードがあるので天候に左右されず、ベビーカーでも買い物がしやすいところ」。前経営者の禮子氏(写真左)は「洋品店や喫茶店を始めた姑は、世の中を見る目があり、これだと思ったら必ずやる人だった」と話してくれた。
代替わりを機に事業を一本化 店舗もリニューアル
喫茶MAKIは2018年1月、前経営者の山口禮子氏から長男の妻・亜希子氏に事業を承継。経営母体の株式会社も「山喜開興堂」から「山喜」に名称を変更した。その歴史は古く、ルーツは百年以上前にさかのぼる。「昔はかんざしや箪笥の引き手などの金属を加工する『飾り職』をしていたそうです。戦後に姑が洋品店を始め、その後、喫茶店ブーム全盛の昭和44年に『喫茶マキ』を2階で始めました」と禮子氏。さらに1階を改装し洋品店とお好み焼き店を展開したが「私も夫も高齢になり、3店舗続けるのは難しい」と喫茶店一本に絞ることにした。
事業承継にあたってはNICOの「新潟県事業引き継ぎ支援センター」を利用。「税制面や融資の支援に関する情報を教えていただきました。それに沿って当社の担当税理士と相談し、約1年かけて引き継ぎを完了しました」と話す禮子氏。
常連客にはさらなる楽しさを、新規客には入りやすさと利便性を
喫茶店を1階に移す際に設計士に依頼したのは「これまでの雰囲気をできるだけ残したい」ということだった。大切に使い込まれた革のソファやレトロな照明器具はそのまま使用。一方で、充電に使えるコンセントやWi-Fiを時代に合わせて導入した。若い客や学生の利用も増えているという。
特徴的なのが音響設備やステージだ。同店では、2階にあった頃から音楽ライブや歌声喫茶を盛んに開催する。「新潟ジャズストリートへの参加をきっかけに、勢いもあってグランドピアノを買ったんです。ジャズストリート以外でも使ってもらおうとあちこちに声をかけ、ライブや歌声喫茶に広がっていきました」。
幅広い世代が入りやすい店内。中央のパーテーションはキャスター付きでイベント時は簡単に移動できる。
月に4回行われる歌声喫茶は毎回50人ほど集まる。大きな声で歌って体の中から活性化。友達ができ、帰りにデパートで買い物するのを楽しみに来る人も多いとか。
守るものは守りながら新しい挑戦をしていく
料理は改装前同様、安心安全と手作りにこだわる。デミグラスソースやベシャメルソースまで自家製だという。「アレルギーの方から卵や小麦粉は入っていますかと聞かれても、すぐに確認して対応できます。それも手作りの良さの一つ」と亜希子氏。今後の店づくりに関しては「まだ修行中の身」と言いつつ「子ども向けの何かを考えたい」と話してくれた。時代の風を読みながら代々の経営者が切り盛りしてきた店。亜希子氏がどのような道を切り開くか楽しみだ。
会社情報
株式会社山喜 喫茶MAKINICOクラブ会員
〒951-8063 新潟市中央区古町通り6番町956
TEL.025-222-2735
FAX.025-222-1853