体験を通して十日町の着物文化と本物の価値を伝えたい
「外国の方に向けた体験型の商品は、ご自宅で使っていただける、飾っていただけるような、商品として恥じないものを考えています。“大地の芸術祭”や着物イベントを通して、十日町にこういう産業・文化があるということを知っていただきたいですね」と語る青柳専務。
丁寧な手仕事を間近で見学し着物の価値を実感
株式会社青柳は十日町市で80年の歴史を持つ着物メーカー。創業以来、オリジナリティのある作品にこだわってきた同社は、昭和50年頃から一貫生産システムを構築し、数年前からは着物が出来上がるまでの工程を見ることができる工房見学を受け付けている。「着物は高価なものですから、どのように作られているのかを直接ご覧になっていただくことで、『青柳のキモノ』の魅力と、その真の価値を実感してもらいたいという思いで始めました」と青柳専務は語る。
訪日外国人に向けて体験型の商品プランを開発
近年、外国人観光客の見学も増加しており、工房見学に付随したハンカチ染めや手描き友禅の体験も好評だという。「着物は技法的に奥が深いので、現場で見ただけでは理解しにくい部分があります。そこで見学後に体験をしていただくと、大変喜ばれますし、職人の技術の高さも伝わるのではないかと考えました」。
こうした反響から、同社は「訪日外国人向け商品開発支援事業助成金」を活用し、体験型の商品開発を含めたプランを企画。「自分の感覚や思いを込めてもらった商品を提供したい」と、見学後に染めや手描きなどの体験をしてもらい、その生地を使って同社がクッションやテーブルクロスなどの商品に仕立て、体験者に渡すというプランを考えている。
観光と産業のマッチングでインバウンド市場を拡大
「十日町きものまつり」をはじめ、今年5月には市内13社の着物工場を見学できる「十日町きものGOTTAKU」を開催するなど、着物に焦点を当てた観光に力を入れる十日町市。今夏は3年に1度の「大地の芸術祭」が開催され、外国人も多く訪れることから、地域と企業が一体となって『きものの十日町』をアピールしている。
「これからは観光と産業のマッチングが大事になってくると思います。そして、メーカー側から発信し、消費者に直接語りかけることでメーカーのブランド力を上げていくことが重要。当社は一貫生産の工房を持っていることが強みなので、そこを知っていただくことでブランド力を上げたい。そのためにも芸術祭や観光とうまくマッチングしていきたいです」。 お客様の心をつかむモノづくりのストーリーや伝統技術の体験で、地域産業と連携した観光への取り組みが加速し、十日町のインバウンド市場をさらに盛り上げていくだろう。
会社情報
株式会社青柳NICOクラブ会員
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