業種を超えた地域連携が、インバウンド推進に求められる
「台湾を筆頭にアジアの富裕層から熱い視線を注がれる中で、佐渡金山の世界遺産登録はまさに悲願。2020年東京オリンピックも、都内からアクセス抜群の新潟にはビッグチャンス。今後も皆様に役立つ情報を発信し、雪国観光圏や妙高ツーリズムマネジメントとも連携していきたい」と話す渡邊取締役(写真右)と山岸課長(写真左)。
新潟の「奥」へと足を延ばす 佐渡への流入がカギに
新潟県へのインバウンド(訪日旅行客)誘致に取り組むことを目的とする新潟・佐渡観光推進機構株式会社は、佐渡汽船、日本旅行、日本政策投資銀行が中心となって2017年6月に設立された。同社の協力会には約100社の県内企業が参加している他、新潟県をはじめとする自治体や県内のDMO※1組織とも連携して海外でのプロモーション活動を行っている。渡邊取締役は「海外を無視して産業も観光も成り立たない時代です。先を見据え民間企業も準備しなくては取り残されてしまう」と話す。
県内のインバウンドに関する動きのひとつに、佐渡島に渡る台湾からの観光客の伸びがある。台北から新潟への直行便やアニメ映画、SNSなどの影響から、たらい舟や砂金採り体験が人気で滞在日数は3~4泊だという。「佐渡は新潟観光のメインコンテンツのひとつ。東京経由で新潟に入るとしても、越後湯沢までと言わず、新潟市や佐渡に来てもらうことで周遊につなげたい」と山岸課長。
※1 DMO=デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーションの略
現地プロモーションと併行し受け入れの体制整備が急務
昨年台湾では、佐渡市と連携して、デジタルサイネージの活用、たらい舟やジェットフォイルをデザインしたラッピングバスを台北市内に数十台走らせるなどして一般市民への認知拡大を図った。2018年度のセールスでは、台湾、香港、韓国、中国での商談会、エージェントやマスコミを招いたプレスツアーなどにより、団体ツアー客誘致を進めていく。
また、外国人旅行者のみ購入できるチケット「SADO-NIIGATA PASS」も好評だという。カーフェリー往復乗船券や島内路線バス乗車券などが付いて便利でお得感があり、FIT(個人旅行者)※2の増加に寄与している。渡邊取締役は「5月に両津港ターミナルの売店が免税対応となりました。今後はモバイル電子決済や二次交通など、受け入れ側の体制をより充実させたい」と力を込める。
※2 FIT=Foreign Independent Tourの略
必要に応じ行政とも連携し会員企業を後押しする
「私たちが旗振り役となり、新潟の観光と産業をより強固に結びつけ、県や自治体などの行政と民間をつなぐプラットフォームの役割も担いたい」とする同社。県の観光プロモーション計画や観光客数のデータなどを会員企業に発信し、観光のさまざまな展開に役立ててもらう。また、会員の宿泊施設や観光施設の協力も得て、どの国から来た旅行者がどのように動いているかニーズを詳細に分析し、より効果的なプロモーションにつなげる方針だ。業種や立場を超えた動きによってインバウンド促進の役割を担っていく。
会社情報
新潟・佐渡観光推進機構株式会社
〒950-0078 新潟市中央区万代島9-1
TEL.025-243-7366
FAX.025-384-4407
URL http://niigata-sado.co.jp/
6月14日~17日に開催された、香港国際旅行展示会(ITE)およびMICEトラベル・エキスポの様子。旅行関係者はもちろん、一般公開日には海外個人旅行を好む富裕層も多数来場した。(右写真)