独自の金属加工技術を活かし、日本を感じる商品を開発
「スタート以来、予想よりも問い合わせが多く期待しています。今後は羽田空港の売店にもアプローチし、新潟空港にも扱ってもらえるように頑張っていきます」と話す田中社長(写真中央)、田中業務部長(写真右)、星企画部課長(写真左)。
公的支援をきっかけにインバウンド市場を意識
洋食器メーカーとして、ステンレスや純銅製の商品を企画から製造まで手掛ける株式会社アサヒ。伝統技術に加え、キャラクター商品をはじめ多彩な開発力を持つ。近年、インバウンド市場向けアイテムを新ジャンルとしてスタートした。
きっかけはNICOの「訪日外国人向け商品開発支援事業助成金」を知ったこと。田中業務部長は「外国人旅行者の増加を踏まえて、その市場に対して何かしたいと思っていましたが、どうしても開発初期は金型などの費用が大きく踏み出せませんでした。助成金を活用できるなら、東京オリンピックも控えている今がいいタイミングだと感じ、チャレンジしました」と話す。
外国人が好むモチーフと自社の技術を組み合わせる
助成金を活用して開発したのは純銅製の富士山タンブラー。富士山の絵と文字を型押しで浮き彫りにし、金と銀のメッキで仕上げた。オリンピックメダルの金・銀・銅もイメージさせるものになっている。今年1月の展示会で紹介したところ、和雑貨のセレクトショップでの取り扱いが決まった。また百貨店向け問屋の担当者からは「ここまで作り込んだ銅製の金属カップは他では見かけない」と評価されたそうだ。
その後、NICO主催の国際大学の留学生との意見交換会にも参加。企画部の星課長は「富士山やゴールドが好きというのは予想通りでした。一方でタンブラーは1万円という価格が高いという意見もありました。一緒に提案した浮世絵モチーフのカトラリーは好評。外国人は知り合いに配るために大量にお土産を買うので、1本450円のカトラリーは手頃だと評価してもらえた」と振り返る。
留学生などの意見も参考に継続して商品展開を目指す
その他にも、山中塗とコラボした漆仕上のステンレス製お猪口なども、日本の職人技がつまった高級アイテムとしてアピール。田中社長は「昔からの銅加工経験をもとに、培ってきた独自技術を活かすことで外国人向けの商品開発が出来ている」と話す。
今年度も助成金を活用し、新潟をモチーフにしたデザインの銅製のアイスクリームスプーンを開発予定だ。また、留学生の意見をもとに、価格を抑えた金属カップの開発も考えている。「インバウンド向けの商品をシリーズ展開できるようになったことは会社にとって大きく、さらなる新しい販路開拓を目指したい」と期待を膨らませる同社。培ってきた開発力を強みに挑戦は続く。
氷もあっさりと溶けるほどの熱伝導率の高さを利用した純銅製アイスクリームスプーン。こちらもインバウンド向けのデザインを開発予定。
会社情報
株式会社アサヒ
〒959-1288 燕市燕610
TEL.0256-63-6061
FAX.0256-64-5732
URL http://www.asahi-spoon.co.jp/
浮世絵カトラリーは、検討を重ねて金メッキに決定。外国人が思い描く日本らしいものとして浮世絵をモチーフに選んだ。