次は「圧力」が世界を変えます。新潟は高圧処理技術の更なる活用を。
「日本が生き残るために世界に誇る5つの強みは、❶細部にまでわたる配慮と繊細な技術、❷基本的な物理現象の研究から加工し製品化できる技術、❸機能性を持たせた食品開発、❹“深化”した包装技術と安全な食品提供、❺輸送技術の変革」と話す山﨑会長。
長年の高圧処理技術研究と創意工夫がつまった米飯商品
パック米飯はじめ、包装餅、米菓の製造販売を行う越後製菓株式会社。高圧処理技術の研究と利活用で最先端をいく会社でもある。高圧処理技術は「熱」に代わるエネルギーとして注目される「圧力」を利用した技術。圧力による加工は、タンパク質の立体構造を壊さないので、食品の風味や栄養価を損なわずに加工することができる。
この技術は、同社の「越後のごはん」「日本のごはん」など、電子レンジで温めて食べるパックご飯に活用されてきた。圧力により米粒の内部まで十分に吸水されているので、ふっくらと美味しいご飯に仕上がると評判の商品だ。
常識を覆す2つの発見で食品加工の領域が広がった
パックご飯の商品化以降も、高圧処理技術の研究を続けてきた同社では、最近いくつかの大きな発見があった。1つは圧力を利用した無菌化技術だ。通常の食品殺菌は120度近くの熱を加える「レトルト殺菌」が一般的。しかし、圧力で菌の耐熱性、耐水性を落とすことで、100度以下の熱でも無菌化できることを発見した。「弊社では圧力処理で8億食ものパック米を出荷してきたが、菌による事故はゼロです」と山﨑会長は語る。
2つ目の発見は、収穫後の農産物でも高圧処理を施すことで、含まれる組成を増加できること。つまり店に並ぶ野菜のビタミンやリコピン、GABAといった有用成分を増やし、農産物の付加価値を高めることができる。「たとえば認知症を発症しにくい食べ物など、これからはいかに身体に役立つかという食品を作らなければなりません。機能性を持たせた食品の開発が重んじられる時代です」と山﨑会長。
人類を救う圧力の可能性。新潟から世界へ
そして、高圧処理技術は、高圧力下の0度以下でも水が凍らない領域を利用し、臓器保存やその輸送への活用も期待されている。
高圧処理技術のトップランナーである同社だが、研究したからすぐ経営がうまく行く、という簡単なことではないという。「基礎となる研究の継続が、新しい商品づくりに与える影響は非常に大きい。その努力が利益を出せる商品を生んでいくのです。」高圧は人類を救う技術で、しかも日本が最も進んでいるという。「新潟が本格的な高圧技術利活用の県になり、そのすばらしさを県民に理解してほしい。それをNICOにも支援してもらいたい。火や熱と同様に、高圧も必須になる時代がやって来るのだから」と山﨑会長。未来の産業をつくる同社の研究は続いていく。
会社情報
越後製菓株式会社NICOクラブ会員
〒940-8622 長岡市呉服町1-4-5
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