「強みを打ち出す」アドバイスで事業の方向が明確になりました。
専務取締役 中林 道治 氏
「NICOには、時代がどちらに向かって、産業が構造的にどうなっていくかを指し示していただきたいと思っています。他県にはない支援を今後も活用していきたい」と話す中林社長(写真右)と中林専務(写真左)。
創業からつながっている「不快」を「快適」にする商品コンセプト
1958年、兄弟4人で購入した1台の編機から始まった株式会社山忠。試行錯誤のもと靴下を製造し、問屋には卸さず自ら売り歩いた。まず、売り先やニーズを探し、そこで得たヒントで商品を製造・改良していくという事業スタイルは今も生きている。
婦人会との出会いから、カタログ回覧による組織販売を展開。会員から「満たされていないニーズ」を集めて商品を改善し、買いやすい価格と市場の上をいく品質で販売拡大に成功した。
しかしその後、専業主婦が減少し、着手したアパレル事業も大資本の競合に価格で勝てない状況になる。「その時助けてくれたのが、お客様のお悩みを解決するために品質を追求し、特許技術から開発した、履くだけでかかとが“ツルツル”になる靴下でした」と中林社長は当時を振り返る。大手通販のチラシ同梱サービスや折込を利用し、個人客の通信販売にシフト。これが功を奏し、注文が殺到した。
相談することで次の一歩が踏み出せた
中林社長が常務の頃、NICOの前身の1つであるIDS財団の「商品開発ワークショップ」に出席。総合プロデューサーの黒川氏から「より専門化し、強みを打ち立ててみては」とアドバイスをもらった。「その出会いが、私を変えましたね」と中林社長。顧客調査を行い「当社は不快を快適にする、負のニーズを見つけて改善する、ということを大事にしなければならない」と、事業の方向が明確になったという。
「足の大家」というコンセプトのもとニーズを掘り下げ、さらに「健康靴下メーカー」であることを顧客に意識してもらえるように、カタログも刷新。通販部と商品企画部を合体し、より「販売」を先行させる体制をつくった。
新たなコンセプトを創造し、ブランド展開
2006年にNICOの支援を利用し、経営革新計画に取り組み、従来の商品に限らず、生活の中の不快や不具合を解消する商品を提案する事業に着手。その後も黒川氏との個別相談を重ねてきた。近年はフットヘルスウェアをコンセプトにしたブランド「ケアソク」や、ECサイト「温むすび」を展開。中林専務が中心となって進める「DRESS HERSELF」は、肌に優しいというテーマをより強化し、シルクにこだわる新ブランド。百貨店での展開も始まった。
「新潟には、良いものを作るのは得意でも、その価値のPRに一歩前に踏み出せない企業も多いのでは。支援やコラボによって、自社のモノづくりの丁寧さ、商品力の高さを再認識できました」と中林専務。次の時代へ、同社のブランド展開は新たな歩みが始まっている。
会社情報
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