IT業界を魅力的に。新潟をITで元気に!
「新潟のITエンジニアは技術があり優秀ですが、下請けが多く、顧客と直接対話しニーズを拾い上げるなどの上流工程を経験する機会が少ないのが問題。当社の人材育成では、人前でプレゼンする能力を養うためにセミナー講師などに社員が積極的に取り組んでいます」と話す樋山社長。
ユーザーと作り上げる画期的な開発手法
ウイングは昨年11月、会計検査院のシステム開発を受注した。その背景にはジェネクサスなどの超高速開発ツールを用いた「エンタープライズアジャイル」と呼ばれる開発手法がある。これは、従来のようにシステム要件を文書にまとめ、基本設計を作り、プログラミングを進める手法とは違い、初期段階からシステムを作って先方に使ってもらい、1~2週間単位で試用と修正を繰り返して完成させていくアクティブな手法だ。長くかかっていた開発期間が大幅に短縮され、コストも抑えられる。
「一番うれしかったのは、会計検査院の担当者が『以前はIT会社に頼りがちだったが、自分たちも主体的に開発に携わる本来の形を取り戻すことができた』と言ってくれたことです」と樋山社長は振り返る。
業界イメージを変えたい コミュニティを発足
樋山社長は日本のIT業界全体にも目を向け、東京でIT企業13社による「超高速開発コミュニティ」を立ち上げた。そこには2つの強い理念があった。「まずは企業のスピード経営を応援すること。従来のように完成に1年近くもかかるシステム開発では、経営の足を引っ張りかねません。海外ではそれがネックになり、中国や韓国のIT企業に仕事が流れてしまう現実もあります。同業者が協力し変えていきたいと思いました」。
もう1つは「業界イメージを魅力的に変えること」。それを象徴するのが、昨年総務省で行ったコミュニティのイベントだ。ユーザーの前で、通常半年以上かかるシステムに制限時間60分で挑戦するというもの。「IT=部屋にこもって静かに作業するイメージとはまるで違い、会場はスポーツ競技のような熱気に満ちていました」。新潟でも開催し、ユーザーから要望を聞きコンサルや設計の工程もできるITエンジニアの人材育成につなげている。
新潟のITビジネス活性化のために何ができるか
県内では昨年から、企業の問題解決に貢献したシステムの成功事例などを発表する「新潟ITアワード」を開催。新潟の企業をITで支え、さらに県内IT企業の優れた技術を発信することで、学生の県内就職増加やU・Iターンの促進を図りたいとしている。また、IT人材不足やITに多額の投資ができない中小企業のために、情報をインプットするだけでシステムを自動生成するツール「Magic Logic」を開発した。
「夢は、東京一極集中の現状を変えて“新潟のITって面白い”と思ってもらうこと。新潟のITエンジニアは優秀、もっと能力を発揮させたい」と話す樋山社長の挑戦は続く。
企業情報
株式会社ウイング
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