妙高市発のベンチャーが起こす半導体革命
「10マイクロメートルピッチの配線は、非常に難しい開発でした。インプリントという技術を使っていますが、導電ペーストが凹部に半分残る『泣き別れ』にも悩まされましたね。今後早く製品に適応したいです」(小松ダイレクター)。
従来の常識を覆す接合技術でIoT化を強力に後押しする
2009年に設立した半導体受託生産ベンチャーのコネクテックジャパン。普段目にする機会が少ない半導体だが、パソコンやスマホを始めさまざまな家電製品に組み込まれており、今や私たちの生活に欠かせない存在だ。そんな半導体は、配線回路を形成しICチップに仕上げる「前工程」と、ICチップを基板に接合する「後工程」を経て完成する。同社はこの「後工程」に特化した企業として躍進する。
コネクテックジャパンの強みは独自の基板実装技術「モンスターパック」にある。従来はICチップを基板に接合するには、260℃の高温で行う「はんだ接合」が常識だった。しかし、同社のモンスターパックでは特殊な銀ペーストを用いることで、80℃という低温接合を実現。これにより、熱に弱い樹脂などにもICチップを実装できるようになった。
今後あらゆる物がインターネットにつながるIoT化が進んでいくと言われているが、さまざまな素材にICチップを実装できるモンスターパックの技術が、そんな未来を切り拓いていく。
ナノテク研究センターを活用し世界初の狭ピッチ配線を実現
半導体は常に高性能化・省電力化も求められてきたが、それには半導体の小型化が必要不可欠であるという。「前工程でのICチップの微細化は進んでいましたが、後工程に含まれる基板の配線ピッチの微細化の遅れがボトルネックになっていました」と話すのは同社の小松氏。そんな中、NICOのナノテク研究センター利用のオファーを県工業技術総合研究所から受けた。
「自社で保有するのが難しい、微細加工をするための高価な真空装置を利用させていただき、世界初の10マイクロメートル(=100分の1ミリメートル)ピッチの基板接合を実現できました」。
強い開発力を武器に半導体の革新を起こし続ける
この技術が実用化されると、より高い性能を持つCPU(中央演算処理装置)を利用できるようになる。それはスパコンなどの特殊な用途だけでなく、ゲーム用パソコン等にも使われるという。
既に海外メーカーからの問い合わせも来ており、その革新的な技術はグローバルに注目されている。強い開発力は、日本の半導体技術を牽引してきた同社のベテラン技術者たちによるもの。2020年の上場を目指し、半導体業界に革新をもたらしながら成長を続けている。
企業情報
コネクテックジャパン株式会社
〒944-0020 妙高市工団町3-1
TEL.0255-72-7020
FAX.0255-78-7120
URL http://www.connectec-japan.com/