ロボットが人と共に働く効率的な生産現場を実現
「最初は仕事をロボットに取られるのではというイメージから、現場の反発もありましたが、目的はそうではない。いまは人とロボットが上手く共働する形が出来てきたと思っています」と話す市原常務。
2015年からロボットを導入 人の負荷を減らす効果大
自動車用電気二重層キャパシタモジュールや各種モニター用のカメラなどの製造を行っているケミコン長岡株式会社では、2015年から生産現場にロボットを導入。生産性の向上に効果を得ている。
2013年夏、展示会で双腕型のロボットを見て、工場に生かせる方法はないだろうかと感じたことが、導入へのきっかけだった。市原常務は「狙いは品質安定やコストダウン、そして人材不足への対応でした。電圧を測定し続ける単純作業や、有機溶剤を使用する洗浄の現場などにロボットを採用することで人への負荷を低減し、効率はアップさせることができる。その分、従業員には人間の感覚でしかできない仕事をやってもらえます」。
導入先ごとに開発が必要なハンド部分も社内で対応
現在、調整中のものを含め、同社では6軸多関節ロボット5台、15軸双腕型ロボット4台を所有している。最大のポイントは、ロボットのプログラミングや、作業に合わせて開発しなければならない“ハンド”の部分の設計・製造を、社内の生産技術チームで対応している点だ。長年、メカの開発製造に携わってきた技術、経験を活かしている。
導入までは、生産技術チームが現場に近い環境を作り、テスト・調整を重ねる。このとき、工夫が必要となるのがロボットの周辺環境だ。「ロボットに材料供給する仕組みは、できるだけ複雑な制御を用いず、傾斜に材料を滑らすなど、シンプルな仕組みで作っています。せっかくロボットを入れても、周辺に多額の費用がかかっては効果が得られなくなるので知恵を絞っています」。
ロボットが動く工場を見て入社を決めた社員も
双腕型ロボットは作業内容に応じてロボット自身の視覚センサーで情報を入手し、画像解析して状況に適したハンドに変えるなど、高度な作業を任せることができる。「そのタイプで1台1000万円ほどしますが、遠くない時期に回収できると思っています。今後も希望としては導入を増やしたいし、稼働時間も増やしたい。ロボット導入によって、現状の人員数で生産高を倍にすることが理想です」と話す市原常務。
最近は関連会社からの見学が頻繁だ。また、ロボットの導入を見て、当社への入社を決めた社員もいる。将来は見学コースを作り、子どもたちにものづくりへの興味を喚起したいとも話す。ロボットが同社にもたらす効果は、さまざまな面に広がりを見せていきそうだ。
会社情報
ケミコン長岡株式会社
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