スイットル搭載ロボットで食品生産ラインの課題を解決
「これまで通りオーダーメイドの製品を大切にしながら、今後は標準仕様の製品にも力を入れて事業展開していきたい」と語る古川社長(左)と、「機械を納入した後も、お客様からの問い合わせには迅速に対応すること。それが信用に繋がります」と語る椿常務(右)。
形を変えずにすくい上げ移動させる技術を開発
古川機工株式会社は食品加工関連の機械・生産設備を主体に、完全オーダーメイドで開発・設計・製作を行う提案型機械メーカー。現在、売上の8割を占めるのが、同社のコア技術「SWITL(スイットル)」を活用した装置だ。
スイットルは、掴むと形が崩れやすい物をすくい上げ、そのままの形で移動できるハンドリング技術。パン生地を手作業で移動させる工程を自動化したいという顧客のニーズを受け、ロボットハンドにスイットルを搭載した装置を2008年に開発。以来、さまざまな食品生産ラインに活用され、近年はスライス肉をトレーに自動充填する装置を開発した。「肉のスライスは機械で出来ても、トレーに入れるときは肉の形状によっては両端を折り込む必要があるため手作業で行っていました。その工程も、スイットルを使って自動化できないかという要望だったのです」と椿常務は話す。
標準化した製品として全国への販路拡大を狙う
「肉は不定形で形も崩れやすい。どのタイミングですくい上げ、どうやってトレーの真ん中にきれいに入れるかというところが難しかったです」と古川社長。試行錯誤の末、カメラを使って肉の中心部を画像認識させ、トレーの中心へ入れることに成功した。
同社は名古屋のスライサーメーカーとコラボレーションし、このスライス肉自動充填装置を標準化した製品として全国に販売することを計画。コンパクトで汎用性の高い装置の開発に一昨年から取り組み、ようやく形が見えてきたという。
ロボット導入により食品生産現場の負担を軽減
ロボットシステムを提供することで、生産現場のコンパクト化や省力化、コスト削減、生産性の向上などを実現させてきた同社。さらに、「食品工場は衛生管理が重要。人が入ると、どうしてもカバーしきれない部分がありますが、機械は一度入れると外から異物を持ち込む心配がないので、衛生管理の負担減に繋がります」と椿常務は語る。
動画やメディアを通してスイットルの認知度も上がったが、「スイットルの技術とロボットを組み合わせた製品をもっと増やし、より多くの人に使ってもらうことが目標です」と古川社長。同社ならではの技術を武器に、より付加価値の高いロボットシステムを開発し、今後もハンドリング業界に旋風を巻き起こしてゆく。
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