ニッチトップ戦略で世界へ
建設現場にイノベーションを
開発の原動力は、「うちにしかできないものを作りたい」という思い。ユーザーに「この会社はここまで追求するのか」「この会社のものを買っていれば間違いない」と思ってもらえる高みを目指したいです。
作業者の健康・安全と
環境を守る集塵カバー
コンクリートを研磨・切削・切断するグラインダは建設現場になくてはならない工具の一つ。しかし作業中に舞い散る粉塵による健康被害が問題視され、欧米では2010年代に規制を開始。そこに着目し、高性能集塵カバーで急成長を遂げているのがナカヤだ。衛藤代表は大手電機メーカーの元エンジニアで17年前にUターンした。「入社当時は卸業だった会社の財務状況など右も左も分からない状態で、NICOさんにはお世話になりました。時には厳しいご意見をいただき、悔しい思いをしたことも。ですが、そのおかげで自社ブランドを持つメーカーに思い切って舵を切ることができました」
集塵カバーなし
カバー使用時
苦い経験を経て再びケルンの見本市へ
現在は売上の95%が自社製品。建前・内装用工具が5割強、集塵カバーの国内向けが約20%、輸出が約18%だ。集塵カバーは、特に欧米では規制の関係から「否が応でも買わなくてはならないもの」。そこに活路を見出し、狭い分野をとことん極める「ニッチトップ戦略」を掲げて海外に打って出た。
2010年、世界最大規模のケルン国際ハードウェア・メッセに出展。「商品も準備も足りず大失敗でした。ただ皆さんに興味は持っていただき、百数十社と名刺交換をしましたが、今の取引先には一社も残っていません。やはり準備はしっかりしないとですね」と振り返る。苦い経験を糧に商品開発を進め、NICOの海外展開加速化支援事業も活用。満を持して今年9月、ケルンの見本市に再び挑んだ。目玉はマルチアダプタシステム搭載の集塵カバー。95%を超える高い集塵能力を持ち、固定する接続具の構造により、ほぼすべてのグラインダへ装着が可能な画期的な製品だ。NICOのイノベーション推進事業も活用し、2年半かけて開発した。
石やコンクリートの建物が多い海外、特にヨーロッパで重宝されるナカヤの集塵カバー。実演スタイルの展示はインパクトも抜群だ。
マルチアダプタシステム
従来品の集塵カバーが装着できるグラインダは4割ほど。ネジを外してアタッチメントを取り替える必要があったが、本製品はワンタッチで主要メーカーの各種グラインダに取り付けられる。
IDSプロ・バリュー賞受賞を弾みに
マルチアダプタ搭載の集塵カバー「NK-125MA」は、「ニイガタIDSデザインコンペティション2022」においてプロ・バリュー賞を受賞した。「見た目のデザインではなく、コンセプトや開発の背景から選んでいただいたのが非常に嬉しかったです」と語る。今後はマルチアダプタを水平展開し、輸出比率を3割に伸ばすことが目標だ。若い人材も増え、ますます期待が高まる。
企業情報
株式会社ナカヤ
三条市柳沢1313-92
TEL.0256-38-4747
URL https://nakaya-tools.com/