株式会社清雅堂

2021年04月01日
NICOpress175号商品評価・ブラッシュアップ新商品・新技術開発

定番商品をブラッシュアップ
デザインアドバイスにより新しい価値を生み出す

弥彦の地で鍛金・鎚起による金属工芸品を手掛けている鎚起工房・清雅堂。2代目の西片正氏とふたりの息子さんの3人で製作を行っている。今回、長男の西片亮太氏がNICOの「百年物語」に初挑戦。工房に新たな風を吹き込む新作が出来上がった。

鎚起作家 西片 亮太 氏
鎚起作家 西片 亮太 氏

「この酒器を、日本酒をひとりで味わう時や大切な人と飲むとき、飲食店など多くの方に使っていただきたいですね。今後はいろいろな鎚目のパターンにも挑戦していきたいと考えています」と話す西片亮太氏。

百年物語のプロジェクトに参加
デザインアドバイザーと初タッグ

ふっくらと優しい丸みを帯びたフォルムが印象的な「ちろり」と「ぐい吞み」。この酒器シリーズは清雅堂が百年物語のプロジェクト「百年物語チャレンジ」に参加し、生み出したものだ。 鎚起職人である西片氏は、昨年の秋、百年物語の説明会に参加。「それまで百年物語は当社のような小さな会社では参加できないと思っていたのですが、少量生産でも大丈夫ということや、今回からの試みとして既存商品のブラッシュアップという参加方法もあると聞いて、我々にも可能性があるのではないかと感じて、挑戦を決めました」。 昭和20年の設立以来、長く愛されている定番商品や注文製作で安定した売上はあったが、時代の流れを考えると、この先も今まで通りで良しとは思っていなかったという西片氏。「良いものは残しながら、新しいアイテムも作っていくようにしたい。百年物語への挑戦は、そのいいきっかけになると感じました」。 ブラッシュアップする商品として選んだものは、最も人気があるという錫製と銅製(錫被せ)の酒器。錫は日本酒の雑味を取ってくれると評価される素材で、日本酒好きや日本酒にこだわった飲食店からの引き合いが多いという。 2代目である父に代替わりしたころから作り続けられている定番品を、今回の百年物語のテーマである「KAN-NOU(感応・官能)プロダクツ from NIIGATA」に沿い、デザインアドバイザーの村田智明氏のアドバイスを受けながらリデザイン。どこか人体を思わせるような丸みがある、手に馴染む形を目指した。こだわったのは、本体から取っ手までが流れるようにつながる一体感だ。

酒器3種 ちろり ぐい吞み

酒器3種はそれぞれ、ちろりとぐい吞みがある。既存商品をブラッシュアップする「百年物語チャレンジ」の第一弾商品だ。

 

工房独自の技術で生まれる
深いブルーや茜色も大きな魅力

鎚起によって、このような柔らかな曲線を生み出すことは時間と手間がかかる。「これまで作ってきたちろりがシンプルな円筒形をしているのは、量産を考えると作りやすさを優先するから。職人として考えると、どうしても製作効率を考えますが、アドバイザーはそうした手間にとらわれすぎず、新しい魅力や価値を生み出そうとしてくださる。今回初めて、アドバイザーと一緒に考える経験をしましたが、その点がとても新鮮でした」。 今回のシリーズでは純錫酒器のほか、青と茜色の銅器酒器の2色を加えた3点を製作。この銅器の色も、清雅堂の大きな個性だ。深みのある青は、初代が考案した工房自慢の色。数年前から紫銅色と呼んでいたが、今回のプロジェクトを通じて再考をアドバイスされ、新たに「青藍色(せいらんしょく)」と名付けて新展開することにした。 もうひとつの茜色も独特の魅力を持つ色。「赤一色に発色させるのはとても難しく、安定しないので、現れる模様を逆に楽しんでもらう加工をしています。その個性を表して、商品名に“錦”という言葉を加えました。ひとつとして同じ模様にはならないので、そこが面白さになります」。また、通常の銅酒器は内側に手作業で錫引きをしてあるが、赤色には錫引きは不可能な技術だった。「錫の融点の関係で、錫引きをすると赤色が退色してしまうのですが、メッキ屋さんと研究を重ね、赤の酒器を実現しました」。 また、工房では一昨年にヘラ絞りの機械を導入。「長年依頼していた職人に頼めなくなり、難しい技術ですがようやく形になってきたところです。今回の酒器の試作はヘラ絞りから全て自分で行ったことも大きな挑戦です」。

青藍色(せいらんしょく)銅酒器 ぐい吞み 12,650円、チロリ 46,200円

青藍色(せいらんしょく)銅酒器
ぐい吞み 12,650円、チロリ 46,200円

純錫(じゅんすず)酒器 ぐい吞み13,200円、チロリ48,950円

純錫(じゅんすず)酒器
ぐい吞み13,200円、チロリ48,950円

茜色(あかねいろ)銅酒器 ー錦ー ぐい吞み 18,150円、チロリ 58,300円

茜色(あかねいろ)銅酒器 ー錦ー
ぐい吞み 18,150円、チロリ 58,300円

 

新しい酒器はこれまでの商品よりも細かな鎚目を採用しており、形状も独特なもの。より効率的に製作するために、新たな道具も作ったという。

今回のプロジェクトで難しい赤の発色を可能にした「茜色銅酒器-錦-」は、ふっくらとしたフォルムに鎚起による鎚目も相まって錦鯉を思わせる雰囲気が魅力。

 

難しさを楽しみながら完成へ。
日本酒好きに愛される商品に

完成までの3ヶ月間で複数回行われた打ち合わせのたびに、アドバイザーからさまざまな指摘があり、それに応える作業は大変だったと振り返る西片氏。「打ち合わせから帰るときは“難しいな”と思いますが、工房に戻るとやる気になっている。職人としての意地もありますし、作り手として楽しませてもらいました」。 商品は今年2月から東京にある「NIIGATA1〇〇(イチマルマル)」で店頭プロモーションが実施され、お披露目となった。また、同社の商品を販売している鎌倉清雅堂(神奈川県鎌倉市)のオーナーからも、このシリーズを取り扱いたいという話が来ているという。 今回、完成品の確認の場で、酒器が使われたときのことが印象に残っていると話す西片氏。「ちろりからぐい吞みに注がれるときの液体の流れるさまがすごくきれいだなと思いました。酒器を使うときの人の所作を見る機会も少なかったので新しい発見でした。使うお客様のニーズに応えながら商品を作っていくことにも、改めて目を向けたいです」。 今回のプロジェクトによって、既存商品に新たな価値を与えることに成功した清雅堂。「派生していく商品のイメージも生まれています」という西片氏の言葉に期待が高まる。

NIIGATA1○○ 「大人の愉しみ~百年物語の酒道具」

「NIIGATA1○○」では「大人の愉しみ~百年物語の酒道具」と題して店頭プロモーションを行った。

NIIGATA1○○は、日比谷OKUROJI(東京都千代田区)に昨年9月にオープンしたセレクトショップ。「百年物語」を中心とした付加価値の高い県産品の首都圏における販路開拓、新潟ブランドの情報発信に、NICOと連携して取り組んでいる。

 

ポイント

  • デザインアドバイスにより、既存商品をブラッシュアップ
  • 日本酒と相性が良いとされる「錫」を使った特別感のある酒器を追求
  • 独自技術による発色をクローズアップし、個性としてアピール

 

企業情報

株式会社清雅堂

〒959-0318 弥彦村麓4693
TEL.0256-94-4477
FAX.0256-94-5077
URL https://www.seigado.net/

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