増田切出工場

2019年05月31日
NICOpress164号商品評価・ブラッシュアップ新商品・新技術開発

伝統を未来へつなぐ、現代切出が誕生

増田切出工場 増田 吉秀 氏
増田 吉秀 氏

「切出の作り方は親父の仕事を見て覚えました。自分でやらないと身につかないからね」と話す吉秀氏(写真右)。新潟県指定伝統工芸士でもある健氏(写真左)は「刃物は使いよう」と話し、切出の新たな可能性を模索する。県外アーティストとのコラボ企画が動き出しており、まだまだ現役だ。

工場の変化を目の当たりにし家業を継ぐことを決意

昭和20年代頃に創業し、切出製造一筋を貫く増田切出工場。「切出」とは木細工に欠かせない大工・園芸道具であり、かつては子どもが自分で鉛筆を削るために筆箱に必ず1本は入っているものだった。同工場も教材用の切出を多数製造したが、三条に30軒ほどあった切出工場は現在2軒だけになった。
工場は2代目の健氏、3代目の吉秀氏が切り盛りする。吉秀氏は、燕市の金型工場などを経て2017年に入工。家業を継いだ理由をこう明かす。「あるテレビ番組でうちの工場が紹介されたのですが、工場の中が昔よりも雑然として、親父も疲れた様子でした。当時の仕事も一区切りついた時期だったので、親父の仕事を手伝おうと思いました」。

 

若手後継者向けセミナーの出会いが大きな転機に

吉秀氏は入工後まもなく、三条市の若手後継者育成セミナーに参加。そこで長岡市のデザイン事務所「TWOOL」の和田氏から声を掛けられ、仕事用に欲しい道具という発想から鉛筆用の硯と切出を開発することになった。
通常の切出は刃をしっかりと木に食い込ませるために、切出の裏面がわずかにえぐれている。この加工は熟練の技を必要とし、切れ味を左右するものだ。「鉛筆では切れ味が良すぎて芯が折れることもある。そこで裏面の凹みを調整し、切出を使い慣れていない子どもでも軽い力で削れるようにしました」。鉛筆が気持ちよく収まる曲線の刃は、失敗した製品をきっかけに生まれたものだが、この形状が安全面を高めている。

MASUWA【鉛筆切出】シリーズ
MASUWA【鉛筆切出】シリーズ
その佇まいも美しい「MASUWA【鉛筆切出】シリーズ」。細部の構造は、昨年のIDSコンペにも出品したプラスチックのバリ取り用切出の技術を応用した。木箱も自社で製造する。

 

オリジナルブランド誕生 コラボの可能性が広がる

約半年間の試行錯誤を経て完成した鉛筆切出。『MASUWA』ブランドを立ち上げて売り出すと、「子どもも安全に使える」「趣味の竹細工に使いたい」などの反響がすぐにあった。取引の中心が問屋経由だった以前とは違い、展示会やイベントでは外の声が直接入ってくる。そのことにやりがいと切出の可能性を感じているという。
共同作業については「デザインはプロに任せます。職人はその意図をくんでしっかりと形にすることと、デザイナーが納得するまでやりとりを重ねることは大事だと思う」と話す吉秀氏。
伝統刃物が、現代の魅力的なプロダクトに変化し始めている。同工場のさらなる躍進が期待される。

 

ここがポイント

  • 伝統技法を生かした新製品をデザイナーと共同開発
  • 職人とデザイナーが尊重し合う良好な関係性
  • 展示会やイベントにて消費者の声を積極的にキャッチ

企業情報

増田切出工場

〒955-0081 三条市東裏館1丁目18-28
TEL.0256-32-1283
URL https://masukiri.jp/

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