築地場外市場から新潟の旨い魚を首都圏に発信
新潟中央水産市場株式会社
代表取締役社長 藤田 普 氏
新潟から築地へ初出店 日本海の魚の魅力を届ける
創業130年余りという老舗の鮮魚問屋である新潟中央水産市場株式会社。ピア万代にある万代島鮮魚センターやふるさと村のマリーンで小売りも展開するほか、「五代目寅きち」のブランド名で海鮮加工品を製造販売し、事業の幅を広げている。そんな同社は、2014年10月、築地場外市場にオープンした「築地にっぽん漁港市場」へ出店。北海道、新潟、静岡、長崎、高知の各漁港から出店する代表のひとつとして、日本海の鮮魚を販売している。
「市場の豊洲移転を見据え“魚の築地”というイメージを残し、強化するために開設された施設です。新潟の素晴らしい魚を東京という巨大マーケットで発信し、目利きの料理人の皆さんに買っていただくことを目指して出店しました」と藤田社長は話す。
「東京には良いものなら価格の高さは厭わない客層がある。新潟の魚卸による直営という利点を発揮できるようになるのが目標。魚屋だから作れる、より磨きをかけた商品を企画し販路を広げたい」と話す藤田社長。
カニ類の販売が好調 多くの外国人観光客に対応
2年が経過し、目立って売れているものが毛ガニ。またベニズワイガニやセコガニも人気が高い。新潟らしさを出そうと、寒風干しの塩引き鮭にも力を入れる。想定よりも外国人観光客の比率が高く、自社製造の海鮮加工品をはじめ、お土産向け商品の品揃えにも対応する。
鮮魚に関しては、ほかの漁港が水揚げから12時間で東京の店頭に並べることが可能であるのに対し、新潟はセリの時間の都合で36時間かかってしまうことに歯がゆさを感じると藤田社長は話す。「新潟の自慢の魚であるヒラメなどは、12時間で東京に出せれば、かなりの付加価値が付く。今後、首都圏で戦っていくためには、産地を挙げて新潟の魚の価値向上のための仕組みを考えていくことが不可欠だと感じています」。
「築地にっぽん漁港市場」はこれまでの小売経験を活かしつつ、来場者ニーズを探っている。出店により海鮮加工品への問い合わせも増えてきたという。
海鮮加工品を充実させ新しい顧客獲得を目指す
郷土の味である「鮭の焼漬」をはじめとする「五代目寅きち」ブランドの加工品は、今後の販売拡大が見込める商品。新潟の発酵・保存食文化から生まれた味噌や麹などを使った「漬魚」は、東京を中心にピザ宅配や各種レストランを全国展開する外食産業から、高級居酒屋のランチ用定番メニューとして採用されている。
また、最近発売した「南蛮海老のせんべい」は、添加物不使用で塩分控えめ、カルシウムや鉄分が豊富というヘルシーさもアピールできる商品。NICOが支援する「『新潟うまいもの』セレクション会議」を活用し、パッケージの改良やコストダウンを進め、量販店での販路も目指す。
「首都圏という大きなマーケットのなかで、当社の価値を認めてくださる飲食店や消費者と出会えるようにがんばっていきたい」という藤田社長。築地で新潟の味を発信する拠点として、その挑戦は始まったばかりだ。
創業者と2 代目の名前である「寅吉」の名を冠した自社ブランド「五代目寅きち」シリーズ。新潟の食文化を取り入れ、鮮魚の選定ではよりおいしさを追求した。
企業情報
新潟中央水産市場株式会社
〒950-0114 新潟市江南区茗荷谷711(新潟市中央卸売市場内)
TEL.025-257-2170 FAX.025-257-2174
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