乳がん治療において、いま重要視されているのが「外見ケア」だ。患者さんが求めるのは、病気になる前と変わらない姿で、毎日を過ごすこと。それをサポートするため、かつらと人工乳房の相談にのる完全個室サロンを開設したのが、新潟市の株式会社レリエンスメディケアだ。
乳がん患者向けの個室サロンを開設。外見ケアの提供で生活をサポートする
株式会社レリエンスメディケア
代表取締役 小林 勝広 氏
購入しやすい価格でかつらと人工乳房を提供
レリエンスメディケアは、抗がん剤の副作用で髪が抜けた人のためのオーダーメイドかつらと、乳がん手術で乳房を失った人のための人工乳房を販売する会社だ。小林社長は、大手かつらメーカーの研究部門での経験を活かし、8年前から大手の半額程度という価格で提供できる医療用かつらを開発製造してきた。
また、かつらの相談会で病院を回っていたとき、ある看護師長から人工乳房の製作を打診され、5年かけて接着剤を使わず肌に密着できるものを開発。3つの形状と3つの色の中から自分に一番合う商品を選んでもらうことで、価格を抑えた商品を生み出した。
人工乳房はシリコン製。3つの形状と3つの色の中から自分に一番合う商品を選んでもらうことで、価格も大幅に下げることができた。
患者さんが通常の美容院には行きにくいという声に応え、一般のお客様が来ない患者さん専用サロンとして、完全予約制で対応している。
脱毛と乳房の悩みを同時に相談できる全国初のサロン
レリエンスメディケアは、それらの製品の販売や広報を強化するために設立。昨年9月には「ベンチャー企業創出・育成助成金」を活用し、がん患者専用の完全個室サロン「メディケアサロン新潟」をオープンさせた。
場所はアクセスの良い新潟駅前。他人の目が気にならないよう完全予約制とし、人工乳房は女性スタッフが、かつらは小林社長と美容師が接客にあたっている。「かつらと人工乳房の両方を扱っているので、一度に両方を確認・試着できます。脱毛の副作用がある抗がん剤は、ほとんどが乳がんの治療用で、多くの乳がん患者さんが両方の悩みを持っています。そんな皆さんが安心できるようにサポートをするのが、私たちの役目です」と小林社長は話す。
「サロン開設が大きな目標でしたが、バリアフリーや洗髪台設置などの改装費用がネックでした。今回、NICOの支援や補助金によってその夢が実現できたことがうれしいです」と語る小林社長。
新潟での経験を積んで首都圏にもサロンを
サロンへの反響は大きく、患者さん本人だけでなく、病院関係者からの問い合わせも多い。意外だったのは、人工乳房の顧客の半数以上が術後、5年~10年を経過した人だったこと。「再発の心配が減って、ようやく普通の生活に戻る気持ちになれるのが、そのタイミングのようです。また、購入理由の多くが“温泉に行きたいから”。これも想定外でした」。そのため、形状や密着具合などを調整した温泉入浴向け人工乳房も開発することにしている。
現在、関東圏の顧客も多く、「このサロンでノウハウを蓄積し、ゆくゆくは東京でもサロンを開設したい」という小林社長。その高い開発力と心に寄り添うサポートで、多くの乳がん患者の生き方をポジティブに導いていく存在になるはずだ。
NICOのコレを活用!
「ベンチャー企業創出・育成助成金」を活用してサロンを開設。「広報相談会」でアドバイスをもらい、メディアで取り上げられるなどの成果を上げています。
企業情報
株式会社レリエンスメディケア
【がん患者さん専用の完全個室サロン メディケアサロン新潟】
〒950-0086 新潟市中央区花園1-4-6 柳都ビル502
TEL.025-278-9123 FAX.025-270-8117
URL http://www.relienceniigata.biz/