産業界を支えるデジタルトルクレンチで海外市場の開拓を本格化

海外へのメール等の対応は、英語ができる社員と社内の技術者が翻訳機を使いながら行っていますが、海外のお客様はレスポンスが早くないとすぐに興味を無くすと聞いたため、できるだけ早く対応するようにしています。NICOの支援を受けて社員の海外展開への意識が変わってきたと感じています。
将来の事業拡大に向けて
海外の販路開拓に挑戦
デジタルトルクレンチと製造支援ソフトの開発・販売を手掛けるアドレック。「当社のデジタルトルクレンチは、作業データを記録し管理することができるのが一番の強みです。また、他社ではソフトウェアの開発は外注委託が多いですが、ソフトの機能に重きを置き、開発の人員を直接雇用しています」と渡邊社長。鉄道車両・航空機・自動車などの人命に関わる重要な部品の組み立てに使用されており、現在、300社以上との取引があるという。品質管理の要求レベルの高まりは世界市場に広がっていくことが予想される。
同社は2年前から海外市場の開拓に動き出した。「国内では知名度も上がってきましたが、ニッチな製品なので、これ以上事業を広げていくことに限界を感じました。日本の人口減や経済規模の縮小から、海外での事業を伸ばしたいという思いがありました」。その一歩として2021年にNICOの支援を受け、ベトナム企業とのオンライン個別商談に参加。初めての海外商談だったが、現地の状況を把握する貴重な機会になったという。
無線機能付き
デジタルトルクレンチ「プロレンチ」
オプションでトルクレンチをどれくらい回転させたか角度で測定する機能もあり、二度締め防止等の対策をとることができる。
ねじをどれくらいの力で締付けているかを測定するトルクレンチ。アドレック製は広い工場内で使用してもデータを受信管理できる無線機能や、確実な締付作業をサポートする機能、製造支援ソフトとの連携など、生産効率を上げるための機能を実装している。
アドレックが開発したオリジナルの製造支援・履歴管理システム「デジプロマスタ」。作業手順を的確にナビゲートする機能のほか、トルクレンチと連動させることでトレーサビリティの充実化を図れるなど、生産の安定や効率化をサポート。
海外展開の体制づくりを目指し
一からレクチャーを受ける
さらに、本格的に貿易実務や販売開拓などに着手する体制づくりのため、2022年、NICOの「海外展開ハンズオン支援事業」を活用。「最初はアドバイザーの田辺さんに何を質問すればいいのかも分からない状況で、本当に手取り足取り教えていただきました」。貿易のルールから海外取引先とのメールのやりとり、見積書の作り方、契約書についてなど、一からレクチャーを受けた。
また、中小機構が運営するマッチングサイトへの登録がきっかけで、今年2月にインドネシアの商社から商談のオファーがあり、初めての海外取引を実現。さらに同社のHPを見た韓国の会社からも引き合いがあった。こうした流れから今年度の「海外展開トライアルサポート事業」を活用し、今度はマレーシアで現地企業との商談を行う予定だ。「今後は海外の売上比率を増やすために海外での展示会出展も検討したいので、その際もNICOの支援を活用したいと考えています」。コロナ禍を機にWebマーケティングにも力を入れ、SEO対策によりHPの閲覧者数はこの数年で約2~3倍に増加。英語版HPも開設し、海外へのさらなる販路拡大を狙っている。
企業情報
株式会社アドレック
加茂市千刈1-1-12
TEL.0256-52-1160
URL https://www.adrec-jp.com/