武合金株式会社

2020年07月31日
NICOpress171号専門家相談

溶解炉への設備導入
適切なアドバイスが背中を押してくれた

アルミ合金の大型鋳物を得意とし、日本全国からの多品種・少量の鋳物注文に対応している武合金。悩んできたのが職場環境改善と人手不足だった。工業系の知識をもつコーディネーターのアドバイスを受け、思い切って踏み出した一歩は、良い連鎖を生み始めている。

武合金株式会社 代表取締役 武 智津子 氏 / 専務取締役 武 怜央奈 氏
代表取締役 武 智津子 氏 / 専務取締役 武 怜央奈 氏

写真左から白井コーディネーター、武社長、武専務。武社長は白井氏がよろず支援拠点に入る以前からの知り合いだったという。「白井さんは新潟の企業の事情をよくご存じなので、的確なアドバイスをいただける。これからも頼りにしています」

現場最大の課題だった作業環境を改善する

昭和27年の創業以来、アルミ合金や銅合金の鋳物鋳造を手掛けている武合金。特に大物の鋳物が得意で、アルミ合金は1,000kgの製品まで対応できる。この規模の鋳造ができるのは県内では同社だけ、東日本での競合は数社ということで、日本全国から依頼を受け、さまざまな鋳造品を世に送り出している。

ものづくりでは欠くことのできない仕事を手掛ける同社だが、現場にはさまざまな課題があった。その最たるものが職場環境の改善だ。鋳造作業は溶解炉でアルミ合金を溶かし、それを型に流し込むが、溶かしたアルミの温度は720~750℃にも及ぶ。以前はアルミ溶湯が5kg入る柄杓を使って手作業で汲み上げて取鍋(とりべ)に入れ、ふたりで抱えて型に流し込んでいた。取鍋はひとつ70kgという重さ。4方向から同時に注湯する、総勢8人掛かりでの作業だった。武社長は「作業者はまるで火の中にいるような暑さで、とにかく作業環境を良くしてあげないと、体がもたないんです。少しでも作業を楽にしてあげたいという思いが一番だったのですが、お金を掛けてやるとなるといろいろ考えて、踏み切れなかった。そんな時、白井さんに相談し、高温の環境に特化したエアーバランサーを紹介していただきました」。

よろず支援拠点のコーディネーターである白井氏は「過酷な現場であることが、人手不足の問題の根本原因でもあるので、なるべく早く導入した方が良い」とアドバイス。費用面でもできるだけ負担が少ないよう、シンプルな設備の投入が良いと考え、提案を行ったそうだ。

武合金株式会社 導入したエアーバランサー

導入したエアーバランサーで、融解したアルミ合金の汲み出し作業をする様子。扱うものが高温なので、安全性も重要だ。シンプルな設備を選んだことによって、使いやすく、費用も抑えられた。
武合金株式会社 注湯作業

汲み出したアルミ合金を鋳型に流し込んでいく注湯作業。製品の仕上がりに関わる重要な工程のひとつ。

 

作業環境の大幅改善により製品の品質も向上

昨年から稼働しているその設備は、1回に30kgのアルミ溶湯を汲み上げることができ、スムーズに型へ流し込むことができるため作業者の肉体的負担は劇的に軽減された。作業に必要な人員も減り、他の作業に当たることができるようになった。また、作業中に溶湯が冷めてしまうことは、品質に影響を及ぼすが、その点も解消された。

操作も比較的簡易で、武専務は「誰もが嫌がる仕事が、誰でも出来る仕事になった」と話す。「以前、大型のもので全長3メートルもある産業用ロボットの部品を鋳造したのですが、そのときの注湯作業は、他の部署の社員も動員して16人掛かりでした。設備導入により、こちらの部分も省人化が図れるようになりました。それゆえに、今回の設備導入は鋳造担当だけでなく、周りの社員も喜んでくれています」。

武社長は「最初は社員の環境改善だけを考えていたのですが、作業の効率化や品質向上などのメリットがたくさんありました」と話す。

武合金株式会社 製造現場の更なる改善も検討

製品はそれぞれに仕様が異なる鋳物パーツが中心。
多品種・少量生産で1点ごとに仕様や手順も異なるため、製造現場の更なる改善も検討している。
武合金株式会社 鋳造品(機械部品)の事例

鋳造品(機械部品)の事例

 

技能実習生の受け入れなど人材確保について相談

もうひとつの課題である人手不足については、採用が難しい状況が続いていたことから、フィリピンから外国人技能実習生を受け入れることを考え始めていた。「もともとフィリピン人の社員が活躍しているので、白井さんに相談したところ、フィリピンからの技能実習生に特化した監理団体が三条にあるので、話を聞いてみたらいいというアドバイスをいただき、安心して相談できました」。

実習生は昨年9月に現地で面接を行い、入国後、監理団体の元での研修を経て同社に配属された。「フィリピン人の先輩社員が指導し、仕事の腕が上がってきています。同郷の先輩がいることは、実習生にとっても安心できる環境です。現在は新型コロナウイルスの影響で仕事量は減っていますが、この時期に腕を磨いてもらって、本当に忙しくなってきたときに活躍してもらいたい。かえって、このタイミングで来てもらえてよかったと思っています」。

白井氏のアドバイスによって、両案件とも話がスムーズに進んだと話す武社長と武専務。「新潟の製造業の事情に詳しくて、人脈もとても広い。悩みをお持ちの企業の皆さんも、一度相談すると、いい結果が出ると思います」と信頼を寄せる。同社では今後も定期的な面談を行いながら、引き続き課題の相談を行っていきたいとしている。

武合金株式会社 芸術作品

大型の鋳造品を得意とする同社は、街灯やフェンス、デザインベンチなどの景観製品や、屋外モニュメントやトロフィーといった芸術作品も数多く手掛けている。

 

ポイント

  • コーディネーターのアドバイスで優先すべき課題に着手。
  • 作業環境に合わせてコスト・機能面で最適な設備を導入し、社員の負担を改善。
  • 実習生の受け入れについて相談し、サポートを確実に行っている監理団体を活用。

 

新潟県よろず支援拠点 コーディネーター 白井 仁  氏
新潟県よろず支援拠点 コーディネーター
白井 仁 氏

■ 専門/機械・設備、人手不足支援

新潟を代表する鋳造会社として、これからも継続して活躍していただくためには、人材確保が課題です。過酷な環境だからこそ、なるべく早く設備を導入した方が良いと感じ、武合金さんが使いやすく、導入しやすい設備だったので、とても良かったと思います。

 

企業情報

武合金株式会社

住所 〒940-0882 長岡市宮下町436-5
TEL.0258-24-7511
FAX.0258-24-7245
URL https://www.takegokin.jp
E-mail take-go@vega.ocn.ne.jp

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