ドリップシートの自動投入装置を開発。
人材不足の課題解決へ
営業部 部長 今井園貴 氏(写真左)
「装置の全国販売に向けて代理店との取引も考えていきたい」と話す古川専務(写真右)。「機械に素人な私の発案に、社員たちが一緒になって取り組んでくれたことで形にすることができました。ユーザー様の希望が叶う、かゆいところに手が届くような製品を作り、お役に立ちたいと思います」と今井部長(写真左)。
スーパーに並ぶ食品トレイから自動化装置を発案
食品製造メーカーを主な顧客とし、SWITL技術※をはじめ、独自の技術開発で課題解決型のオーダーメイド装置を開発・製造する古川機工。同社は作業効率化につながる新たな装置として、スーパーやコンビニなどのセントラルキッチンでの盛り付け作業に活用する「ドリップシート自動投入機能付トレイ供給装置」を開発した。そのきっかけは、中途入社した今井部長の発案だった。「スーパーに並ぶ精肉や鮮魚、惣菜のトレイにある水分や油を吸収するドリップシートを見て、このシートを入れる作業の手間を想像しました。これを自動で入れる装置を開発し、特許を取りたいと提案したのです」と今井部長。開発はすぐには進まなかったものの、同時期に複数社から「ドリップシートを自動で入れる装置はないか」という問合せがあり、需要があると判断。その後、2022年秋にNICOの「イノベーション推進事業」に応募し、採択されたことをきっかけに、本格的な開発がスタートした。
※古川機工が独自開発した「SWITL(スイットル)」技術は、掴むと形が崩れやすい物をすくい上げ、そのままの形で移動できる画期的なハンドリング技術。
シートを一枚ずつ自動投入
人の手で触れないため衛生的。HACCP対策にも最適。
ドリップシート自動投入機能付トレイ供給装置
ドリップシートとトレイを所定の場所にセットし、必要な数をモニター画面へ打ち込む。スタートボタンを押すだけで、指定した数量のシート入りトレイが排出されるしくみ。
トレイ供給装置 + ドリップシート供給装置 + トレイ段積機構 など、オプションの組合せが可能。
シートを円滑に取り出す独自技術に大きな反響
通常、ドリップシートは盛り付け台やコンベア上にトレイを並べ、手作業で投入されている。「どこの食品工場も人手不足に直面し、人員のやりくりに困っています。自動化・省人化につながる装置で少しでもユーザー様のお役に立ちたいと考えました」と今井部長。「開発では特に、薄くて軽い不織布のシートを一枚ずつ確実にトレイに入れることに苦労しました。開発メンバーが試行錯誤しながら進めてくれました」と古川専務は話す。シートを一枚ずつ円滑に取り出す独自技術は特許を出願している。
また、展示会出展やプレスリリースを配信するなど、販路開拓の広報活動も積極的に行った。その効果もあり、2023年の「フードメッセinにいがた」、今春に東京で開催された「エフピコフェア」では大きな反響を呼んだ。「この装置を見るためだけに上京されたお客様も多く、“作ってくれてありがとう”と言われて本当に感激しました」。
今後は販売に向けた最終調整を進めながら、扱う食品によって異なる、現場ニーズに合わせた設計・開発も進めたいという。独自の着眼点と技術力で生産現場の課題を解決する自動化装置を生み出してきた古川機工。ユーザーにとって使い勝手が良く、喜ばれる製品を通じて、企業の課題解決に貢献していく。
国内トップのトレイメーカーが主催する「エフピコフェア」に本機を出展。食品メーカーから代理店まで多くの来場者がブースに詰めかけた。この装置を待ち望んでいた業界関係者が非常に多いことを実感したという。
古川機工は社員15名と小規模だが、開発メンバーをはじめ専務、社長のアイデアをもとに他社にはない機械装置を開発し、ニッチトップを狙う。
企業情報NICOクラブ会員
古川機工株式会社
長岡市滝谷町1917-7
TEL.0258-22-3501
URL https://www.furukawakikou.co.jp/