AIを活用し誤記や誤訳をチェック。
正しい特許出願をサポート
特許明細書や請求項などの文章は、複数人で何重にチェックしても誤記を見つけられないことがあります。それをWordソフト上で一括チェックし、アラートして修正までできるソフトは、全国でも当社しか作っていません。
人では発見しにくい曖昧な文章を
アラートする専用ソフト
特許出願における先願調査や、ソフトウェア開発を主力事業とするアイビーリサーチ。特許業務を支援するソフト「特許ストーリー」シリーズは、大手企業や特許事務所など約1,000社超に導入されている。その中で、NICOの令和2年度「先進技術開発支援事業」を活用して開発したのが、特許権利文書中の曖昧な表現文章を発見し、アラートするAIエンジンだ。
開発のきっかけは、約10年前に起きた食品メーカーの特許を巡る訴訟事件であった。「特許文書では長い修飾や、読点を入れる位置で解釈が変わることが多い。この裁判でも読点が一つ無かっただけで控訴審の判決が変わったのです。そこで、人では発見しにくい曖昧な文章や、表記の不整合をAIを活用してアラートするソフトが必要だと思いました」。開発段階では特に、AIに曖昧文章を学習させるための「教師データ」収集に苦労したという。「人によって表現が曖昧だと感じる度合いは異なるため、専任のサーチャーが一人で担当し、膨大な特許公報データから集めて学習させました」。
▶︎特許業務支援「特許ストーリー」シリーズの一例
明細書チェック支援 チェッカー版 word add-in type K
Word上で“曖昧”文章チェックボタンを押すだけで、AI文書診断機能が動作し、対象書類内の曖昧文章をアラート。係り受けが曖昧、「てにをは」が曖昧、主語がなく曖昧など、修正ポイントを表示してくれる。
英文明細書チェック English版 ライトEL
英文と日文を対比させ、単語・フレーズ・センテンスの訳抜け、符号・数値・単位などの誤記、誤訳などをチェックできる。赤は訳抜け、橙は数量・単位の誤記など、色によってミスの箇所をハイライトする。
特許出願件数を増やすことで
日本の国力を上げたい
さらに同社は令和3年度「DX推進試作開発支援事業」を活用し、特許文書に特化したAI翻訳エンジンの開発に取り組んだ。「日本語の文章は主語を省略することが多いため、翻訳エンジンにかけると意味が通じにくい英文になる。これをどうにかできないかという要望が、大手企業の知財部長からありました」。この開発では、英文・日文を含め数十万ファイルを「教師データ」としてAIに学習させたことで、英文と日文を対比させて、訳ぬけ、誤訳、誤記などをチェックする機能を実現。導入先からは「表示が見やすく、精度が高いため、時間短縮と品質UPに繋がった」と評価されている。
「将来のビジョンとしては、ひらめいた発明をスマートフォンに喋ると申請文書ができるというのが目標。日本の特許出願は減少傾向にあるので、AIで特許文書の作成が誰でもできれば、中小企業も費用をかけずに自社で出願でき、結果的に出願件数を増やせて、日本の国力UPに繋がると思います」と藤澤代表。今後も同社のノウハウに最新技術を活用することで、より効率的で高精度な特許出願をサポートしていく。
「町の特許相談センター」という看板を見て、発明の特許について相談に訪れる人もいるそう。
特許調査歴30年という調査会社としての強みを活かし、企業の知財部門や特許事務所からの要望に応えるソフトを開発。プログラミングも社内完結できる体制を整えている。
企業情報NICOクラブ会員
アイビーリサーチ株式会社
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