どこでも試験を受けられる仕組みをつくり、
ダイバーシティを推進していきたい
1983年から資格検定試験の開発・運営を行ってきたサーティファイ。同社が2021年に新たにスタートしたのがオンライン試験サービス「スマート入試」だ。オンライン入試の課題であった不正対策をどのように仕組み化し、画期的なサービスを作り上げたのか?その開発秘話を担当の蛭子氏に聞いた。
阿賀野市出身。大学卒業後、東京の人材会社を経て2009年にサーティファイ入社。5年間勤務をした後に転職し、飲食系コンサル会社や農業支援サービス開発会社で販売やカスタマーサクセスチームを立ち上げ。2020年に再びサーティファイに入社し、「スマート入試」の新規事業開発を主導。
Q1 「スマート入試」開発のきっかけは?
新規ビジネスを企画するチームに配属された私は、会社にある資源を活用し、今後会社の柱になるようなビジネスを立ち上げたいと考えていたんです。元々当社では全国で一斉に開催する検定試験の運営に掛かる多大な労力とコストが課題になっており、いつかはオンライン入試を採り入れたいという願望がありました。そんな中、新型コロナウイルスの感染が広がった時期をチャンスと捉え、スマート入試の開発に着手しました。
試験を受ける前にパソコンとスマホをペアリングし、スマホはパソコン画面や手元が見えるようにセッティングする。試験当日のトラブルをなくすため、受験者には必ず数日前にリハーサルを行ってもらう。
Q2 どんなサービスですか?
スマート入試は、受験者が自分のパソコンとスマホを使い、自宅でオンライン試験を受けられるサービスです。試験中にカンニングなどの不正行為が行われないように、受験者のパソコンとスマホの2つのカメラを使って監視します。パソコンのカメラだけでは受験者の手元やパソコンの画面を映せませんが、スマホのカメラを使うことで死角を大幅に減らすことができます。監視には7つのAIを使っており、不正が疑われる行動を検出します。2021年6月にサービスをリリースし、同年8月には東京大学大学院医学系研究科の入試で採用されました。
「スマート入試」に備わっている7つの不正監視AI
▶PCによる監視
- 視線監視AI
- 物体監視AI
- 本人認証AI(替え玉防止)
- 人数監視AI(離席・入れ替わり防止)
- 音声検出AI
▶スマートフォンによる監視
【特開2021-068432】
- PC画面監視AI
- 人物・物体監視AI
Q3 開発で苦労したことは何ですか?
不正防止のために、受験者のパソコンとスマホがワンセットであることを証明する「ペアリング」が必要です。リリース当初はその精度が低く、クレームが多く寄せられました。パソコン画面に表示したバーコードをスマホのカメラで読み取る方法を取っていたのですが、斜めの位置からではバーコードをうまく読み取れないのです。そこで、パソコンの画面の四隅にマークを映し出し、それをAIで認識する仕組みに変更することで解決できました。その開発にはNICOさんのDX推進試作開発支援事業を活用させていただきました。
Q4 「スマート入試」の今後の展望は?
スマート入試では、早めにプロトタイプ(試作品)を作ってお客様に使っていただき、フィードバックを受けて機能の追加や改善をしてきました。今後は有効なデータを活用して、より全体的なユーザーエクスペリエンスを向上させていきたいです。また、海外展開の準備も進めており、いつでもどこでも誰もが試験を受けられるスマート入試を広めていくことで、各国から多様な人材が集まり、活躍できる社会づくりの後押しをしていきたいです。
仕事をする上で大切にしていること
楽しむことですね。仕事は楽しんでいる人が最強だと思うからです。お客様から厳しい指摘を頂くこともありますが、それは期待の裏返しだと考えていますし、指摘に対して最善の提案をすることも私の中では楽しいことです。また、お客様の期待に応えられるように相手の状況は事前にしっかりと情報収集し、精度の高い仮説を立て、適切な提案ができるように心掛けています。
企業情報
株式会社サーティファイ
■本社:東京都中央区日本橋茅場町2-11-8 茅場町駅前ビル
■試験センター:新潟市中央区弁天3-2-20 弁天501ビル
TEL.0120-031-749
URL https://www.sikaku.gr.jp/
スマート入試の詳細はこちら https://smarte.jp