株式会社BSNアイネット【DXはクライアントのビジョン実現のための取組の一つ】

2022年06月03日
IT導入NICOpress182号補助金

DXはクライアントの
ビジョン実現のための取組の一つ

1966年創業のBSNアイネットは、ITコンサルティングやセキュリティマネジメント等のトータルサービスを展開し、企業のDX推進もサポート。2021年度にはNICOのDX推進試作開発支援事業を活用し、NSGアカデミーとの共同事業で学習塾の現場業務を大きく変えるシステムを開発した。

株式会社BSNアイネット 産業ビジネス事業部 大橋 岳彦 氏/星名 清貴 氏
産業ビジネス事業部 大橋 岳彦 氏/星名 清貴 氏

「これまで当社はシステムという商材をおすすめする営業方法が中心でしたが、今後はワークショップなどを通じてお客様の課題やビジョンを明らかにした上で、新しいソリューションをご提案していきたいです」産業ビジネス事業部の大橋氏(写真右)、星名氏(写真左)。

講師不足による地域間の

教育格差解消に貢献

システム開発による企業の経営戦略サポートを進めているBSNアイネット。NSGアカデミーと共同開発した「オンライン教育におけるAIを使った教育支援システム開発」が、NICOの2021年度「DX推進試作開発支援事業」に採択された。

「もともとコロナ禍以前に、学習塾の講師不足についてご相談を受けていました。講師は大学生が多く、市街地から離れた街にはどうしても人材が集まりにくい。都市部と山間地の教育格差を改善するため、オンラインで何かできないか話していたのがきっかけでした」と話すのは、産業ビジネス事業部の大橋氏。やがてZoomなどのWEB会議システムが急速に普及したが、通常、カメラは相手の顔を映す1台のみ。講師から「生徒の手元が見えるようにしてほしい」との要望を受け、データ共有プラットホームMULT-i(マルチアイ)を開発した。

生徒の顔を映す正面カメラと、真上からノートを映す手元カメラの2画面体制が特徴。4G環境でも問題なく使えるが、5Gであれば一層クリアで安定した通信が可能。専用アプリは必要なく、指定のURLをクリックするだけ。市販のWEBカメラを使用でき、導入コストを抑えられるのもポイントだ。

株式会社BSNアイネット MULT-i

 

生徒の感情をアイコンで表示

質の高いオンライン授業に

塾からは『初めは授業が成立するのか心配でしたが、使ってみると真上からの映像が便利です』と好評いただいているという。「以前は生徒さんの隣に座るとノートが手で隠れてしまう時もあったそうですが、手元カメラの映像で、どのように問題を解いているか、どこでつまずいているかよく分かるそうです。使用中はイヤホンを付けるので、生徒さんも集中しやすいようです」と大橋氏。導入による効果を成績の変化で検証したところ、リアルの授業と比べて遜色ない、あるいはやや上回る点数アップの成果が出たという。

MULT-iを製造業の技術継承に活用する動きも進んでいる。講師となる職人の体にセンサーを付け、作業時の力加減や目線をデータ化。教わる側は画面を確認しながら練習でき、その場にいなくても遠隔でノウハウを学べる。製造現場におけるMULT-iの活用は、貴重な職人技をデータに残す、新人や海外工場のスタッフに技術を伝える、企業間の技術交流に役立てるなど様々なメリットがある。

このMULT-iと組み合わせて使うことができるオンライン教育におけるAIシステムが、NICOの支援事業に採択されたものだ。カメラで読み取った生徒の表情を数値化し、AIが分析。「喜び」「悲しみ」「驚き」など7種類の表情アイコンが講師側のパソコンにリアルタイムで表示される。講師は表情アイコンを参考に「問題につまずいている」「集中力が落ちている」など生徒の状態を把握でき、タイムリーな声がけを行うことができる。今後データが蓄積され、講師の知見やノウハウと結合されれば、AIシステムの完成度はさらに上がる。また、新人とベテラン講師の経験差を軽減し、教育の質の確保や学習塾の付加価値向上も期待できるという。

株式会社BSNアイネット MULT-i

 

ビジョンを明確化するため

ワークショップを開催

産業ビジネス事業部の星名氏は「開発では、弊社がおすすめするシステムの押しつけにならないよう、お客様に『自分ごと』として考えていただくことが重要。そのためNSGアカデミー様には2回の課題発見ワークショップを開催しました」と話す。1回目は塾の現状分析と課題発見を経て、NSGアカデミーが目指す未来像を言語化。2回目は目標の達成に向けて必要な取組を書き出してもらった。最終的に『生徒が勉強が好きで好きでたまらなくなる学習塾にする』という目標を立て、達成に向けた多くのアイデアが出た。「ワークショップでは、みなさん最初はなかなか手が進まないようでした。でもこちらが口を出しすぎると誘導する形になってしまうので、書きやすくなるヒントをお伝えしながら進めました」と担当した天利氏は話す。実施前には何度もシミュレーションを重ね、念入りに準備したという。

今後の展望について大橋氏はこう語る。「DXというと何をしたらいいか分からない企業も多いと思います。ワークショップなどを通じてお客様の課題やビジョンを明確にした上で、総合的なコンサルティングに力を入れていきたいです」。

DXはデジタルによる効率化や課題解決にとどまらず、どんな企業、会社を目指したいか、そのためにデジタルを活用して何ができるかを考えることが重要だ。BSNアイネットでは商材ありきだけではなく、企業が目指すゴールや求められている価値を明確にし、DXを進めていけるようにコンサルティングも含めたサポートを行っていく。

株式会社BSNアイネット

Point

▶ AIによる分析から講師のノウハウを共有し、 学習塾の付加価値向上を目指す

▶ システムはあくまでツール。企業のビジョンを明確にし、その実現に向けたシステムを提供することが重要

 

企業情報

株式会社BSNアイネット

新潟市中央区米山2-5-1
TEL.025-243-0211
URL https://www.bsnnet.co.jp/

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