超精密樹脂成型技術で最先端ロボット分野へ挑戦
精密なプラスチック部品製造を得意とするhakkaiが、いま、ロボット開発やAIを活用したジャンルへの参入に挑んでいる。その挑戦をきっかけに、事業の可能性は新たな広がりも見せはじめた。
取締役 宮坂重寿 氏(写真左)
遠隔操作ロボットのハンド部分の開発を担当
hakkaiはデジタルカメラやゲーム機、家電製品、車載部品などに内蔵される精密なプラスチック部品の製造を得意とするメーカーだ。関社長は「50年以上、部品メーカーとして歩んできましたが、将来に向けて、自分たちでコントロールできる事業の展開が課題でした。その一つとして海外展開を進めてきましたが、次のステップに選んだのがロボット業界です」と話す。
現在手掛けているのは遠隔操作ロボットのハンド部分の開発で、ロボット開発企業から依頼を受けた。hakkaiが稼働部分に使われる部品の製造を数多く経験していることや、軽量化が必要なロボットにプラスチックが向いていること、将来の量産化にもすぐに対応できる生産体制があるためだ。
超精密樹脂成型部品は24時間稼働のオートメーション工場で生産。ロボットやAIにも関わっていることが会社の魅力の一つとなり、人材採用に好影響が出ることも期待しているという。
トライ&エラーを粘り強く繰り返す社員のポテンシャル
前職でメカ設計の経験がある宮坂取締役のもと、新規事業チームが開発を担当。宮坂取締役は「社長の理解があってこそ、始めることができた事案。開発にはお金がかかるので、本業の負担とならないよう、NICOの先進技術開発支援事業を活用しました」と話す。
ロボット開発会社からは、開発力を認められて試作ロボットの組み立ても任された。コロナウイルス禍による行動自粛のなか、組み立て方法などの打ち合わせはリモートで進められた。「ロボット開発の仕事を通して、社員のポテンシャルの高さを感じました。モノづくりはトライ&エラーの繰り返しですが、雪国に暮らす人ならではの忍耐強さを備えた社員の仕事ぶりを見て、これは当社の大きな強みだと思いました」。
新ジャンルへの挑戦から別の可能性が派生してくる
関社長は「遠隔操作ロボットの開発をリモート環境で進めていったのは、この時代を象徴していると感じます。都市部でなくても、リモート環境の活用により最先端の仕事ができるという自信にもなりました」と振り返る。「この取り組みが将来、事業の柱になるかはまだ分かりません。しかし、一つ種を植えると、そこから別の事業も派生してきて、それが将来の会社の支えになります」と続けた。
実際、この支援事業を利用したことがきっかけで、県内大学との産学連携も始まり、AIによる自動検査装置やロボットの指先に使われるセンサー開発、樹脂製金型の開発などが進んでいる。「先は分からないけれど、種を植えなければ何も始まらない」という関社長の言葉通り、まずは始めることで将来の可能性は広がっていくと言えるだろう。
企業情報
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