新潟の逸品を掘り起こし、
価格競争に負けない選ばれるサイトへ
早くからネットショップの運営を手掛け、笹団子やへぎそば、雪下人参ジュースなど、新潟県の特産品を中心に販売する小竹食品は、オリジナル商品の開発や、きめ細かな顧客対応で売上を拡大。急な大量注文にも独自のアイデアとシステムで効率的に対応し、評価を得ている。
「まだ見つけられていない売れそうな商品を探し、表に出すようにしていきたいです」と箕輪氏(写真右)。ネットショップを立ち上げた小竹取締役(写真左)は「農家さんはじめ、いいモノを作っている方との接点を増やし、当社が中継地点となって、新潟県を発信するいいチャンスにしたい」と語る。
「新潟県ご当地モール」への出展を活用し、ECの売上拡大
新潟の特産品を主力とするネット販売と、柏崎市内への食品卸業を行う小竹食品では、昨年度、NICOの「ECを活用した県産品の販路拡大事業」を活用。Yahoo!ショッピング内の「新潟県ご当地モール」と連動したプロモーションで、ECサイトの売上増加につなげた。
「2018年にNICOの『eコマーススペシャリスト育成プログラム』に参加し、ご当地モールで販売した際も効果はあったので、今回も活用させていただきました」と、運営を担当する箕輪氏。今回、NICOでは新潟県ご当地モールにおいて季節に合わせて掲載商品を変更。年末商戦に向けてYahoo!ショッピング内やSNSで広告を打ち、ご当地モールへ誘導することでサイトへの流入を増やした。
巣ごもり需要もあり、さまざまなアプローチを重ねたことで、同社の売上金額は8月~10月で前年比154%、12月~2月で同151%と拡大した。
サイトの運営からオリジナル商品の企画、広報などを担う箕輪氏。数年前に受注管理システムの見直しを行い、効率化を図った。
ベテランのスタッフが素早く箱詰め。大量の発送作業でも少人数で行える体制を整えている。
最初の緊急事態宣言で備蓄品セットや少量品が好評
2003年に自社のHPを開設し、ネット販売を始めた同社。当初は笹団子やイカの一夜干しなど数点の取り扱いだったが、地道にメーカーや生産者との関係を築き、現在は500アイテムもの商品を販売する。感染症が拡大した昨年からは注文数が急増したという。
「1回目の緊急事態宣言が出たときには、レトルトごはんや缶詰、乾麺など備蓄用の商品が人気でした。ただ、家族の人数も減ってきているため、備蓄はしたいけれど一箱はいらないという方もいる。バラ売りや少量品のニーズに合わせて、お菓子や乾麺、ごはんなどの商品を組み合わせたセットや、乾麺4束などの少量品をメール便を使って送料込みで販売した取り組みが好評でした」。さらに、以前から繁忙期に運送会社の物流代行サービスを利用し、伝票作成を省略できるようにしていたことで、大量の発送作業にも効率的に対応できたという。
「サイトを利用する方は、もともと40代から70代の女性がメインでしたが、最近は若い女性も増えてきました。食品をネットで買うことが若い人にそこまで浸透していなかったのが、コロナウイルス禍で急激に増えた。ネットなら楽だし、人との接触もないという利便性に気付いたのだと思います」。
ネットショップが数多くある中、独自性が強い商品を取り扱っていることも同社の強みだ。近年はネットではあまり扱っていない商品の掘り起こしに力を入れている。「例えば、村上の岩船豚、新潟県産の桑茶、小千谷の漬物、亀田のアロニアなど、本当に良いと思う商品を取り上げてきました。今後も生産者や製造者と一緒にPRしていくという形を進めていきたいです」。
また、人気の「甘酒飲み比べセット」、メーカーの異なる乾麺を組み合わせた「へぎそば食べ比べセット」など、オリジナル商品を企画できるのも、長年、卸売業として各メーカーや市場との付き合いがあったことが大きいという。小竹取締役は「20年後、30年後までネットの社会で生き残っていくには、いい商品を作る生産者との出会いが必要です。当社は取扱いさせて頂く場合、商品のページ作成も無料で行いますし、スムーズな流通の仕組みも作っているので、小さい農家さんや生産者さんの商品もぜひ売らせていただきたい。そういう意味でも、多くの接点を作っていくことが今後の課題です」と語る。
三崎屋醸造と開発した、甘酒が4種そろった飲み比べセット。甘酒は常時人気の高い商品。味の組み合わせでさらに魅力ある商品にした。
箕輪氏がおすすめする村上市・岩船地区で育ったブランド豚「岩船豚」のギフトセット。自信を持って勧められるオリジナル商品を企画し、差別化を図る。
自社ECサイトに力を入れお客様に喜ばれる企画を考えたい
これからECに取り組もうと考える企業に対し、箕輪氏は「ネット販売の仕組みから作っていくことや、始めるなら本気で取り組むことが必要です。競合がどんどん増え続けているので、ネットに商品を出せば売れるという時代は終わっています。今は受発注から流通、在庫管理などのシステムも含めて強化しないと、利益を出すことは難しくなっています」と、現状の厳しさを語る。「大きい問屋がネット販売を始めると、価格では勝負ができないので細かい工夫をしていかないといけません。例えば当社では、別々の商品を組み合わせて送ってほしいという要望に対応できる。そういうところでも差別化を図っています」。
現在はYahoo!ショッピング、楽天市場、Amazon、auマーケットに出店しているが、「もう一度、自社サイトに力を入れようと思っています。その中でお客様に喜んでいただけて、当社もそれなりに利益が出るような企画を考えていきたい。また、甘酒や乾麺、パックごはんなどは定期購入される方が多いので、サブスクリプションのような仕組みも作っていきたいです」。
自社サイトのリニューアル後はWeb広告、SNSでの発信にも力を入れ、まだ見えていない顧客にしっかり結びつくようなアプローチをしていきたいという箕輪氏。新潟の逸品を掘り起こし、独自の商品とアイデアで「価格競争に負けない選ばれるサイト」を構築していく。
多数のショッピングモールに出店。自社ECサイトはこの秋にリニューアル予定。
企業情報
株式会社小竹食品 NICOクラブ会員
〒945-0075 柏崎市大和町1-12
TEL.0257-22-2288
FAX.0257-22-2050
URL https://www.odakesyokuhin.co.jp/shop/