最寄品(もよりひん)に価値をのせて
新たな市場を創る
部長 遠藤 智弥 氏
「MOYÖは『自分を大事にできる暮らしの道具』をコンセプトに商品開発を行ってきました。大量消費の時代が終わり、成熟した生活者が自分に合うものを選ぶようになりました。理念のあるものが共感され受け入れられる時代になったと感じています」(遠藤さん)。
使う度にドキドキするような新しい『デイリー商品』を開発
三条市直江町に本社を構えるフォーワテック・ジャパンは1974年創業の印刷会社。シール印刷を主要事業とし、食品用・工業用・医療用等さまざまなニーズに対応したシール印刷を行っている。BtoBの事業が中心だった同社だが、2014年にBtoCの事業として生活者向けのプロダクトの開発・販売をスタートした。
それが「MOYÖ(モヨウ)」というブランドで編集された一連の商品群だ。「日常使いする『最寄品』を、ファッションのように選ぶ楽しみがある『買回品』にしたい。そのためにスペックを高めるのはもちろん、模様を載せて使う人のスイッチが切り替わるような製品をつくりたかったんです」と話すのはMOYÖのブランドマネージャー・遠藤氏。外部のアートディレクターと協働して最初につくったのが歯ブラシだ。歯科医院でのみ使われ、一般的に流通していない高品質の歯ブラシを用い、50種類ものデザインラインナップをそろえて商品化した。
商品自体の価値を高め適切な販売チャネルを選ぶ
その後5年の歳月が流れ、その間に携帯用ミラー、ガーゼタオル、扇子などの新商品を展開。「都会で働く30~40代の女性が自分を大事にするための暮らしの道具」というテーマで商品開発を進めた。品質が高いことを前提とした結果、全ての商品が日本製になったが、遠藤氏が実際に県内外のメーカーに足を運び、信頼できる企業と協働して製造を進めたという。
注目すべきもう一つの点が販売チャネルの変化だ。従来とは異なる、アパレルメーカーをはじめとした新しいチャネルに商品提案をしたところ、『買回品』としての歯ブラシが生活者に受け入れられたという。
MOYÖの開発で培ったブランディング力を生かし、古代米「紫宝」を使ったフードブランド「HIEN」のプロデュースを燕商工会議所と実施。遠藤さんがプロジェクトリーダーを務める。
名刺入れに納まるUSUKAGAMIは、0.6mmという薄さ。製造には燕三条地域の製造メーカー4社が関わっている。MoMA(ニューヨーク近代美術館)のショップでも扱われているという。
日本の文化を含んだMOYÖを 次は海外へと発信する
ブランド立ち上げ5周年となった今年、さらなる市場開拓を目指して、NICOの「地域中核企業国内販路開拓促進事業」を活用し、インテリアライフスタイル東京に出展した。「成果としては、セレクトショップやライフスタイルショップ、百貨店など約30件の商談が進んでいます」と遠藤氏。アパレルをはじめとした新しいチャネルでは、売り手が商品の魅力をお客様に丁寧に伝えてくれ、そのことが商品に対する深い共感を生み出すことにとても重要だという。「MOYÖは日本人の所作が含まれた商品です。今後は海外にも目を向け、文化も含めて発信していきたい」。次なる展開へ挑戦は続いている。
企業情報
株式会社フォーワテック・ジャパン NICOクラブ会員
〒955-0832 三条市直江町4-2-10
TEL.0256-68-3666
FAX.0256-68-3667
URL http://www.forwatec.co.jp/