有限会社大林印刷

2018年06月04日
NICOpress155号マッチング支援新商品・新技術開発

得意とする印刷技術×デザイナーの発想で自社商品開発

取締役社長 山田進市 氏

「近藤さんは、私たちが思い浮かばない発想で提案してくれ、仕事の視野が広がりました。今後も連携して新ブランドを育てていきたいです」と山田社長。

 

有する技術をプレゼンし興味を示したデザイナーと組む

伝票印刷や活版印刷を手掛けてきた有限会社大林印刷。最近はネットでの低価格印刷などに押され、苦戦を強いられている。こうした中、山田社長は何か変わったことがしたいと、薄い和紙のカレンダーを試作。得意とする薄い紙への活版印刷技術を活かしたカレンダーだったが、デザイン性に乏しく売れないと実感した。そこでNICOの個別相談会「くらたデイ」でアドバイスを受け、さらに「製造業と県内デザイナーのマッチング支援事業」への参加を勧められた。外部の人と連携すること自体初めての取り組みだったが、「何もしないことの方が不安でした」と、山田社長は応募を決めた当時を振り返る。 複数のデザイナーを前にプレゼンを行い、手を挙げた2社から同社が選んだのが、建築設計・デザイン事務所「スイカノタネ」の近藤氏だった。

大林印刷の技術とスイカノタネの発想がうまくマッチングし誕生した「komemono」。両社共同で運営するサイト(https://komemono.com/)は5月下旬にオープンする。

 

和紙の透け感を活かしたペンダントライトを開発

今回のマッチング事業で取り組んだのが、和紙のペンダントライト「yamayama」。 奥行きある深山を表現した、シンプルで美しいライトだ。「近藤さんがアイデアを出して、こちらが専門的な解決策を返す。一緒に一つのものを作り上げていくという共同作業で、苦労はなく大変楽しい時間でした」と山田社長は開発過程を振り返る。 当初、1枚の長い和紙を渦巻き状に巻くアイデアだったが、長い手漉き和紙がないことを知り、3枚の和紙を重ねることに。さらに、薄い和紙では強度も足りないことから、厚手の和紙に変更した。3枚の和紙それぞれに山のグラフィックが印刷され、和紙の透け具合が奥行きを表現している。明かりを灯すと一層際立つ。

今回のマッチングで開発した和紙のペンダントライト「yamayama」。柏崎で生産されている門出和紙に印刷を施している。色は3色展開。

 

互いに波長が合い第2・3弾の開発も検討中

約3ヵ月という限られた事業期間内で試行錯誤を繰り返し、ようやくプロトタイプが完成。今年3月に開催された「ニイガタIDSデザインコンペティション」の併設展で発表し、現在は本生産に向けた取り組みを行っている。 「今後、“印刷雑貨”という新しいジャンルのブランドを立ち上げ、第2弾、第3弾と展開していけたらと考えています」と山田社長は今後の展開を語る。ブランド名「komemono」は、活版印刷で活字を組む際、余白となる部分を作る道具「込め物」から名付けた。日常の余白を彩る、印刷会社が作る新しい日用雑貨という意味が込められている。マッチングという出会いが、新たな可能性を広げている。

 

デザイナーより 提案の際に心がけたポイント

大林印刷様は可能性を持っているのに、技術を活かしきれていない印象でした。同社の強みである薄紙・和紙に印刷する技術、活版印刷の技術を活かし、私のバックグラウンドである建築と掛け合わせた生活空間を豊かにするものを提案しようと考えました。既存の印刷技術や手漉き和紙という自然素材を活かして“どうシンプルに料理するか”を心がけました。私がアイデアを出すと、山田社長から印刷会社ならではの視点での指摘・提案があり、楽しんで取り組ませていただきました。

スイカノタネ 代表 近藤潤 氏

会社情報

有限会社大林印刷

〒940-1164 長岡市南陽2-951-9
TEL.0258-23-3571 FAX.0258-23-3570
E-mail yamada@oobayasi.com
URL http://oobayasi.com

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