得意とする印刷技術×デザイナーの発想で自社商品開発
「近藤さんは、私たちが思い浮かばない発想で提案してくれ、仕事の視野が広がりました。今後も連携して新ブランドを育てていきたいです」と山田社長。
有する技術をプレゼンし興味を示したデザイナーと組む
伝票印刷や活版印刷を手掛けてきた有限会社大林印刷。最近はネットでの低価格印刷などに押され、苦戦を強いられている。こうした中、山田社長は何か変わったことがしたいと、薄い和紙のカレンダーを試作。得意とする薄い紙への活版印刷技術を活かしたカレンダーだったが、デザイン性に乏しく売れないと実感した。そこでNICOの個別相談会「くらたデイ」でアドバイスを受け、さらに「製造業と県内デザイナーのマッチング支援事業」への参加を勧められた。外部の人と連携すること自体初めての取り組みだったが、「何もしないことの方が不安でした」と、山田社長は応募を決めた当時を振り返る。 複数のデザイナーを前にプレゼンを行い、手を挙げた2社から同社が選んだのが、建築設計・デザイン事務所「スイカノタネ」の近藤氏だった。
和紙の透け感を活かしたペンダントライトを開発
今回のマッチング事業で取り組んだのが、和紙のペンダントライト「yamayama」。 奥行きある深山を表現した、シンプルで美しいライトだ。「近藤さんがアイデアを出して、こちらが専門的な解決策を返す。一緒に一つのものを作り上げていくという共同作業で、苦労はなく大変楽しい時間でした」と山田社長は開発過程を振り返る。 当初、1枚の長い和紙を渦巻き状に巻くアイデアだったが、長い手漉き和紙がないことを知り、3枚の和紙を重ねることに。さらに、薄い和紙では強度も足りないことから、厚手の和紙に変更した。3枚の和紙それぞれに山のグラフィックが印刷され、和紙の透け具合が奥行きを表現している。明かりを灯すと一層際立つ。
互いに波長が合い第2・3弾の開発も検討中
約3ヵ月という限られた事業期間内で試行錯誤を繰り返し、ようやくプロトタイプが完成。今年3月に開催された「ニイガタIDSデザインコンペティション」の併設展で発表し、現在は本生産に向けた取り組みを行っている。 「今後、“印刷雑貨”という新しいジャンルのブランドを立ち上げ、第2弾、第3弾と展開していけたらと考えています」と山田社長は今後の展開を語る。ブランド名「komemono」は、活版印刷で活字を組む際、余白となる部分を作る道具「込め物」から名付けた。日常の余白を彩る、印刷会社が作る新しい日用雑貨という意味が込められている。マッチングという出会いが、新たな可能性を広げている。
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