デザイナーとのマッチングで新しい刺繍の可能性を表現
「これまで社内でアイデアを出しても、今一つ自信を持てないのが悩みでした。今回の支援事業を通して、やはりデザイナーに提案していただいたデザインはさすがだと思いましたし、私たちも自信を持って商品を世に出すことができます」と語る塚野専務。
繊細な刺繍技術でさまざまなオリジナル商品を製作
最大15色まで使用できる色数の多さを活かし、細部にまでこだわった刺繍製作を得意とする塚野刺繍株式会社。同社はアパレルメーカーからの受注を主力としているが、近年はオリジナル商品の製作・販売にも積極的に取り組んでいる。 「海外製品にはない日本の刺繍の美しさを見てほしいという思いもあり、刺繍で表現できるものを考えてきました」と塚野専務が語るように、これまでボタンやアクセサリー、『ししゅうのお便り』などの雑貨小物を製作。刺繍の立体感を指先で感じながらストーリーを想像して楽しめる『ししゅうのえほん』は、2017年のIDSコンペに出品し、注目を集めた。
新しい表現を目指してNICOの支援事業に応募
「クリエーターと一緒に、もっと新しいものを作りたい」と考えていた塚野専務は、昨年秋、NICOのHPで「製造業と県内デザイナーのマッチング支援事業」のことを知り応募。技術をプレゼンテーションし、3社のデザイン会社から商品の企画提案を受けた。その中から選んだのが、株式会社どらが提案した刺繍の観葉植物だった。「刺繍でこういうことができるのかという発想が新鮮でしたし、どこに販売すればいいのかもイメージしやすかった。また、商品としてこの先もいろいろな展開ができると感じました」。
温かみと優しさを演出する刺繍の観葉植物が完成
短い製作期間の中、デザイナーが提案する色を刺繍でどう再現するか、色の組み合わせなど、何度も試作をしたという塚野専務。「こうした色の発想はデザイナーでなければ出てきません。私たちだけだとつい楽な方法を考えてしまいがちですが、デザイナーの妥協しない姿勢があったからこそ今までにない、新しいものが作れたと思います」。 こうして完成した『embroidery cozy plants』は、葉っぱ一枚一枚が繊細な刺繍でできた、温かみと優しい雰囲気を演出するオブジェだ。付属のアロマボールで好きな香りを楽しむこともできる。「今回のマッチングで得たアイデアをもとに、新しい展開をしていきたいですし、展示会にも出展して販路を広げたい。刺繍でさまざまな表現ができるということを、もっと多くの人に知ってほしいです」。 同社の持つ高い技術とデザイナーによる斬新な発想が、新しい可能性を生み出した理想的な例といえるだろう。
会社情報
塚野刺繍株式会社
〒959-1836 五泉市南本町2-1-61
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E-mail at.emb.tomoe@gmail.com