さまざまな食品メーカーが海外展開を進める中、第一食品株式会社は中東ドバイやシンガポールなど経済の躍進がめざましい国での販路開拓に力を入れている。最新の商品開発についての取り組みや、今後のビジョンについて伺った。
四季をイメージした商品で海外展開にはずみを
NICOクラブ会員
第一食品株式会社
取締役 営業部長 山田 寛子 氏
大手ではないからこそできた国産原料のプレミアムアイス
「贅沢最中」などの人気商品で知られる第一食品株式会社は、今年4月、新商品のモナカアイス「みもな」を発売した。北海道産小麦や国産フルーツ、ミネラル豊富な奄美諸島産さとうきび糖など、原材料にこだわった逸品だ。開発の背景について山田部長は「アイスの単価が100円程だった約17年前から『贅沢最中』という1個150円のアイスを販売してきましたが、最近の価格は1個130円程と差がなくなってきました。そこで『贅沢最中』では難しかった、原材料にとことんこだわったアイスを作ろうと思ったのです」。
「みもな」は完成まで約1年を要した。「栗やイチゴなど、国産の加工用原料は量を確保するのが困難で、大手メーカーではロットが合わず難しい。中小規模の弊社だからこそ特徴ある商品ができたと思います」と山田部長は話す。
「女性である私自身が食べたいと思うもの、まだ他社にはないものを先んじて作るのが好き」と開発のこだわりを語る山田部長。過去にはゴルゴンゾーラチーズ&いちじくという驚きの組み合わせのアイスが大ヒットした。
“和”のブランディングで新たな海外市場も意識
「みもな」は、日本の四季をイメージした4つの味を展開する。“和”の情緒を大切にしたネーミングや洗練されたパッケージは、国内はもちろん、海外市場も視野に入れて考えられたものだ。同社は5年ほど前からアジアなどへの海外進出に取り組み、昨年からはNICOの「海外市場獲得サポート事業」を活用。新たな富裕層マーケットが期待できるドバイやシンガポールでの展示会や市場調査を行ってきた。
近年は日本食レストランの進出に伴い、業務用のニーズが高まっている。また、チョコレートアイスは日本より濃厚なカカオ味が好まれるなど、現地調査で初めて分かることも多いという。「展示会だけでなく、何日か滞在して市場調査や企業訪問を行い、現地をリアルに感じてみることも重要でした」。
国産原料を贅沢に使った「みもな」(オープン価格220~250円)。勉強会で知り合った外部ディレクターと組みパッケージを作成し、イメージ動画をSNSで拡散するなどプロモーションにも力を入れる。
ジャパンクオリティのモナカアイスを世界へ
昨年、自社ウェブサイトを英語と中国語に対応させ、アクセス数が飛躍的に伸びたという同社。現在、海外売上は全体の約1割。4年後までに2割に伸ばすことが目標だ。
また、海外では大福アイスが人気だという。「弊社の海外展開は大福アイスがはじまりですが、一番の強みはやっぱりモナカアイス。コーンやバータイプとも違う、『日本のワンハンドアイス』を世界に広めたいですね」と山田部長。日本のモナカアイスの海外でのヒットに期待したい。
全国からバイヤーが集まるスーパーマーケット・トレードショーでは新潟の地域性をPR。越後姫や茶豆を使ったご当地モナカアイスを出展し好評を得た。
アイスクリーム工場は夏が繁忙期。海外で人気の大福アイスを冬に製造することで、工場の年間安定稼動というメリットもある。
NICOのコレを活用!
平成28・29年度「海外市場獲得サポート事業」を活用し、シンガポールの展示会出展やドバイでの市場調査などを行う。スーパーマーケット・トレードショーにもNICO共同ブースで出展。
企業情報
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第一食品株式会社
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