農機具部品や農業用刃物の製造から始まり、現在は国内有数の包丁専門メーカーとして知られる藤次郎株式会社。技術革新を続けながら優れた包丁を生み出す同社は、積極的に海外展開を行い、世界に販路を広げている。
「切れ味」を追求した藤次郎ブランドの包丁を世界のマーケットへ
藤次郎株式会社
貿易部 マネージャー 来田 真二郎 氏
国内5指に入る出荷数量を誇る一貫生産メーカー
1953年創業の藤次郎株式会社は、日本有数の刃物産地・燕三条で、伝統と革新を融合させた製品を製造している包丁メーカー。刃物の製法の中でも、鋼材を型で抜いて成型する「抜き刃物」の製造を得意としており、異種素材を組み合わせた複合材包丁の出荷数量では国内で5本の指に入る。「他の包丁産地では、ほとんどが下請けによる分業制で製造していますが、当社は全ての工程を社内で行えることが最大の強みとなっています」と来田マネージャー。一貫生産によって高い品質を保持し、量産体制を整えることで1,200以上という業界屈指のアイテム数を生み出しているのだ。
「支援策によって展示会の費用を一部負担していただけるのは大変助かりますし、今まで出たことのない展示会に出展してみようという気持ちにもなります」と語る来田マネージャー。
積極的な海外展開で輸出の売上高が年々上昇
同社はドイツで開催される見本市・アンビエンテに2004年から出展するなど、海外販路の開拓に早くから力を入れてきた。昨年度はNICOの「海外市場獲得サポート事業」「中核企業海外販路拡大促進事業」の助成金を活用し、各国での展示会出展をはじめ、販路開拓や拡大のための現地市場調査などを行っている。
また、各国の特許庁に商標登録を行う経費を助成する「地域中小企業外国出願支援事業」も活用。商標登録を行うことで、海外で模倣品が出回るのを防止する効果があるという。
こうした活動により、海外輸出の売上高は年々上昇。アメリカ、ヨーロッパを主体に40カ国以上に輸出され、海外売上の割合は30%を超えるまでになった。
「藤次郎 疾風BLACK ダマスカス鋼シリーズ」は、酸化被膜で刃の表面を黒く発色させることで、ダマスカスならではの波紋が際立つのが特徴。海外で人気の高いシリーズのひとつ。
「藤次郎ナイフギャラリー」の1階はショールーム、2階はキッチンスタジオ、3階はセミナールームを完備。包丁の紹介だけでなく交流の場所として利用できる施設を目指している。
日本の伝統技術の結晶でもある包丁を世界へ
同社が創業以来一貫して追求してきたのが刃物の「切れ味」だ。日本の包丁を求める外国人は切れ味を重視することから、プロのユーザーを中心に藤次郎ブランドは高い評価を得ている。また、人と違うものを求めるという外国人の好みや使い方に合わせた海外専用商品も開発。機能はもちろん日本らしいデザインも意識している。「今後海外での売り上げを伸ばすためには、新しい国の展示会に出展し、販路を開拓していくことが必要。将来は国内と海外の売上割合を5:5くらいにしたいと考えています」。
2015年に同社の包丁シリーズを展示販売する「藤次郎ナイフギャラリー」がオープン。これからも日本の伝統技術の結晶ともいえる包丁の文化を、世界に向けて発信していく。
NICOのコレを活用!
「海外市場獲得サポート事業」「中核企業海外販路拡大促進事業」などを活用し、海外での展示会出展や市場調査などを行い、販路の開拓・拡大に取り組んでいます。
企業情報
藤次郎株式会社
本社
〒959-1277 燕市物流センター1-13
TEL. 0256-63-7151 FAX. 0256-64-3811
藤次郎ナイフギャラリー
〒959-0232 燕市吉田東栄町55-18
TEL. 0256-93-4195 FAX. 0256-93-4330