防災関連商品や地震対策、耐震施工を通して人と企業の未来を守る
コンクリート構造物の耐震補強工事から、機能性・安全性に優れた防災関連商品の企画開発・販売、オフィスや工場などの地震対策まで、“まさかの時”に備えたあらゆる業務を行うティーエフサービス。誠実なモノづくりと施工で、人命を守る環境整備をサポートしている。
「地震や防災に対する意識はみなさん高くなっていますが、いざ商品を買ったり、取り付けたりということは、まだまだ浸透していません。当社としては、もっとメジャーになるような商品を提供し、お客様に商品機能を知ってもらう努力をしていきたいと思っています」と語る髙橋社長(写真左)と丸山課長(写真右)。 手に持っているのは棚からの落下を防ぐ「落下防止ネット」。
新潟県中越大震災をきっかけに防災関連商品の開発に着手
ティーエフサービスは2003年に工事会社として創業。その後、地震・防災対策事業に特化し成長してきた。同社が防災関連の事業を始めたのは、2004年に起きた2つの災害がきっかけだった。「創業の翌年に発生した新潟・福島豪雨の水害で、三条市内にあった会社が流されてしまい、災害の恐ろしさを身をもって感じました」と髙橋社長。さらに10月の新潟県中越大震災によって、工事の依頼が急激に増加する。「中越地震が起きてから学校やコンクリート構造物の耐震工事が県内で非常に増えました。当社が主力とする『あと施工アンカー』は、コンクリートに鉄筋やボルトなどを打ち込む特殊な工事なのですが、そうした仕事を受託するうちに、柏崎の企業さんからアンカーだけでなく、“地震で工場の製造ラインがめちゃくちゃになったので、機械がずれないように固定する金具を取り付けてくれないか”と依頼されたのです。その後も棚の固定などを頼まれるようになり、こんな地震対策の商品があるといいのではと考えたものを、自社で開発するようになりました」。
2023年5月に東京で開催された「オフィス防災EXPO」のブース。7月にはNICOの支援事業を活用して「震災対策技術展 大阪」に出展。防災意識の高まりから、年々来場者の反応も良くなっているという。
安全性だけでなくデザイン性を重視した商品が好評
こうして学校の耐震工事や橋脚の耐震補強工事などを行う「工事部門」、防災関連商品の企画開発・販売をメインとする「販売部門」の2本柱で事業を展開してきた。創業からしばらくは工事部門の売上が多かったが、2011年に起きた東日本大震災を機に地震対策商品の売上が伸びているという。
数ある商品の中でも、家具やキャビネットなどの転倒を防ぐ「ティープレート」、ラック内収納物の落下を防ぐ「イーガード」「落下防止ネット」などが好評。また、以前は安全性が優先され、がっちりと機具を固定できる商品がよく売れていたが、最近は見た目も重視した商品が注目されているという。「今はどこのオフィスもきれいなので、安全性はもちろん、なるべく目立たないものやデザイン性の高い商品が求められています。当社も最近、『tafuca(タフカ)』シリーズという転倒防止グッズを発売し、好評を得ています。これはコロナ対策のアクリル板を固定する金具を作った際に、商品開発部の女性社員がアイデアを出したことがきっかけ。好評だったので地震対策商品に活かしました」。商品の企画では商品開発部をはじめ、営業部とも毎月会議を行い、顧客の要望や施工現場からのアイデアなどを共有。さらに、東京と大阪の展示会に毎年出展し、他企業の商品や来場者の反応を参考にしている。
ティープレート
落下防止ネット
イーガード
設置箇所に合わせたさまざまなタイプの連結器具が選べる「ティープレート」、収納物の散乱を防ぐベルト「イーガード」、広範囲で棚からの落下を防ぐ「落下防止ネット」などが人気。高震度に対応するだけでなく、設置しやすいことも重視して設計されている。
tafuca
ビス止め不要、誰でも簡単に設置できる転倒防止グッズ「tafuca」。室内に自然に溶けこむように色は白で統一し、付属のシールで「くま・ぱんだ・うさぎ」のかわいい顔を付けることもできる。震度7相当まで対応。
耐震施工のノウハウを活かし地震対策を提案
同社はオフィスや工場、倉庫、研究施設などの地震対策にも対応する。オフィス内であれば、器物の落下・転倒、OA機器の走り出しによる怪我も考えられるため、被害を最小限に抑えるための調査から商品の提案、施工まで行っている。「例えば避難通路への動線に棚があると転倒したときに通路を塞ぐため対策しましょうとか、お客様と話し合いながら決めていきます。最近は、物流会社や高価な検査・分析機器を備える研究所からの依頼も多いです」。
また、顧客の依頼があれば地震対策の定期的なメンテナンスも行い、商品を取り付けた箇所の点検やレイアウトの変更に合わせて新たな提案をすることもある。「一度地震対策をしたら終わりではなく、何かあったときにお客様自身でいかに事故を減らせるかが重要。点検の結果、他の方法がいい場合は対策を変更することもあります。皆さんの仕事にできるだけ支障が出ないような提案をさせていただいています」。
防災関連ビジネスに取り組んで良かったことは、「建物を造る仕事であれば、完成したときの満足感がありますが、防災関連の仕事は正直そのような場面は少ないです。ただ地震など何かあった際に、お客様から“物が落ちてこなかった”“倒れなかった”と言ってもらえると、多少なりとも貢献できていると感じますし、今回の能登半島地震でも当社の商品を使用していたことで、1人でも2人でも怪我や亡くなる方が減っていたに違いないと信じて、取り組んでいきたいと思っています」と髙橋社長。今後は防災関連商品の認知度アップや、多くの人に受け入れられる商品の必要性も感じているという。
「事業には力を入れていますが、会社が良い状態でなければ人に貢献することはできないと考えていますので、まずは会社の中身、社員が幸せに仕事ができる環境をいかに作っていくかということを大切にしたい。それに伴って、皆さんにより良い商品を提供できるのではないかと思います」。これまでの経験で積み重ねてきたノウハウと確かな技術を武器に、人や企業の「安全・安心」に貢献していく。
各クライアントに向けた商品シリーズを展開。とくに精密な検査機器・クリーンルームに対応した商品・施工への評価は高く、販売を強化している。サビに強いステンレス製の金具や、設置環境に合わせてカラーや材質を変更するオーダーメイドサービスも行う。
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