一貫生産体制と自社実験場を強みに自然災害対策製品を開発
自社で防護フェンスの大規模な実験場を持つことで、開発途中で失敗があってもフレキシブルに対応し、改良につなげることができます。落石防止柵のほかにも土砂崩れを防護するフェンスなど、他の製品の実験にも活用し、新しいラインナップを作っていきたいです。
高性能で経済性に優れた落石防護柵
プロテックエンジニアリングは、落石・崩壊土砂・雪崩などの防護フェンスや防護壁を開発し、国内で3,000箇所以上の販売実績を誇る自然災害対策製品メーカー。開発から設計、製造、施工までの一貫生産体制を備えていることや、3年前に業界最大級となる実験施設を建設し、自社内で迅速な実験を行うことができる強みを持つ。
同社は主力商品である「ARC(アーク)フェンス」の新タイプとして、「国産材料を用いた多機能型高エネルギー吸収型落石防護柵」(ARCフェンス 1000kJタイプ)を、NICOの「イノベーション推進事業」を活用して開発。昨年12月に販売を開始した。「過去にも新製品の開発の際にNICOの支援事業を活用しました。試作実験などにかなりの費用が必要であることや、今後力を入れて販売していきたい製品の一つということで、活用させていただきました」と、石井課長は話す。
落石エネルギーに応じた50kJ / 100kJ / 200kJ / 300kJ / 500kJ に、昨年12月に販売を開始した1000kJを加えた6タイプを展開。
2021年に竣工した防災施設実験場。実物の防護フェンスを設置し、落石に見立てた重りを落とすことで、その捕捉性能を実証。幅広い設定条件での実験ができる。
高い落石エネルギーに対応する高品質の部品を国内で製造
「ARCフェンス」は、主に斜面上に設置して道路や民家を落石から守る落石防護柵。削孔からフェンス設置まで全て人力での施工が可能で、環境への負荷も少ないなど優れた特徴を有している。これまで落石エネルギーに応じて複数のタイプを商品化してきたが、1000kJまでの衝撃に対応するには従来のフェンスに使用する材料では難しかった。「フェンスに使うリングパネルというパーツは海外製が主流ですが、品質面が若干弱い。そこで全ての部材を国内で製造する体制を整え、高性能の製品を実現しました」。また、国内生産のためスピーディーな納品が可能。人力での施工により低コストで設置でき、価格も従来品と比べて安くすることができたという。
「この製品は業界でも注目していただいているので、今後はニーズが高い関西や九州エリアを中心に販促していきたいです。また現在は韓国、トルコと取引がありますが、他の国でも落石は多く、人力で施工できるという面でも需要が見込めます。将来的に海外にもこの落石防護柵を販売できるようにしていきたいです」と石井課長。今後も自然災害の対策技術を研究し、高品質で低価格、自然環境と調和した製品を生み出してゆく。
ARCフェンスは部材が軽量かつシンプルな構造で、人力での運搬・施工が可能。支柱間隔を地形に合わせて変えることができるため、立木の伐採を最小限に抑えられ、環境への負荷が少ない。
衝撃を吸収する「リングパネル」は自社で製造。落石捕捉後、損傷したリングネットは1個単位で取り換え可能で、修繕コストを抑えられる。
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株式会社プロテックエンジニアリング
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