誰もがいつでも有機野菜を選択できる。
そんな社会を長岡から実現していきます
長岡市にあるプラントフォームは、魚養殖と野菜の水耕栽培を同一システムで行い、有機野菜を生産する「アクアポニックス」を日本国内でいち早く手掛け、その影響が各地に広がり始めている。CEOの山本氏に、プロジェクトのきっかけや展望について伺った。
リクルート、メディックスなどを経て、2016年、株式会社データドック取締役CMOに就任、長岡市に雪氷冷熱活用データセンターを設置。2018年、株式会社プラントフォームを創業し、アクアポニックス事業を開始。
Q1 会社設立のきっかけは?
2016年に長岡市に作った寒冷地型データセンターの排熱と、雪冷熱の冷却水を活用する事業モデルを模索していて、漠然とですが、皆さんがパソコンやスマホを使うことで発生するエネルギーが、回りまわって食料生産に繋がっているという仕組みは凄く面白いなと思ってリサーチをしていました。その中でアクアポニックスという、魚と野菜を同時に育てる新しい農業のシステムがあることを知り、これだと思いました。
アクアポニックスは魚の排泄物をバクテリアが分解し、それを養分に植物が成長するシステム。栽培に必要な水は循環させて使用するという仕組みだ。アメリカ発祥で、アメリカではアクアポニックスの野菜はオーガニック認証が取得できる。同社の水槽ではチョウザメを養殖。順調にいけば年内にキャビアを初出荷する予定だ。
Q2 プラントフォームが目指しているのは?
私たちが目指すのは、有機野菜をいつでも多くの人が食べられる社会の実現で、アクアポニックスはそのための手段の一つです。私は東京出身で、新潟は農業県だから有機野菜は東京よりも豊富にあると考えていましたが、スーパーや直売所へ行っても全くと言っていいほど見かけないことに衝撃を受けました。その理由は国内では有機野菜は僅か0.5%しか作られておらず、その殆どが都市部のスーパー等へ運ばれてしまうからです。今後、農業従事者は急減し、畑の野菜は減り、化学肥料で育てる植物工場産へと置き換わっていきます。私達はその世界が来た時に、有機野菜という選択肢を、誰もが選べる世界を用意したいのです。
Q3 事業展開の苦労や課題は?
やはり雪には苦労しています。秋から冬は日照も少ないので補助光が必要になりますが、逆にこの条件下で出来るシステムなら、国内どこでも展開できるとも言えますね。アクアポニックスの野菜は、日本では水耕栽培が有機JAS認定から除外されているため有機野菜と名乗れません。ただ、これも生産者が増えれば流れは変わってくると考えています。
Q4 今後の展開を教えてください
いま、長岡市内のスーパー等では当社のレタスが販売され、通年で有機野菜が買える先進地になっています。これはものすごく画期的なことです。今後、当社が設計したプラントも次々稼働予定で、9月には三条市や、岩手県の大船渡市で、来年には長岡市内でも2ヵ所でスタートできそうです。我々が運営をサポートすることで、結果として有機野菜栽培が増える未来を実現していきたいと思います。
レタスは常時3~4種類を栽培。土壌栽培より短い期間で収穫でき、えぐみが少なく、歯切れが良くて、芯まで甘いと好評。長岡市内のイオンや直売所などで販売している。また、エディブルフラワーの栽培も始めている。
仕事をする上で
大切にしていること
仕事は楽しくやりたいし、みんなにも楽しんでもらいたいと思っています。会社員時代もやりたくないことを言われたままこなすのは嫌いで、与えられたフィールドで責任を担保した上で面白い仕事に変えてしまおう、と常に心がけてきました。
企業情報
株式会社プラントフォーム
長岡市上前島1-1863
URL https://www.plantform.co.jp/