Taibow! Coffee & gelato soft

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2021年01月27日
NICOpress174号新事業展開

自然災害から復活し、地域貢献できる姿を目指してCFに挑戦

目の前に角田山を望む眺望とおいしいコーヒー&ジェラートが人気のカフェ「Taibow!」。開業からわずか1年余りの2018年春、強風災害に見舞われ、友人が提案してくれたクラウドファンディング(CF)に挑戦した。彼らがそのプロジェクトに託したのは、地域と共に歩む未来だ。

Taibow! Coffee & gelato soft
代表 堀内 敬祐 氏/堀内 育郎 氏

兄で代表の堀内敬祐氏(写真右)と弟の育郎氏(写真左)。「クラウドファンディングはユニークなプロジェクトにも応援してくれる方はちゃんといて、自分たちが想像していたより自由だと感じました。従来の金融では難しい部分を補うところからクラウドファンディングは生まれていると思うので、挑戦するのもいいのではないかと思います」。

強風被害で資金がピンチに。そんな時、友人がCFを提案

新潟市西蒲区の上堰潟公園そばにある「Taibow!」は、近くで生まれ育った堀内兄弟が経営するカフェだ。兄の敬祐氏がスペシャルティコーヒーやラテアートを、弟の育郎氏がジェラート、ソフトクリームを提供。それぞれ北海道で修行し、磨いた技で多くのお客様を楽しませている。
2018年3月1日、新潟市で電柱も傾くほどの強風が発生し、多くの建物が破損し、けが人も出た。この強風で、Taibow!は店舗の屋根が風で吹き飛ばされ、一部が隣接する飲食店と、その店のお客様の車に落下し、被害を与えてしまうという事態となった。2016年末のオープンから、まだ1年余りしか経っていないときだ。
育郎氏は「我々の店舗の被害については保険が下りましたが、隣のお店とお客様の車の補償は自己資金で対応しました。オープンして以来、多くのお客様に来ていただきましたが、兄が体調を崩して2度ほど倒れたり、体調を見て店を閉める日もあったので、決して順調ではなかった。そのなかでの出費は資金的にもきついものでした」と当時を振り返る。
そんなとき、敬祐氏の高校時代の同級生から連絡が入った。高校のネットワークも使いながら、クラウドファンディングを活用してはどうかという提案だった。「その友人は、その後のプロジェクトの打ち合わせも毎回同席してくれて、熱くバックアップしてくれました」。

Taibow! Coffee & gelato soft Taibow! Coffee & gelato soft ラテアート

兄の敬祐氏はラテアートの全国ファイナル大会に3回出場経験を持つ腕前。弟の育郎氏は農家である実家で取れるイチジクや柿をはじめ、地元特産のフルーツを使ったジェラートを提供する。

 

被害から立ち上がる意志と地域に貢献したい思いを発信

挑戦を決めたのは、クラウドファンディングを資金調達のほかに情報発信の場としても活用できると感じたからだ。「災害から復活したいという思いと同時に、創業時から支えてくれている地域の人たちへの恩返しもしていきたい。オープン以来、Taibow!には“この場所でこんなことをやらせてほしいんですが”と、いろいろな人が提案を持ってきてくださいます。オープン1年目は自分たちのことで精一杯でしたが、そうした提案を受け入れ、地域に元気を与えられる場所になっていきたいと考えていたので、その思いもクラウドファンディングに込めて発信しようと考えました」。
利用したクラウドファンディングサイトは友人に薦められたREADYFOR(レディーフォー)。社会活動に関わる支援プロジェクトを多く扱っているサイトだ。リターンには自店のコーヒー券のほか、恩返しと地域の魅力発信の意味を込めて、創業時からサポートしてくれた地元の先輩や友人の店の商品やサービスなども加えた。金額は支援しやすい3,000円からリターン品を充実させた1万~100万円のメニューを設定した。
プロジェクトページでは、強風災害の様子やふたりのTaibow!への思い、地元の魅力、そしてリターンに協力してくれた仲間について丁寧に紹介。「文章は自分なりにまとめたものを、READYFORの担当者に添削してもらいながら組み立てました。リターン内容についても、僕たちは支援金に対して、比較的多めの割合を返す設定にしていたのですが、担当者から“クラウドファンディングはあくまでも資金を募るものなので、そこは資金がちゃんと手元に残るようにしましょう”とアドバイスをもらいました。」と育郎氏は振り返る。プロジェクト開始の告知や募集中の情報発信も、マニュアルを参考にタイミングに合わせてSNSなどで発信した。

 

応援してくれる人がいる
それは大きな力になる

被害から約2ヵ月後の5月にプロジェクトがスタートすると、3日で目標金額の100万円に達した。「驚く早さで支援が集まって、こんなに応援してもらえているんだ、とうれしかったです。自分たちが迷惑をかけたことへの支援だったので、お叱りもあるんじゃないかと想像していたんです。兄の高校の関係者の皆さんや地域の皆さんをはじめ、取引先の方が個人で支援してくれたり、お店のお客様も協力してくださいました」。
最終的に支援金は約170万円、144人の支援者が集まった。
被害からまもなく3年。クラウドファンディングをきっかけに気持ちを新たにし、この場所を地域に開かれた場所にする取り組みは少しずつ形になっている。「昨年はTaibow!で地元の割烹料理店が弁当を販売してくれたり、キッチンカーが店を開いてくれたりしました。他の人がこの場所で何をしたいのか、ということに興味があるし、それを僕たちも見てみたいんです」。
この場所を通して、地域がさらに魅力的になっていくことが、これからのふたりの目標のひとつだ。「将来、巻で店を開きたいという夢を持っているスタッフもいるんですが、そうした志ある若者が地域に増えていけば活気も生まれるし、将来、彼らが創業に向けてクラウドファンディングという方法を取ることがあったら、応援したいと思います」。

Taibow! Coffee & gelato soft クラウドファンディング

強風被害の後、店舗は1ヵ月の休業を経て、同年4月から通常営業に戻ることができた。昨年春には入り口にスロープを新設し、バリアフリー仕様に。「支援いただいた立場として、お客様が利用しやすくすることも必要だと思っていて、やっと実現できました」。

 

プロジェクト 新潟の兄弟の夢のカフェ。自然災害を受け入れ、新たな展開へ!

▶︎利用サイト/READYFOR ▶︎目標金額/1,000,000円 ▶︎支援者/144人 ▶︎実施期間/2018年5月3日~6月29日迄 ▶︎応援購入総額/1,718,000円 ▶︎リターンの内容/  ●コーヒー無料券+旧巻町おすすめコース(鯛焼き+ヘアメイク20%OFF)  ●ドリンク無料券(支援額に応じて3ヶ月~一生)  ●新潟の美味しいをお届けコース(お米、あべ農園「いちじくグラッセ」) など

Taibow! Coffee & gelato soft クラウドファンディング

リターン品には、ふたりの幼馴染が営むあべ農園の「いちじくグラッセ」や、育郎氏の野球部の同級生が経営する理容店tocotocoや、兄のように慕っている一成さんが作る地元の人気スイーツ「鯛車焼」の利用券を設定。

 

ポイント

  • クラウドファンディングを資金調達だけでなく、情報発信の場として活用
  • 地域と共に歩んでいきたいという強い思いをプロジェクトページでアピール
  • お世話になっている友人・知人の商品・サービスをリターンの品に

 

企業情報

Taibow! Coffee & gelato soft

〒953-0016 新潟市西蒲区松山56-4
URL https://www.facebook.com/TaibowCoffeeAndGelatoSoft/

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