安達紙器工業株式会社

2021年01月27日
NICOpress174号新商品・新技術開発

ユーザーの声を取り入れ、より使いやすいオーダーシステム開発へ

昭和17年創業の安達紙器工業は、段ボールをはじめバルカナイズド・ファイバー、パスコなどの特殊紙を用いて収納用品やインテリア用品、防災用品などを開発している。今回、オーダーシステム開発への支援を募るプロジェクトに挑み、ユーザーとの新たな関係作りに着手した。

安達紙器工業株式会社
営業部 安達 愛 氏/ 営業部 課長 小林 弘 氏

「当社は法人のOEMがメインだったので、ユーザーの声を直接聞く機会がなかなかありませんでした。今回は個人のお客様の意見を聞けてよかったです」と小林課長(写真左)。安達氏(写真右)は「システム開発も商品づくりも使う方の声を聞きながら、少しずつステップアップしていくことが大事だと学びました」と話す。

お客様が使いやすいWeb注文システムを目指して

生活用品から防災用品までさまざまなアイテムを開発している安達紙器工業。同社は代表商品の一つである『パスコオーダーBOX』の新たなWeb注文システムの開発を目指し、初めてのクラウドファンディングに挑戦した。
今回のプロジェクトは、ながおか・若者・しごと機構が2年前に主催した商品開発ワークショップがきっかけだった。「長岡造形大学の学生さんと一緒に1年以上、新商品の開発に取組み、改めて安達紙器工業の特徴は何か、どういう商品が求められているのかを考える機会がありました。そこでHPのアクセス解析を行ったところ、オーダーボックスのページが一番見られていることが分かったのです」と安達氏。
実際に新型コロナウィルスの影響で、家の片付けや収納に興味を持つ人が増えたこともあり、オーダーボックスの問合せが増加していた。「ところがページ離脱率が94%と、お見積りの依頼まで達していない事実が分かりました。せっかく求められている商品なのに、使いづらいシステムになっていることで購入をあきらめてしまっている。当初は開発した新商品を応援購入していただこうと考えていましたが、今回はお客様にとって使い勝手のよい新しいWeb注文システムを開発しようということになったのです」。
そこでいろいろなプラットフォームを調べた結果、今回の目的に一番合うと感じたMakuake(マクアケ)を選択。『1mm単位でオーダーできる軽くて丈夫な収納ボックス』として、Makuakeのサポートを受けながらプロジェクトの準備を進め、サポーターへのリターンには商品をお得に購入できる引換券のほか、長岡造形大学の学生と開発したオリジナルプロダクトを提供することにした。

安達紙器工業株式会社

新たなシステムでは、使いやすさを実現するだけでなく、お客様がわくわくしながらオーダーできる仕組みを考えている。

 

それぞれの段階に適したプロモーションで目標達成

「プロジェクトページを作成するにあたり、商品を作るための支援ではなく、Webシステムの改良に対する支援という目的を理解してもらえるのか不安だった」という安達氏。そこで「なぜ改良したいのか」という熱意を伝え、わかりやすく最後まで読んでもらえるストーリーづくりに力を入れた。さらにプロジェクト開始前には、オーダーボックスを購入したことがあるお客様へご案内し、SNSで情報を発信。スタート時には事前にPRしていた方へ再度告知し、メディアへのプレスリリースを行った。「目標を早く達成したほうが注目されると聞いていたので、事前のPRには力を入れました」。
こうしてプロジェクト開始後3日で目標金額を達成。予想を超える多くの応援コメントが寄せられた。「コメントが届いたら迅速に個別のメッセージを返信するなど、細かい対応を大事にしました。お客様目線で新しいシステムを作っていきたいと考えていたので、『完成イメージがわかるようなシステムが良い』『注文までできるようにしてほしい』など、具体的な要望や意見も多くいただいてありがたかったです。ただ、プロジェクトの中盤では応援購入の伸びもゆるやかになるため、この期間は活動レポートを随時更新して今の状況をお知らせし、SNS広告も展開しました」。
準備段階、スタート時、開始後と、それぞれのタイミングに適したプロモーションを行った結果、2か月間の実施で目標金額の291%を達成。今年4月の完成に向け、新しい注文システムの開発を進めている。

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Makuakeのプロジェクトページ。システム改良への思い、ものづくりへのこだわり、大学生とのプロダクト開発についてなど、支援者の心を惹きつけるコンテンツづくりを心掛けた。

 

お客様の声を聞き、新しいことに挑戦する大切さを実感

今回のプロジェクトは同社から2名、長岡造形大学の学生、デザイナー、ながおか・若者・しごと機構スタッフの5人体制で挑んだが、「一気に応援コメントが来ていたら、その対応に追われて大変だったかもしれません」というように、ある程度の人数を組んで準備をしておく必要があると実感。「それでもお客様の声を直接聞けることはとても良い経験でした。オーダーボックスを気に入ってくれた方が、写真を撮って言葉を添えて送ってくれたり、“魅力的な商品なので支援してみました”という声だったり、お客様の思いや求めるものを知ることができました」。さらにプロジェクトを通して、会社目線ではなくお客様の立場から考えることの大切さを改めて学んだという。「社長をはじめ私たち社員も今回の挑戦は不安でしたが、知らないからやらないではなく、とにかくやってみるということが大切だと実感しました」。
今後はシステムだけでなく、ロングセラーとなっている商品をもう一度見直し、今の時代に合わせた改良を考えていきたいという同社。今回のプロジェクトが社内に新しい風を運び、さらなるステップアップの足掛かりとなったようだ。

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空間やインテリアに合わせ、自分好みの色や形、サイズ、金具の種類まで選ぶことができるオーダーボックス。店舗、オフィス等からの注文も多い。

 

プロジェクト すっきり整頓、ぴったり収納! 1mm単位でオーダーできる箱&引き出し

▶︎利用サイト/Makuake ▶︎目標金額/500,000円 ▶︎サポーター/139人 ▶︎実施期間/2020年10月23日~12月22日迄 ▶︎応援購入総額/1,455,500円 ▶︎リターンの内容/●オーダーボックスの引換券20~30%OFF ●オーダーボックスの引換券+オリジナルプロダクト※

安達紙器工業株式会社

※長岡造形大学の学生と試行錯誤しながら開発したオリジナルプロダクトを、リターンとして用意。花火柄ボックス、マスクケース、ポケットティッシュケース、ポストカードフレームの4種類から選ぶことができる。

 

ポイント

  • 購入につながりにくい原因を克服するため、支援を通じてユーザーの声を取り入れる
  • プロジェクト開始前や実施期間中のPRを計画的に展開
  • 活動レポートは随時更新し、応援コメントへの対応を徹底する
  • 学生と開発したプロダクトという特色のあるリターンを設定

 

企業情報

安達紙器工業株式会社 NICOクラブ会員

〒940-0029 長岡市東蔵王2-7-30
TEL.0258-24-2145
FAX.0258-24-5597
URL http://www.adachishiki.co.jp/

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