新潟染工株式会社

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2020年03月31日
NICOpress169号新商品・新技術開発

繊維加工技術を磨き、競泳選手を支える

高い開発力を持ち、大手メーカーと協働して高機能の生地を作り出す会社が五泉市にある。国内の繊維産業が縮小していく中、どのようにして厳しい時代を生き抜いてきたのか?
技術を追求する同社の展開を伺った。

代表取締役社長 金塚 紀之 氏
代表取締役社長 金塚 紀之 氏

「地球環境への意識が高まっていく中、競泳用水着で次に目指すのは完全フッ素フリー。2024年のパリオリンピックに向けて開発を進め、当社の技術力を世界にアピールしていきたい」と話す金塚社長(写真左)と、研究開発チームを取りまとめる斉藤氏(写真右)。

共同特許を持つ技術で競泳選手をサポート

今年創業55年の新潟染工は、生地メーカーから委託を受け、染色やプリントを行う繊維加工会社。ユニフォームや体操着、スポーツウエアや婦人衣料に使われる合成繊維生地の染色加工を行っており、海外での大量生産には向かない多品種小ロット製品や、特殊技術を必要とする高機能製品の加工を強みとする。
中でも撥水性を高める加工技術はメーカーとの共同特許を取得し、競泳日本代表の水着にも採用されている。昨年その功績が評価され、第8回ものづくり日本大賞で経済産業大臣賞を受賞。「競泳用水着の生地の開発は、2008年の北京五輪で話題となった『レーザー・レーサー』の使用が公式大会で禁止された2010年から始まりました」と金塚社長。10年目となる今もより高い性能を目指し、研究を続けている。

高付加価値製品を生み出し縮小する業界で生き残る

新潟染工が高機能製品を得意とする背景には、繊維業界の変化が挙げられる。「平成の30年の間に、人件費の安い海外へ生産拠点を移す動きが活発になりました。現在、国内の生地加工の総量は、面積でいうとバブル期の25%にまで縮小しています」と金塚社長。そんな大きな変化の中で生き残るために、付加価値の高い製品を生み出すことが求められてきた。
同社は、元々他社が敬遠しがちな製品も積極的に受けてきたという。例えば、学校で使われる体操着は、学校ごとに異なる色を正確に出し続ける必要がある上、サイズのバリエーションも幅広く、多品種小ロットにならざるを得ない。そんなメーカーからのニーズに対してしっかりと応え続けてきたことで、品質と機能が求められるスポーツウエアにも対応する力が育った。

生機(きばた)と呼ばれる加工前の生地
洗浄する「精練」技術

メーカーから送られてくる生機(きばた)と呼ばれる加工前の生地には、余分な油分や細かいゴミが付着している。それを洗浄する「精練」技術により、後工程で質の高い製品に仕上げられる。

挫折を乗り越え製品の開発に成功

特許技術を持つ水着用の生地は、優れた伸縮性と撥水性が特長だ。そこには、染加工前の生地から不純物を取り除く「精練」という伝統的な技術が用いられている。そこに、しっかりと色をのせる染色技術、生地が引っ張られても水が浸み込まないように糸1本1本に撥水材を浸透させる技術が加わる。「何度挑戦しても生地にシワや汚れが現れ挫折しそうになりましたが、新しい水着で選手が活躍する姿を想像し、それを励みに完成させることができました」と斉藤氏。
次の目標は性能を維持しながら、より環境へ配慮された製品にすること。「生産量を増やしていくのではなく、技術力を高めていくことに力を注ぎたい」と金塚社長。自社にしかできないことを追求し、未来を切り開く気概にあふれていた。

競泳用水着の生地
競泳用水着の生地は黒からスタート。性能を維持した上で、青、赤、黄などの染色にも成功しデザインの幅が広がった。

 

ポイント

  • 他社が敬遠する多品種小ロットの加工も積極的に受注
  • 生産量を増やすのではなく、技術力向上に注力する
  • 培った技術を生かし、高付加価値の製品開発を行う

 

企業情報

新潟染工株式会社

[本社]〒959-1834 五泉市木越1600
TEL.0250-42-5101
FAX.0250-43-3848
URL http://niigatasenko.co.jp

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