有限会社油屋久助商店

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2018年02月26日
NICOpress148号新事業展開

県内屈指の老舗企業が「栃尾油揚げ」の製造販売に参入

有限会社油屋久助商店
代表取締役 久保原 昇 氏

油屋として創業し、豆腐関連の卸売・製造業に移行

食品の卸売と製造販売を手掛ける有限会社油屋久助商店は、2016年に創業400周年を迎えた老舗企業。その歴史は1616年、長岡の旧新町村で菜種油の製造販売を営む油屋として始まった。

「大変な時代を生きてきたわけですから、商売の浮き沈みも激しかったです」と語る久保原社長。明治時代に入ると燃料としての需要が減り、多くの油屋が廃業。それでも大正、昭和と、油を搾る技術を核に商売を続けてきたが、国産原料がなくなったのを機に昭和42年に菜種油の製造を中止。豆腐店に油を納めていたことから、大豆などの原材料を扱う問屋業へと移行していった。

近年は物流の発達で関東から大手メーカーの商品が県内に入るようになり、取引先の豆腐店が減少。そこで製造業も視野に入れ始めた頃、長岡市学校町の豆腐店・佐野屋が中越地震の被災から廃業することになり、原材料と製造機械を納めていた同社が名前を引き継いで摂田屋町で豆腐や油揚げの製造を始めた。

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厚みを出すことにこだわった「栃尾油揚げ」。厚みがありながら、芯までふっくらと仕上がっている。今年テレビ番組で取り上げられ、さらに注文が殺到。現在の販路は関西や名古屋方面など県外が多い。

栃尾に工場を設立。新事業に着手し販路を拡大

同社は昨年、長岡・栃尾地域の名物として知られる「栃尾油揚げ」の製造販売に新規参入した。「取引がある商社や問屋から、栃尾の油揚げは作らないのかと言われたのがきっかけ。試作してみると好評だったので、本場の栃尾で作ることにしました」。長岡市や県の補助金を活用し、昨年9月に工場が完成。今年2月から本格的に製造を開始した。「当社の栃尾油揚げは厚みがあると好評。手揚げによって、この厚みを出しています」と言うように、大手スーパーや問屋からの評判も良く、順調に取引先を増やしている。

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人手不足の中でも安定した商品が生産できるよう製造工程はほぼ機械化されているが、とくに重要な揚げ工程は手作業。手揚げすることで油のノリがよくなり、料理をしたときにおいしくなるという。

時代の変化に臨機応変に対応することが継続のカギ

これまで事業を継続できた理由について「その時代に合わせて、臨機応変に動いてきたからではないか」と久保原社長。油屋から始まり、原料や機械の販売、豆腐や油揚げ製造と、時代の変化に合わせて知識と技術を蓄積しながら、関連する事業へと繋げてきたことが大きかったという。

「今後は栃尾油揚げの市場をどのように差別化しながら開拓していくかが課題。そこから何か派生的なアイデアが出てくれば、また挑戦していきたいと思います」。400年という暖簾を守りながら時代の変化に柔軟に対応し、未来を見据えたさらなるチャレンジが始まっている。

戦争で全てを失っても、油を搾る技術があったので何とか生きてこられた。

「豆腐や油揚げの製造も、新しい大豆を海外で探し、機械を売るためには自ら作ってみる必要があったから、結果として確かな技術を持つことができたのです。問屋業だけの感覚でいたら、今の事業を展開できなかったと思います。」と、久保原社長(写真左)。栃尾工場の工場長を務めるのは息子の稔夫氏(写真右)。

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企業情報

有限会社油屋久助商店
[本社] 〒940-0023 長岡市新町2-1-9
TEL.0258-32-1930 FAX.0258-32-1883
[栃尾工場] 〒940-0241 長岡市北荷頃字西荒途56-3
TEL.0258-84-7731 FAX.0258-84-7732

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