株式会社MASAYA【従業員承継|承継に向けて従業員が株式会社を設立し、事業規模を拡大】

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2023年10月10日
NICOpress190号専門家等に相談新事業を展開したい

創業家の思いを従業員が承継。
事業を拡大し地域の子どもたちの成長を応援

学生専門SHOPマサヤ(三条店、イオン白根店)と、制服リユース専門店「Eco School Factory」を展開し、三条市及び新潟市南区の学生服市場の約8割をシェアとするMASAYA。同社は2016年に従業員が創業家から事業を譲り受け、地域密着を軸にしながら事業を拡大している。

代表取締役 山田拓也 氏
代表取締役 山田拓也 氏

「先代である奥様から“ここは守ってほしい”と言われたことは、全くありません。本当に陰から支えてくれて、100%自由に仕事をさせてくれた。それが、私が事業を引き継ぐ自信につながったと思っています」と話す山田代表。地域貢献の一つとして、小学校の児童クラブの先生を11年間務めているという。

先代の人柄と仕事への姿勢に共感し入社を決断

学校指定の制服販売を主力とするMASAYAは、当時従業員だった山田代表が創業家から事業を承継するため、2016年に設立した会社だ。

MASAYAは1960年、樋口正美氏が旧白根市商店街にマサヤ洋品店を開業し、1974年に学生服専門店に業態転換したのが始まり。長年、樋口夫妻が個人事業として店を営んできたが、親族内に後継者がおらず、店を継いでくれる人物を探していたときに紹介されたのが山田代表だった。「当時、私は三条の紳士服店の学生服部門に勤めていました。私が入社したときはバブルが崩壊して、紳士服業界は一番の低迷期。そこで転職先を探そうかなと、取引先のメーカーさんに話したところ、白根に後継者を探している店があるから、一度見に行ってみないかと言われたのがきっかけでした」と山田代表。入社を決めた理由については「社長の人柄と仕事のやり方に意気を感じたから」と話す。「前に勤めていた紳士服店は経営状態が厳しくなっていたため、仕入れや在庫関係にシビアで、売りたくても思うように売ることができない状況でした。ところがMASAYAの社長は、どんどん仕入れて絶対に売り切るという真逆のスタイルだったので、ここなら自分の能力を活かせると思ったのです。また、当時は中学校の制服を購入するお宅に社長が一軒一軒伺って生徒の採寸を行うなど、本当に地元のお客様との関係を大切にしていました」。

学生専門SHOPマサヤ三条店

明るい雰囲気が印象的な学生専門SHOPマサヤ三条店。小学校の体操着、学校指定の中学・高校の制服のほか、自由制服の生徒を対象にしたスカートやカバンなども豊富に取り扱っている。

学校制服学校カバン

 

専門家のサポートを受け
新会社を設立し事業譲渡へ

こうして2003年に唯一の従業員となった山田代表は、翌年開店した三条店を任されるが、突然社長が亡くなるという不測の事態が起こる。「社長と一緒に挑戦していこうという矢先に亡くなってしまったので、私が白根店と三条店を同時に任されることになりました」。その後の約10年間は2店舗を守ることに邁進していたため、事業承継については先送りとなっていたが、「事業を引き継いだ社長の奥様には持病があり、入院することもありました。そこで“自分に何かあれば事業が立ち行かなくなるので、これを機に事業承継をしましょう”と話がありました」と語る。

事業承継の準備や手続きについては、白根の商工会議所の勧めでNICOの専門家派遣事業を利用。2015年から株式会社にいがた事業承継サポート室の支援を受けて、経営業態を個人事業から株式会社に移行した。「まず私がMASAYAを立ち上げ、個人事業を買い取るという形で承継を進めることになりました」。そして山田代表は新会社の経営計画書を作成するとともに、三条市が主催する創業塾に参加し、経営についての勉強も始めた。

「支援を受けて良かったのは、専門家の先生が中立的な立場で物事を進めてくれたことです。直接は話しにくい金額などについても、私と奥様の間に入って話を聞き、双方の着地点を見つけていただけたのは、とてもありがたかったです。また、承継してから2年間ほど労務や財務、実務などをサポートしてもらって非常に助かりました。それがなければ会社の基盤はできなかったと思います」と山田代表。さらに、これから従業員への事業承継を考えている経営者には、「事業を受け継ぐ人に対して、“これからやっていける”という自信を植え付けてほしいですね。継ぐ人は、それをしっかりと受け止めて、自覚や自信を持つ。それが大切だと思います」と語る。

お客様との接客の様子

地域のお客様に愛されるために、何よりも接客を重視。また、子どもの成長に合わせて制服の丈出しやファスナーの修理など、きめ細やかなサービスを樋口社長の時代から行っている。

 

先代が大切にしてきた地域密着を受け継いでいく

承継後は、当時5名いた従業員を正社員とし、社会保険の加入など福利厚生の充実を図った。さらに、2019年に制服のリユース店「Eco School Factory」を開店。2020年にはネット販売も始める。「貧困などの問題もある中、子どもたちに平等に制服を着てもらいたいという思いがあってEco School Factoryを立ち上げました。また、学生服やセーラー服は全国共通のものも多いので、リユースのネットショップがあれば、もっと多くの人が助かるのではないかと思い、オンラインショップも開設しました」。

今後は販路拡大を図るとともに、後継者がいない同業者をM&Aなどの形で事業承継することも検討中。また、MASAYAで学生服を作った人を対象に、成人式などで着用するオーダースーツを製作する事業も展開していきたいという。「樋口社長が大切にしてきた『地域密着』を受け継いでいくのはもちろんですし、少しでも地域に貢献できる環境づくり、活動をしていきたいです」と話すとおり、中学校での授業サポートをはじめ、店舗を利用してワークショップを開催するなど、地元の貢献活動に力を入れる山田代表。創業家の思いを受け継ぎながら、地域の子どもたちの成長を応援する会社として、さらなる発展を目指してゆく。

「手縫い・ミシン体験教室」のご案内

リユース制服を活用した洗濯セミナーの様子

地域に寄り添う活動として、三条市内の中学校でリユース制服を活用した洗濯セミナーを開催。ほかにも従業員が講師となって、夏休み中の子どもたちに教える「手縫い・ミシン体験教室」など、MASAYAワークショップも好評。交流の場も提供している。

 

制服のリユース専門店「Eco School Factory」の内観

制服のリユース専門店「Eco School Factory」の外観

SDGsに賛同して立ち上げた、制服のリユース専門店「Eco School Factory」。卒業後に不要になった制服を下取り、メンテナンスを行った後、リーズナブルな価格で提供している。

 

ポイント

  • 個人事業主からの従業員承継を計画的に進めるため、NICOの専門家派遣事業を利用。専門家の支援でスムーズな事業承継を実現。
  • 新会社の設立で従業員の雇用を維持し、福利厚生の充実を図る。
  • 制服のリユースをはじめ、社会や地域に貢献する活動を展開。

 

企業情報

株式会社MASAYA

三条市東三条1丁目6-28
TEL.0256-35-8214
URL https://www.masaya-1218.com/

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