株式会社山髙建設

2020年07月31日
NICOpress171号専門家相談新商品・新技術開発

より良い消雪パイプのメンテナンス技術を次の時代に伝えたい

新潟の冬に欠かせない消雪パイプの内部を洗浄する技術を開発した山髙建設。「長岡発祥の消雪パイプ。メンテナンスも長岡で確立させて後世に繋ぎたい」という思いを実現するため、コーディネーターのアドバイスをもとに、PRや販路開拓に挑んでいる。

株式会社山髙建設 代表取締役 髙野 浩 氏
代表取締役 髙野 浩 氏

「自社で技術開発したり、テレビに取材してもらったりと、自分たちに出来るのかなと思っていたことが、皆さんのサポートのお陰で実現できた。チャレンジすれば届くということが分かりました」と語る髙野社長(写真右)。

長岡で温水高圧洗浄技術を活かせるものは? と模索

長岡市でクレーンのリースや建設資材運搬などを手掛けている山髙建設。2016年には経営革新計画の承認を受け、高温水による特殊高圧洗浄事業「エコロビーム越後」を新事業として立ち上げるなど、事業の幅を広げてきた。そしていま、自社で技術開発した消雪パイプ温水高圧洗浄技術「リバーサルクリーニング」で、新たな市場へ挑戦している。

消雪パイプは長年利用すると、パイプ内部に蓄積した水垢や砂泥が溜まり、水の出が悪くなる。リバーサルクリーニングは、パイプ内にリードを通し、先端を噴射ノズルに取り換えた後、リードを入れた方向に引き寄せながら洗浄していく。パイプ交換よりも低コスト、短工期で機能を回復させることができるのがメリットだ。

もともと、同社が高圧洗浄事業に乗り出したきっかけは、冬になると仕事が減るという業界ならではの課題だった。しかし、エコロビーム越後の受注も伸び悩むなか、髙野社長は「長岡で高圧洗浄が最も役に立てることは何だろう」と考える日々だったという。ある年の冬、家の近所を歩いていたとき、ポンプ屋さんが毎日早朝から忙しそうにしていることに気付いた。冬は水道管が凍るなど、水のトラブルが多いと聞き、水道管から消雪パイプのイメージが湧いた。「県外の友人から、長岡って赤い街だねと言われたことがあるんですが、それは消雪パイプから出る水の赤サビの汚れのせい。消雪パイプの管の中を洗えたら?と思いつきました」。

株式会社山髙建設 リバーサルクリーニングの作業風景

リバーサルクリーニングの作業風景。ノズルで洗浄すると、管の中にたまっていた砂泥や水垢、赤サビなどが一気に噴出してくる。

 

代理店募集のための販促活動について相談

各方面の協力を得て、デモ洗浄や受注を行いながら、現場で解決に向けたノウハウを蓄積。管の詰まり方や水垢の溜まり具合は地域によって全く違うことも分かった。事業化を進めるにあたり、この技術で「Made in 新潟」(注)に登録したいと挑戦したが、初年度は落選。技術に新規性が無いということが理由だった。
(注) Made in 新潟 新技術普及・活用制度 新潟県が県内の企業が開発した土木・港湾及び建築分野の新技術を募集し、新潟県が発注する工事に使用した結果を含めて広く情報提供を行う制度

そこでよろず支援拠点のコーディネーターの木村氏に相談したところ「温水を噴射するノズルを開発すれば強みになる」とのアドバイスを受けた。ノズル開発を依頼できる企業を地元で見つけ、同じ水圧でも威力が増して洗浄効果が上がる穴の数、角度などをはじきだしていった。

こうして誕生した新技術、消雪パイプ温水高圧洗浄「リバーサルクリーニング」は無事、「Made in 新潟」に登録。髙野社長は「登録されたら、次は代理店を募集したいと思っていました。その宣伝方法についてもよろず支援拠点へ相談し、中俣さんにアドバイスをいただいています」。

中俣氏からは、まずホームページやSNS、YouTube動画を使った発信について、「誰が見ているか分からないから、全方向での発信が大事。たまたまYouTubeを見た若者の親が、消雪パイプで困っていることだってある。社長が新事業への思いを語るだけでもいいので、まず1年はYouTubeの更新を続けてほしい。そうすると少しずつ変わっていく」とのアドバイスを受けた。

株式会社山髙建設 YouTubeを始めたときは、全く視聴回数が伸びず、心が折れていたという髙野社長

YouTubeを始めたときは、全く視聴回数が伸びず、心が折れていたという髙野社長。「中俣コーディネーターはそんなときでも、とにかく続けること、と常に励ましてくれて、またやる気になれました」。
株式会社山髙建設 YouTube

作業方法や洗浄の様子を、YouTubeの動画チャンネルにアップ。その効果が一目でわかると好評だ。

 

各方面のスペシャリストのサポートでここまで来た

取り組みは地元の新聞に掲載され、中俣氏にプレスリリースの書き方を指導・添削してもらいながら、情報発信を行った結果、地元テレビ局からも取材を受けた。また、営業先についてもアドバイスをもらった。「自治体の管轄である道路以外にも、病院やマンション、大型施設など、自前で消雪パイプを持っているところも多い。そうしたところへのアプローチも大切だと教わりました」。

昨冬は暖冬で消雪パイプが稼働しない事態となったが、髙野社長はそれも良しと前を向く。「これは、もうひと工夫アイデアを出すチャンスですし、雪が降らないときのことも考えなさいよ、という課題をいただいたと思っています」。

長岡市小国の工事で、何年も水が出なかったという消雪パイプから水が出たときに、お客様が大喜びした顔が忘れられないと話す髙野社長。この技術を広めたい根底には、長岡生まれの消雪パイプだからこそ、メンテナンス技術も長岡発祥に、という思いがある。「まずは、多くの方に喜んでもらいたい。そのために頑張っていきたいと思います」。

株式会社山髙建設 自社開発した洗浄ノズル

自社開発した洗浄ノズルは、垂直方向に6つの穴から水を噴出させることで、高い洗浄効果が得られる。
株式会社山髙建設 Webサイト

リバーサルクリーニングPR用のWebサイト

 

 

ポイント

  • 新たな消雪パイプ洗浄ノズルを自社開発し、「Made in 新潟」に登録。
  • ニュースリリースなどPRのポイントを学び、各種メディアに取り上げられる。
  • 営業先の視野を広げることで、アパートの駐車場などからの仕事を受注。

 

新潟県よろず支援拠点 チーフコーディネーター 中俣 順弥  氏
新潟県よろず支援拠点 チーフコーディネーター
中俣 順弥 氏

■ 専門/販路開拓・商品企画

「長岡発の消雪パイプだから、メンテナンスも長岡発で開発して完結させたい」というお話を聞いたとき、この事業の可能性を確信しました。髙野社長の素晴らしいところは、アドバイスしたことをしっかりと実行していく姿勢です。しかも、それを楽しんでやっているところが、とても良い。その気持ちは必ず見る人に伝わるので、これからも明るく発信を続けてほしいと思っています。

 

企業情報

株式会社山髙建設 NICOクラブ会員

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TEL.0258-41-2500
FAX.0258-41-2501
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