金属加工の燕で生まれた商売で全国に挑む
プレスや研磨といった金属加工の工程で製品に付着した油汚れを落とす、脱脂洗浄を手掛ける本間産業。全国でも珍しい受託洗浄業を広く知ってもらい、新たなビジネスチャンスを掴もうと、さまざまな挑戦を始めている。
「次はSDGsにも取り組みたい。多くの大手企業が導入するなか、同じようにSDGsに取り組む加工屋がいたら、使いたいと思ってくれるんじゃないかと思うんです」と話す本間社長。
全国ニーズの掘り起こしはまず知ってもらうことから
金属加工の専門業者が集う燕市で、工業用油を洗い落とす洗浄分野を担ってきた本間産業。2代目の本間社長は「他県の人から見ると、専門の受託洗浄業はとても珍しい存在。燕だからこそ生まれた商売ですね」と話す。
実際、7年前に展示会に出展し始めた当時は、ほとんどの人に洗浄機メーカーと間違われた。「それだけ受託洗浄という仕事が知られていないということ。今後のカギは、まず、こういう専門企業があることを知ってもらうことです。展示会の主催者に掛け合って受託洗浄部門を作ってもらったり、日本産業洗浄協議会の機関誌に受託洗浄について寄稿したり、講演させてもらうなど、積極的に働きかけてきました」。
燕ならではの受託洗浄を求めている企業は必ずある
同社では長年主流だったトリクロロエチレン(注)洗浄に加え、8年前から環境負荷の低い炭化水素系洗浄も行う。当時、地元ではまだトリクロロエチレンの依頼がほとんどだったが、全国的には炭化水素系洗浄が主流になっていた。「環境への意識の高いトップメーカーが求めるのは環境負荷が低い洗浄方法。これから勝負をしていくためには、トップ企業が求める基準に合わせることが重要だと考えて導入しました」。
(注) トリクロロエチレン
金属製品の洗浄などに使用される有機塩素系溶剤。低価格で洗浄力が高いため長く使われてきたが、発がん性が認められるため、排出抑制への取組みが求められている。
そこには、全国に受託洗浄ニーズがあるという確信もある。「他県では洗浄を内製化している企業がほとんど。しかし、保有する洗浄機に入らない大きさの製品を受注したり、大量受注で洗浄工程が間に合わなくなるなど、キャパオーバーの悩みを持つところも多い。新しい機械の導入は大変ですから、当社の存在を知れば頼ってもらえると思う。実際、最近の新規顧客の95%がホームページ経由。全国各地から『探しに探してようやく見つけた』というお声をいただいています」。
環境負荷は徹底的にケア
品質管理の姿勢が問われる時代
今後、利益を求めていくためには、品質管理を徹底することが重要と考え、昨年は残留油分の測定器を導入。10年後には、洗浄部門と測定部門の2本柱に育つよう期待している。
また、今夏にはトリクロロエチレンの排出抑制の精度をさらに高め、法令順守をこれまで以上に強化する。「環境対策に力を入れることが、顧客の信頼につながる」と話す本間社長。現在は、自動車・半導体・航空・食品など業種に関係なく依頼が舞い込む。「当社の強みは地元のお客様がいるということ。その基盤をもとに、県内外のお客様を増やしていきたいと思っています」。
企業情報
有限会社本間産業 NICOクラブ会員
住所 〒959-1271 燕市蔵関191-1
TEL.0256-63-9684
FAX.0256-64-8802
URL https://www.honmasangyou.co.jp/