「改善」「挑戦」を地道に続け崖っぷちから活路を見出す
「経営が苦しかった頃、『やるところまでやってダメなら仕方ない』という妻の言葉に励まされました。今は忙しくさせてもらっている毎日に感謝しています」と小竹社長。
社会も商売も知らないゼロからのスタート
小竹製菓は1924(大正13)年創業。戦後から高度成長期は、和菓子に加え、パンや洋菓子にも事業を拡大し、2代目の父親の頃には最大5店舗を経営した。しかし平成に入ると、パンはパン屋、洋菓子は洋菓子店で買い求める“専門店ブーム”の時代になった。商品領域が広い同社の経営が停滞気味となってきた頃、小竹社長は家業を継いだ。「大学卒業直後で商売のいろはも知らない状態。会社を立て直すといっても先が見えず、まるで地下生活のようでした」と苦笑する。商品点数を絞り、店も1店舗に集約。商売を途切れさせないことを最優先に日々奮闘した。
ご当地グルメブーム到来看板商品をイチから見直す
やがてB級グルメやご当地グルメブームが到来。店で半世紀以上愛され続ける「サンドパン」に目をつけ、ブランドとして確立すべく商品改良に着手した。クリームは原材料から見直し、なめらかな口どけに、パン生地は発酵時間を増やすなどして質を高めた。また、NICOや上越市が主催するセミナーにも積極的に参加し、常に勉強も欠かさなかった。「『ソウルフード』の名に恥じない商品であるよう、誇りを持って丁寧に作ってきました」と小竹社長は話す。
ヒットの要素に加え材料にこだわった笹だんごパン
次の転機となったのが「笹だんごパン」だ。2015年3月の北陸新幹線開業を照準にお土産として開発。前身の商品はあったが、味やサイズ、材料など一から見直したという。NICO主催の食の専門家相談会では白石氏の助言を受け、パン生地に含まれるマーガリンを体にやさしい米油に変更。パン生地も極限まで薄くして、中のだんごとのバランスを良くした。パッケージデザインはデザイナーと1年以上かけて練り上げ、新幹線開業1日前に完成させた。 かわいいパッケージデザインに、パン×笹だんごという目新しさ、しかし奇抜すぎずおいしさが想像できること。そして、実際に食べ、新しい味わいを楽しめることなどといったヒットの要素が盛り込まれた新商品は、若い女性を中心に一躍人気となった。 停滞期にも地道な努力と挑戦を続けてきた同社。小竹社長は一時的なブームになる商品でなく、長く愛されるものを作りたいという。「これからは地元に人を呼べるようなことをしていきたい。高田は面白い店やスポットが多い。地域の魅力の1ピースとなって盛り上げていけたらと思います」。次なる一手を楽しみにしたい。
会社情報
株式会社小竹製菓
〒943-0846 上越市南高田町3-1
TEL.025-524-7805 FAX.025-524-1735
URL http://www.kotakeseika.com/