地域の観光と絡めたコラボで伝統の酒まんじゅうを発信
NICOクラブ会員
有限会社 乙まんじゅうや
取締役 久世 俊介 氏
江戸時代から続く老舗まんじゅう店の挑戦
胎内市の乙宝寺門前に店を構える乙まんじゅうやは、1804年創業。その歴史は、同店の初代が乙宝寺の住職より「酒まんじゅう」の製法を授かったのが始まりで、以来200年以上に渡り、糀菌を発酵させて作る当時の製法を守り続けている。
創業時から商品は「乙まんじゅう」のみという中、5年前に帰郷した11代目の久世氏は、胎内産の米粉を使った「揚げまんじゅう」や、自家製糀で作る「甘酒プリン」などの新商品を開発。さらに、昨年は乙宝寺とコラボレーションしたバレンタイン用の限定商品を販売し、話題となった。
久世氏が企画した新商品「米粉揚げまんじゅう」は、外側のカリカリ感と皮のもっちり感が絶妙なバランス。糀の甘酒と豆乳、米粉で作る「乙女の糀」も今年4月に発売した。
良縁成就の祈祷をした小豆でバレンタイン商品を企画
「2年前にNICOの広報実践講座を受講し、他と一緒に何かをやることで商品価値を高める方法もあるということを学び、ご縁のある乙宝寺様ともコラボできるのではないかと思いました」と語る久世氏。以前からバレンタイン用の企画を考えていたこともあり、祈祷寺として歴史ある乙宝寺の住職から小豆に良縁成就の祈祷をしてもらい、ミニサイズの乙まんじゅうを製作。昔から店で扱っていた菊水酒造の清酒とセットにして限定100個を予約販売したところ、SNSや新聞記事などで注目されたこともあり、短期間で完売となった。
乙宝寺とのコラボによるバレンタイン限定商品「ちっSAKEセット」。
観光と合わせたコラボで新しい価値を生み出す
商品開発だけでなく、要望があれば送迎サービスをはじめ乙宝寺や地元の観光ガイドも務める久世氏。「周辺のホテルや旅館に宿泊するお客様をガイドし、翌日、お土産として当店のまんじゅうをお届けするといった観光系のコラボもさせていただいています。コラボは商品を作るだけではないと気付いてから、仕事の幅が広がりました」。今後は近隣の市町村とも協力しながら、乙地域の魅力を発信する、観光と合わせたサービスを提供していきたいという。
「乙まんじゅうそのものを変えることはないので、今以上の価値を生み出すためには、外部の力をお借りすることが必要です。乙宝寺様や企業の皆様と一緒に取り組むことで、少し違った視点から商品の付加価値を高めることができる。それが一番のメリットだと思っています」。 新潟県最古の酒まんじゅうという伝統を守りながら、さまざまなコラボレーションを通して、新しい時代に向けた発信をしてゆく同店の今後に注目したい。
添加物や保存料を一切使用せず、伝統の製法を守るというこだわりを貫いている「乙まんじゅう」。
「いろいろな企業にこの乙(きのと)地域の魅力や使い方を提示し、活用して頂く。こうすることで今まで当店のまんじゅうを届けられなかった方にも喜んでいただけるようになりました」と語る久世氏。
POINT
- 寺とコラボしたバレンタイン商品という「意外性」と「話題性」
- 観光という視点で企業とコラボし、商品の付加価値を高める
企業情報
有限会社 乙まんじゅうや
〒959-2602 胎内市乙1235
TEL.0254-46-2008 FAX.0254-46-2027
URL http://kinoto-manju.jp
営業時間/7:00~19:00(不定休)