利用者の工賃アップを目指し、洋菓子の売上拡大を相談
社会福祉法人 長岡福祉協会 野いちご工房
施設長 木下 徳子 氏
就労支援施設こだわりの洋菓子をいかに売るか
社会福祉法人長岡福祉協会が運営する野いちご工房は、指定障害福祉サービス事業として、主に精神障害者の方への就労支援を行う事業所だ。職業訓練として洋菓子の製造販売を行い、働くことを学ぶ場を提供している。
作っているのはケーキやクッキー、シュークリーム、ドーナツなど。地元・長岡の食品とコラボした商品も多く開発しており、今井豆富店の肴豆とうふを使った「豆富チーズケーキ」、中村農園のきなこを使ったきなこスイーツ、関原酒造のお酒を使った日本酒ケーキなど、メニューのバリエーションが豊富。長年にわたり洋菓子を作ってきた経験値から、どのスイーツもクオリティが高く、おいしいと評判だ。その一方で、洋菓子の販売が安定しないことに課題を感じていた。
平成25年度に「新潟県障害者授産製品おやつコンテスト」で優勝した「豆富チーズケーキ」をはじめ、味も品質も高い商品が揃う。事業所や長岡市内6ヵ所で販売するほか、注文を受けての配達も行っている。
アピールの重要性と価格設定のコツを教わる
木下施設長は「ここの売上は利用者の皆さんに100%還元しています。27年度、新潟県における障害福祉サービス事業所の月額平均工賃が1万4,378円(就労継続支援B型事業所)で、昨年の当施設の平均は1万3,359円。県平均に追いつけるよう、いかに販売を拡大すればいいか、職員で考え続けてきました」と話す。
そして取引銀行から新潟県よろず支援拠点を紹介され、昨年10月、コーディネーターの本間氏に最初の相談をした。「本間さんから指導いただいたのは、アピールの仕方と商品価格です。スタッフが作る商品チラシは、もっと分かりやすく、すっきり見えるように工夫したほうが良いとヒントをいただきました。価格については、安い方が売れると思っていましたが、今の時代は良いものは高くても売れるし、きちんと利幅を取れる価格を付けるようアドバイスいただきました」。
使う色は3色まで、商品写真は大きく分かりやすく、といったアドバイスを受けて、スタッフがチラシのデザインを変更。おいしそうなイメージが伝わり、注文増につながった。
春の新メニューも登場。
チラシのデザイン変更効果でフェアの売り上げがアップ
チラシやパッケージは、本間氏から紹介されたデザイナーから色を使いすぎない、統一感を持たせる、写真は大きくといった指導を受け、スタッフが作り直したところ、これが大好評。「3月にロールケーキフェアを行いましたが、チラシを見たお客様が“見やすいね” “変わったね”とほめてくださり、購買にもつながって、売り上げ目標も達成できました」。
また、これまではメディアへのアピールは全く行ってこなかったが、発信することの大切さを教わり、今後はプレスリリースにも挑戦したいという木下施設長。「私たちは福祉施設という立場でコストを掛けられないことも理解したうえで、私たちに出来るアドバイスをしていただき、感謝しています」。
「20年が経過して、ここでお菓子を作って販売していることが、少しずつ認識が広がってきたところです。利用者の皆さんへの工賃を1円でもアップできるよう一層頑張っていきたいと思います」と話す木下施設長。
メニュー開発・パッケージ改善等サポート
新潟県よろず支援拠点コーディネーター 本間 真弓 氏
当施設の強みはクオリティの高い製品ですが、思うような利益が上がらずという状況でした。原価と利幅の見直しと、パッケージ、容量の変更や価格改定を行い、利幅を増やしても手に取りやすい価格にしたところ、売り上げの向上につながりました。情報発信についてもデザイナーのアドバイスのもと取り組んで頂いています。
企業情報
社会福祉法人 長岡福祉協会 野いちご工房
〒940-2035 長岡市関原町1丁目字中原3195
TEL.0258-47-5141 FAX.0258-47-5140
URL http://www.umatakanosato.com/