創業支援メニューを活用し、建築事務所を設立
スイカノタネ
代表 近藤 潤 氏
英国から帰国後、新潟で独立。地方からの発信に挑戦
2015年9月に建築設計・デザイン事務所「スイカノタネ」を設立した近藤代表は、イギリスで建築を学び、ロンドンの建築事務所で約4年勤務。30歳で帰国し、故郷の新潟で起業した。「ロンドンから帰国したら東京で働くのが業界のゴールデンルートですが、例えばイタリアでは田舎に大きなスタジオがあるなど、地方都市それぞれが魅力的であり尊敬しあっている。一極集中しがちな今の日本で、あえて地方から挑戦したいと思いました」。
事業内容は、空き家やマンションのリノベーションを手掛ける建築設計と、デザインやロゴなどを手掛けるアートディレクションが二本柱。地元企業と一緒に商品開発をするといった企画も進行中だ。
中古で購入した当時のワンルームマンション(写真上左)。BIMで設計デザインした画像(写真上右)。解体・施工し、完成した事務所。あえて節がある自然なままの越後杉のハネ材や下地材などを使っている(写真下)。
建築業界では誰もが知る朱鷺メッセでのスタートは喜び
起業にはNICOの「創業準備オフィス」を活用。「破格といえる入居費や、しっかりとしたサポート体制が魅力でした。建築業界では朱鷺メッセを知らない人はいないので、アイコンとしての魅力も大きかったですね」。
また、「起業チャレンジ奨励事業」に申請し、図面や3D、施工情報等を一括で管理できるBIMと、最新のPC・タブレット等を導入。作業の効率化と、まだ日本では珍しい実物のような3D画像での提案を実現できている。
創業・新事業に関する相談会では経営面を相談。建築業界では、プロジェクトごとに顧客との関係が終了するのが通例だが、仕事を継続的に受注することが会社を成長させる条件だというアドバイスをもらった。「経営は素人なので、なるほどと納得しました。具体的な方法は言わず、課題を与えられる感じなので、自分で意識できるようになるのがありがたいです」。
「ロンドンの建物は年数を経て資産価値が上がり、日本は下がるというのが建築における決定的な違い。今ある物件の良さを生かし、改装して蘇らせて、社会の資産を循環させていく流れを作りたい」と話す近藤代表。
建築設計とデザインで新潟のまちを面白く
昨年末、中古のワンルームマンションを購入し、ショールーム兼事務所にリノベーションした。今後はリノベーションに力をいれたいといい、中でもセルフリノベーションをしたい人のサポートに注目。「東京ではすでにビジネスモデルが出来上がっています。新潟の空き家対策にも有効だと思うので、若者が求める空間を提案して、若い人たちが楽しく暮らす、面白い街にしていきたい」と語る。
先日はクラレがマジックテープの新しい使い方を募集した「クラレマジックテープアイデアコンテスト2016」で最優秀賞を獲得。デザイン企画会社のstudio mufufuとしても活動し、アート作品も手掛けている近藤代表。柔軟な発想力と海外での経験をもとに、建築とデザインで新潟に新鮮な風を吹き込んでくれることを期待したい。
「クラレマジックテープアイデアコンテスト2016」で最優秀賞を受賞した作品「玉つけ競争」。くっつけた玉の数を競う「ごちゃ混ぜ部門」の他、できあがった形の芸術点を競う「かたまり部門」など、様々な遊びを提案している。
活用のポイント
- 創業準備オフィスで事業スタート。
- 経営相談を随時行い、課題・次のステップを明確に。
- 補助金を活用し、最先端のハードとソフトを導入。他社との差別化を図る。
企業情報
スイカノタネ
〒951-8131 新潟市中央区白山浦1-248-30 603号室
URL http://www.suikanotane.com