合資会社柿屋商店
代表 石塚 洋一 氏
数十年の歴史を持つ名物の玉子焼や、手間をかけた仕出料理が好評の合資会社柿屋商店。これまで培ってきた伝統の味を武器に、同社ならではの商品を前面に打ち出し、他社との差別化を図っている。
伝統の味と製法を受け継ぐ「四代目の玉子焼」が好評
例年の200本を上回る500本の玉子焼を完売
生鮮食料品や惣菜などを販売する店舗と、弁当や寿司、刺身などの仕出料理を手掛ける合資会社柿屋商店。同社は昨年末、地元で長年親しまれている看板商品「四代目の玉子焼」を限定販売し、例年を上回る500本を完売。新潟三越でも初めて販売したところ、2日間で50本を完売し好評を得た。
「昔からこの地域では伊達巻の代わりに、魚屋が焼く甘めの味の玉子焼をおせち料理に入れる習慣があります。毎年私一人で200本を焼くのですが、昨年末は予約だけで完売したため、急きょ職人さんを頼んで500本焼き上げました」と柿屋4代目の石塚代表は語る。
「祖父から父、私へと受け継がれた味を通して、お客様に柿屋の歴史を伝えたい。玉子焼だけでなく、惣菜や弁当も手間をかけて作っています」と語る石塚代表。
新聞に記事が掲載されたことで 遠方からの来客も
販売数が急激に増えたのは、新聞の記事がきっかけだった。昨年秋にNICOの「広報チャレンジセミナー」に参加した石塚代表は、実践講座や相談会なども活用し、玉子焼の限定販売に関するニュースリリースを作成。これが新聞に取り上げられたことで予約が殺到し、遠方から買いに来る人も増えたという。
「大型スーパーと同じことをしていたら、力負けするのは目に見えています。ですが、当社には代々受け継いできた歴史や味があり、それをどういう形で伝えるのがいいのかを考えたときに思いついたのが、昔から地元のお客様に愛されてきた玉子焼だったのです。どこのスーパーにもない商品なので、これをPRしながら柿屋という存在をもっと広くお客様に知ってもらおうと思いました」。
かつお節を使った一番だしが味の決め手という「四代目の玉子焼」は、甘めの味付けでボリュームも満点。贈答用としても人気が高い。
店舗をリニューアルし 柿屋にしかない商品を アピール
祖父の代から製法を変えていないという玉子焼は、1本で約10個の卵を使用。鹿児島県産のかつお節でとった一番だしを使うのが味の決め手で、焼き上がってから“巻きす”で巻き、一晩寝かせることで、味が馴染んでまろやかになるという。全てが手作業、1本焼くのに約10分と手間も時間もかかるが、変わらない味を守るためのこだわりだ。
今年4月にリニューアルオープンした店舗では、以前から好評だった自家製惣菜の売り場を拡大。新たに玉子焼専用の売り場を設け、焼いているところを見られるコーナーも作るなど、柿屋にしかない商品のアピールに力を入れている。
「今後は仕出部門に力を入れたい。昨年度からカタログを作って広報活動をしたところ、春の歓送迎会や花見などで利用してくださる方が増えました。玉子焼も含め、手間をかけて作った料理を召し上がっていただければと思います」と石塚代表。これからも培われてきた伝統の味を大切にし、それを同社の“強み”として打ち出していく。
リニューアルした店舗では、中学2年から焼いているという石塚代表が、厚みのある玉子焼を手際よく仕上げていくところを見ることができる。
ここがポイント
◆ 「ここにしかない商品」を前面に打ち出す
◆ 自ら情報発信し、より多くの人にアピールここがポイント
◆ 大型スーパーと差別化した店舗づくり
企業情報
合資会社柿屋商店
〒943-0841 上越市南本町3-14-17
TEL.025-523-2796 FAX.025-523-3192